探し物は・・・

何かを探して見つからない時、悲しくなるけれど
探すものがあるって、それだけで、すてきなこと 

おすすめの展覧会

2010年08月27日 | 日々のことなど

東京都現代美術館で開催中の「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展」に行ってきました。
アニメの世界を美術館のワンフロアに再現するという試み。スクリーンで見る二次元のものが、実物大の三次元のものになっていて、触ったり、覗いたりできるというのは、子供でなくてもワクワクします。
加えて、それが小人の世界なんですから。

夏休み中の平日だったので、お母さんと子どもという組み合わせがたくさん。私たちも、友人の小学生のお嬢さんが参加してくれたので、一応、大人+子供の4人グループとなりました
展示フロアは3階と1階。
まずは、3階のアリエッティコーナーから。
入口は、床下の格子のはまった換気口です。白い角砂糖もちゃんと置いてあります。その上のありんこは、大きくてちょっと不気味でしたが
アリエッティと同じ"小さな人たち"になった気分で、薄暗い迷路のような床下の世界を進みます。床も壁も、とにかくディテールのすべてがリアルな感触。歩く足元の時折きしむような板張りの床、触るとざらついたり、ツルっとしていたりと、手触りの変わる壁・・・このバラの花柄の壁紙、どこかで見たことが、と思ったら、某デパートの包装紙でした。そういう小さな発見の楽しみがいっぱい。
小学校の時、家庭科の授業で使ったようなマチ針も、ここでは1mぐらいあります。お父さんの作業場では、黄色い木工用ボンドの巨大なのを見つけて、なぜだか、うれしくなってしまいました。これって、一生分のボンドだわ~なんて
壁にかかった大きな時計は、ベルトを外した腕時計。壁の花差しに使われているのは、アルミ製の鉛筆のキャップ。映画にも登場する、楽しい物の使い方の数々。見事なのは、この展示で、そういった物たちの質感が実にリアルに再現されていることです。
人間の部屋をのぞく小さな窓からは、とてつもなく大きな黒い靴と、そびえたつ椅子が見えます。実際のスペースが本当の部屋ほどあるわけではないのに、それを巨大な部屋に感じさせるマジック。
遊園地にあるアトラクションのような、どこか安っぽさが漂うものとは、まったく違う空間でした。これが、映画美術の世界なんですね
虚構の部屋というと、一度も使ったことのない家具が置かれたモデルルームが頭に浮かびます。この展示の家具だって、実際に使われたわけではないのに、モデルルームには決してない、人が暮らしているような空気が感じられるんです。

映画を見てから行けば、「あ、これは、あのシーンで見た!」と思うでしょうし、見ていなかったら、「こんなものが、こんなふうに使われるなんて」とびっくりの連続でしょう。

暗い床下から、一転、明るい庭に踏み出すと、ジャングルのように草の葉の重なった細い道。ところどころに虫もいます。テントウムシは、まだかわいいといえるサイズだけれど、触角を動かしているバッタは、ちょっと・・・

庭を抜けると、急に現実の世界、人間サイズに逆戻り。なんだか、あっという間でした。「この先には、何があるんだろう。次は?」とワクワクする気持ちで、先を急いでまわってしまったけれど、もっと時間をかけて細かい部分まで見ればよかったと少々後悔。
これからいらっしゃる方には、隅々までじっくりご覧になることをお勧めします。どんな隅っこも、いや、きっと見えない裏側の部分でさえ、手を抜かず作り上げられていますから。
「これで終わり?」と少々物足りない気分で1階に行くと、そこには、まったく別の種田ワールドが広がっていました
(続く・・・)


最新の画像もっと見る