黒猫洞

黒音呼夜の爪とぎブログです。
映画のレビュー、創作など。
日記はFacebookに移行しつつあります。

Wind

2011-12-27 23:59:55 | CREATION

いつだってそう。

あなたは突然やってきて、私の心をかき乱す。

小川の水面に、さざ波を立てるように。

木の葉のように、ざわめかす。

 

いつも、ずるい。

そんなに優しく、しないでよ。

甘く囁きながら、抱きしめないで。

いなくなると知っているのに、溺れてしまうから。

 

ほら、やっぱりそう。

やってきた時と同じように、唐突に別れを告げる。

温もりの残滓を、吹き散らしながら。

去りゆくあなたは、風のよう。


ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル

2011-12-22 03:59:44 | MOVIE

説明不要の人気スパイ・アクション最新作。

監督はブラッド・バード。

前作の監督J.J.エイブラムスはプロデューサーに。

主演は言わずと知れたトム・クルーズ。

 

1作毎に監督が代わる、このシリーズ。

当然、その監督の個性が出るワケで、それが面白さでもある。

2作目のジョン・ウーの時は、アクションがド派手で、全体に男クサイ感じ。

3作目のJ.J.エイブラムスの時は、サスペンス要素が強かった。

今作のブラッド・バードは、アニメ畑の監督で、実写映画は初めて。

アニメ→実写という流れは、最近わりに多い気がする。

全部が全部ではないけれど、アニメ出身の監督はリズム感やテンポが良い。

なので、不安よりは期待の方が大きい状態で鑑賞。

 

まず、冒頭。

オープニングへと続く、一連のシークエンスが非常に秀逸。

カメラワーク、リズム感ともに好印象。

音楽も相まって、非常にキャッチー。

そして、一般的な映画では見なくなったオープニング映像へ。

確かにエンドロールにまとめてしまえるものではあるけれど、

『007』やこの『M:I』シリーズのオープニングは欠かせない。

 

全体を通して、テンポが良く、リズム感のある映像。

これは、アニメ畑出身のブラッド・バードの手腕かな、と。

ユーモアが織り込まれている分、アクション自体はハードでも心地良く進んでいく感覚。

3作目のJ.J.エイブラムスが、シリアスな心理描写で緊迫感を演出したのとは正反対。

どちらがいいかは好み次第だけれど、個人的には今作の方が好き。

映画の完成度は別の話として、『007』や『M:I』は”夢のあるアクション映画”。

それこそ”不可能を可能にする”べきで、あくまでも”格好良く”あるべき。

そういった意味で、今作は1作目と2作目を足して割ったような印象。

 

主演のトム・クルーズには、正直びっくり。

相変わらず若々しいし、スタントも全て自分でこなしている。

今作1番の見せ場でもある、ドバイの高層ビルでのスタントは圧巻。

地上800メートル以上のビルの”外壁を走れるスター”は、そういるものじゃない。 

前作から続投のサイモン・ペッグなど、脇を固める役者陣も上々。

世界各地を巡る展開に合わせて、各国の一流どころをしっかり起用している。

 

『M:I』シリーズと言えば、様々なスパイ兵器も魅力の1つ。

今作でも、面白いアイテムが色々と登場する。

ただ、個人的に思ったのは「イーサン(トム)のスーツ姿がかっこいい」(笑)

衣装や小物に至るまで、きちんと一流物を使うあたりはさすがハリウッド。

『007』のボンドもそうだけど、オシャレでウィットに富んだキャラクターは魅力的。

そうしたセレブ感も、この2大スパイシリーズの特徴かもしれない。

 

音楽はマイケル・ジアッキノ。

バード監督の『レミーのおいしいレストラン』や、

J.J.エイブラムスの『スター・トレック』でスコアを担当。

古典的なオケサウンドを、見事に現代風にアレンジしている。

『M:I』のテーマ音楽の盛り込み方も上手かったと思う。

これは編集の妙でもあるけれど、映像との調和も素晴らしい。

最近の映画音楽の問題は、ジマーの二番煎じが多すぎるところ。

ジマーの曲調は大好きだけど、マネは所詮マネでしかない。

そんな中、流行りは押さえつつ、しっかりと自分の”音”を出しているな、と。

そういった意味でも、今後も期待したい逸材。

 

個人的には、『M:I』シリーズで最も良かったと思う。

ただ、前3作もクオリティは高いので、純粋に好みの問題。

なんにしても、是非とも映画館で観て欲しい映画。