「ねぇ、きいろいネズミさん。きみのこと、
たべないから、こっちにおいでよ。さむいから、いっしょにいようよ。」
はるだというのに、ゆきがふっていたのでした。さむくてさむくてどうしようもないよるだけど、またたくほしぼしは、くらやみをさんさんと、あかるくあかるくしていました。きいろいネズミは、にゃんこのツバキのおなかでまるまってねました。あさになると、かっぱがたべものをわけてくれて、にひきでいっしょにたべました。こどもかっぱがききました。
「にひきは、どこからきたの?」
にゃんこのツバキは「おおふなとから」と、こたえました。
「おおふなとからここにきたの?きみしってる?きのう、かっぱぶちのおじさんがはなしていたけれど、たいへんなんだって、うみのほうは、たいへんなんだって。」「しばらくここにいるといいよ」、かっぱのおじさんとおばさんがいいました。
にゃんこのツバキはしばらくのあいだ、かっぱのかぞくと、きいろいネズミと、いっしょにくらすことにしました。
…おおふなとたいへんなんだ。きょうだいネコたちはどうしているだろう。さかのうえのツバキのきは、どうなっているのだろう…
にゃんこのツバキはたのしかったまいにちをおもいだし、とおく、おがわのさきをみつめました。
それはそれはたくさんの、おおきなおおきなおおきなくるまがくるようになりました。だまったままのヒトたちを、いくにんもみました。まえみたいに、ネコがいるからって、なでてくれるようすもありません。
…ツバキのきのしたで、ねむりたい…
ひにひに、そのおもいはつよくなりました。
きょうだいネコにあいたいし、おはなしずきのおばあさんに、なでられたいです。あのいえの、あのえんがわで、のんびり、あくびがしたいのです。
つづく
※第29回ふるさと・おおふなとお話大賞に投稿した作品を自身のブログにて連載投稿しています。
たべないから、こっちにおいでよ。さむいから、いっしょにいようよ。」
はるだというのに、ゆきがふっていたのでした。さむくてさむくてどうしようもないよるだけど、またたくほしぼしは、くらやみをさんさんと、あかるくあかるくしていました。きいろいネズミは、にゃんこのツバキのおなかでまるまってねました。あさになると、かっぱがたべものをわけてくれて、にひきでいっしょにたべました。こどもかっぱがききました。
「にひきは、どこからきたの?」
にゃんこのツバキは「おおふなとから」と、こたえました。
「おおふなとからここにきたの?きみしってる?きのう、かっぱぶちのおじさんがはなしていたけれど、たいへんなんだって、うみのほうは、たいへんなんだって。」「しばらくここにいるといいよ」、かっぱのおじさんとおばさんがいいました。
にゃんこのツバキはしばらくのあいだ、かっぱのかぞくと、きいろいネズミと、いっしょにくらすことにしました。
…おおふなとたいへんなんだ。きょうだいネコたちはどうしているだろう。さかのうえのツバキのきは、どうなっているのだろう…
にゃんこのツバキはたのしかったまいにちをおもいだし、とおく、おがわのさきをみつめました。
それはそれはたくさんの、おおきなおおきなおおきなくるまがくるようになりました。だまったままのヒトたちを、いくにんもみました。まえみたいに、ネコがいるからって、なでてくれるようすもありません。
…ツバキのきのしたで、ねむりたい…
ひにひに、そのおもいはつよくなりました。
きょうだいネコにあいたいし、おはなしずきのおばあさんに、なでられたいです。あのいえの、あのえんがわで、のんびり、あくびがしたいのです。
つづく
※第29回ふるさと・おおふなとお話大賞に投稿した作品を自身のブログにて連載投稿しています。