探し物は・・・

何かを探して見つからない時、悲しくなるけれど
探すものがあるって、それだけで、すてきなこと 

十月囲城

2010年10月25日 | 日々のことなど
オープニングセレモニーが終わって、やっと、『十月囲城』の上映。

物語は、1901年、孫文らと意を同じくする香港興中会会長の楊衢雲が、学生を前に民主主義について説くシーンから始まりました。一人の学生が「私たちは、その社会を見ることができるのでしょうか」と問い、楊が「私は無理でも、君たちはきっと」と答えるのが印象に残ります。
穏やかなやり取りで始まった場面が、一発の銃声で暗転。この楊衢雲暗殺は、史実です。
そして、数年後・・・
清朝を打倒し新しい中国を打ち立てようとする孫文が、ひそかに日本から香港にやってきて、同志たちと革命に向けての密談を行うという情報が届きます。それを阻止しようと清朝が送りこむ刺客から、孫文を守ろうとする人々。密談に要する1時間、その時間をつくりだすために、多くの人が命を投げ出していく・・・

作品に登場する8人の"ボディーガード"たちは、革命という大義に賛同する者ばかりではないのです。
孫文が何者なのかさえ知らず、ただ敬愛する主人が求めるならと行動する車曳きの青年もいれば、米をもらったから手伝ってやるよという豪傑もいます。父の敵を討ちたいという少女も。
愛する人に死なれ、何もかも捨て、死んだように生きていた男が加わるのは、ようやく死ぬきっかけを得たからにすぎないのかもしれません。彼は、自分がだれのために戦っているのかなど意に介していないようでした。
そういう者たちでさえ、大きな渦の中に巻き込んで行く「革命」というものの力は、人の手によってなされながら、人が制御することのできないものへと育っていくのでしょう。
大義の前には、個人の犠牲など、とるに足らないもの。革命には痛みが伴う。そうなのかもしれない、けれど・・・。この作品が描きたかったのは、この「けれど・・・」に続く、言葉にはならない想いなのではないかと感じました。

132分を見終わって外に出ると、まるで気分を察したかのように冷たい雨が降り出していました。

ストーリーに圧倒されながらも、武迷スイッチがオンになったいくつかのこと
エンドロールに、ジャッキー・チュンさんの名前を見つけて、どこに登場?と思い返してみたら、冒頭の楊衢雲役でした。
ほんとうに、出演者は豪華メンバーです。
ピンと上がったカイゼルひげに、金モール、金ボタンの軍服姿で馬に乗っていたエリック・ツァンさん。
ぼさぼさの長髪に、顔中髭で、この人はいったい誰?と思っていたら、途中で、髭をそるシーンがあり、すっきりしたら、レオン・ライさんでした。
その忘れ得ぬ人として、ほんの一瞬、姿が浮かぶ美しい女性は、ミシェル・リーさん。
『天使の涙』でも、会えない二人でしたね↓。モウ君が間をつないでる?
 

眉もドーランで塗りつぶし、ほどけた辮髪を振り乱し、鬼気迫る形相の清朝の刺客は、『レッドクリフ』で趙雲役だったフー・ジュンさん。怖いです・・・
そして、『武侠』でもアクションシーンを束ねるドニー・イエンさん。とにかく、動きが速い。目がついていきません。『k-20』で平吉さんが飛び越え、駆け抜けたあの上海の撮影所を、ドニーさんもパルクールを駆使して走りますよ。
あ、そうそう、日本から参加のアクションチームの方も、登場シーンがわかったような気がします。『武侠』でもがんばってくださいね。

アクションシーンの中でも、リアルというより生々しい戦いの場面は、少々苦手。何度も何度もゾンビのように起き上がってくるのも、心臓に悪い。できれば、撮影中の新作では、怖くて痛そうなのは、ご遠慮したいんですが。「アクションシーンは少なめにね」・・・って、だれかさんも言ってたような

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2 コメント

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ご存知でしたか? (ponちゃん)
2010-11-18 09:39:12
トニー迷さんで今香港にお住まいのnancixのサイトでこんなこと書いてらっしゃるのを
今頃見つけたのですがご存知ですか?
http://nancix.isl.hk/
さすが、nancixさんと唸るしかないお話に
もしご存知無かったら、是非お知らせしたくて。
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見えていなかった一面 (ゆきんこ)
2010-11-18 20:43:44
ponちゃんさん

お知らせありがとうございました。
私も、映画祭で「十月囲城」を見た翌日に、ブログにおじゃまして、拝見していました。
一読してピーター・チャン監督の印象が変わりました。
NHKの番組で、この作品の撮影風景を見たとき、プロデューサーであるピーター監督が、現場で指揮しているように見受けられ、テディー・チャン監督の立場がないんじゃないかと感じたものでした。
でも、それは、物事の一部しか見ていないようなもので、実は、ピーター監督が、あらゆる面で全力でサポートしていたのだということがわかりました。
この作品が完成したのは、テディー・チャン監督を見守る仲間たちの応援があったからなんですね。
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