黒猫洞

黒音呼夜の爪とぎブログです。
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ダーク・シャドウ

2012-05-23 20:25:48 | MOVIE

ティム・バートン×ジョニー・デップの黄金コンビ作品(8作目)。

共演にはヘレナ・ボナム=カーター、音楽はダニー・エルフマン。

いつもの面々が揃って、安定のティム氏ワールド。

ミシェル・ファイファー、エヴァ・グリーンという新旧美人女優も。

 

原作のTVドラマは全く知らなかったので、先入観ゼロで鑑賞。

相変わらず趣味全開な世界観で、実に”らしい”感じ。

メロドラマ的なドロドロ愛憎劇に、吸血鬼やら何やらホラー要素が混じっている。

けれど、印象としては完全にコメディかな、と。

特に200年ぶりに復活したバーナバス・コリンズ(ジョニデ)の挙動が笑える。

マクドナルドの看板を見て「メフィストフェレス!」(どちらも頭文字が”M”)と叫んだり……

時代錯誤な言動で浮きまくっているあたり、なんだかかわいい。

 

ストーリーは、ひねりがあるワケではない。

映像的にも”作り物感”満載。

ただ、それでも楽しんで見れてしまうのがティム氏の映像世界。

リアリティを追うことだけが、芸術の全てではないので。

抽象的だったり、極端だったり、そういう表現もまた一つのカタチ。

ただ、これまでのティム作品に比べると、わりとリアルさ重視だったかな、と。

粗が目立っていたCGも、技術の進歩もあって調和していたし。

前作が『アリス』だったので、そう感じただけかもしれないけれど。

 

監督が相変わらずなら、主役のジョニデも相変わらず。

白塗りメイクで、挙動不審気味な演技。

サングラスに日傘(吸血鬼ですので)で外出するシーン、ほぼマイケル・ジャクソンでしたが(苦笑)

奇抜なメイク、強烈なキャラクターに、ある種の親しみやすさを感じさせるのがジョニデの上手さ。

これは過去のティム作品にも言えることだけれど、普通の俳優なら役に呑まれてしまう。

そもそも、ただでさえ、白塗りメイクで”差”が出にくいのに。

『チャリチョコ』、『スウィーニー』、『アリス』そして『ダークシャドウ』。

きちんと演じ分けているのがスゴイ。

 

ティム作品常連にして、奥さんでもあるヘレナさん。

ジョニデの演技が伝染ったのか、すっかり”ヘン”な女優さんに。

ミシェル・ファイファーは、50代とは思えない美人っぷり。

容姿はどうしても変わっていくけれど、そのオーラは衰えを知らない。

悪役の魔女を演じたのは、エヴァ・グリーン。

今までにないキレっぷりを見せてくれたのが、個人的に高評価。

(『キングダム・オブ・ヘヴン』でも美人だとは思ったけれど、演技は印象に残らなかった)

重要な2役を1人で担うのが、ベラ・ヒースコート。

まだ有名ではない若手を重要な役にキャスティングするのも、ティム作品では恒例。

周りのお姉さまたちが”濃すぎ”て、少し霞み気味だったのが残念。

一方で印象的だったのが、まだ15歳(たぶん)のクロエ・グレース・モレッツ。

実は狼人間の、ませた女の子の役。

芸歴が長いだけあって、なかなか堂々としたもの。

 

製作スタッフも、ティム作品には欠かせない顔ぶれが再集結。

独特の世界観や空気感を、今作でも見事に表現。

特に物語の中心となるコリンズ邸は、細部まで凝っている。

物語の舞台が70年代なので、それを再現した演出も。

アリス・クーパー御本人様が出てきたり、ジミヘンと思しきポスターがあったり。

その時代を知っている人は、色々と気付けて面白いかも。

音楽のダニー・エルフマンは、今作でも安定したスコアを提供。

70年代のシーンと、200年前のシーンでは、アクセントにする楽器を変えている。

 

『スウィーニー』ほどスプラッタでもなく、『アリス』ほどファンタジーでもなく。

毒気が控えめな分、ティム氏にしては”普通”な映画なのかもしれない。

けれど、「え、ここで?」という独特のタイミングで織り込まれるユーモアが笑える。

個人的には、なかなか面白うございました。



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