375's ROAD TO BOSTON/ゴールは虹の彼方に

米国在住ランナーの究極目標「ボストンマラソン」とアメリカ50州制覇を目指す人生の旅日記。

【大会レポート】第32回ミルウォーキー・レイクフロント・マラソン(2012 Milwaukee Lakefront Marathon)

2012年10月14日 | 大会レポート 2012



10月7日(日曜日) 、ウィスコンシン州のミルウォーキー・レイクフロント・マラソンを走る。
この大会に申し込んだのは今年の1月。そして4月中旬には定員締め切りになるという人気が示すように、アメリカ中西部では屈指の高速コースとして知られる。秋のフル は事実上これ1本に絞り、直前3ヶ月は毎月300kmを走り込んで準備を重ねた。

当日は見事な秋晴れ。しかもレースの週末に合わせたかのように気温が下がり、スタート時は3℃という願ってもないコンディション。これはもう千歳一隅のチャンスというしかない。

午前7時30分、ミルウォーキー・ダウンタウンの北方約20マイルに位置するグラフトン・ハイスクールからスタート。ここから概ね南に下っていくワンウェイ・コース。スタート直後は3時間40分のペーサーについていたが、体が温まってくるにつれて3時間35分のペーサーも追えるような感じになってきた。その先の3時間30分のペーサーには届きそうもなかったので、そのまま3時間35分のペーサーを視界に入れながらレースを進めることにした。

Mile 01: 8分14秒(08分14秒)
Mile 02: 8分08秒(16分22秒)
Mile 03: 8分14秒(24分36秒)
Mile 04: 分02秒(32分38秒)
Mile 05: 分04秒(40分42秒)
Mile 06: 分15秒(48分57秒)

最初の数マイルは雄大な農村風景の中を走る。アメリカの中でも酪農王国と言われるウィスコンシン州らしく、地平線まで広がる牧場を背景に、乳牛の群れがコースのすぐそばまで押し寄せてきたりする光景はなかなかの見ものだ。このあたりの光景は時代の移り変わりを反映しやすい都市部と違って、アメリカ大陸開拓時代からさほど変化していないのではなかろうか。

余談になるが、学生時代に読んだSF小説で、ウィスコンシン州の農村を舞台に異星人との交流を描いた名作『中継ステーション』(クリフォード・D・シマック作)を思い出した。また『大草原の小さな家』のインガルス一家も、最初に住んでいたのはウィスコンシン州だったはずだ。まさにそれと同じ場所を走っている・・・と思うと感慨深いものがあった。

Mile 07: 分15秒(57分12秒)
Mile 08: 分13秒(1時間05分35秒)
Mile 09: 分13秒(1時間13分38秒)
Mile 10: 分15秒(1時間21分53秒)
Mile 11: 分10秒(1時間30分03秒)
Mile 12: 8分05秒(1時間38分08秒)
Mile 13: 分06秒(1時間46分14秒)
中間地点通過: 1時間46分41秒

7マイルからはコンコルディア大学の敷地内に突入。ブラスバンドの演奏やチアガールなど応援がにぎやかなところだ。8マイルで一度ミシガン湖が見えるところに出るが、それ以降は再び内陸を走るコースとなり、周囲の風景も農村地帯から徐々に紅葉の美しいレジデンシャルエリアに変化していく。

このあたりは、ずっと3時間35分のペーサー(マットという名前だった)のすぐ後ろについて走った。マットは経験豊富なランナーらしくコースも知り尽くしているようだったので、今回のペース配分は全面的に彼に任せることにした。彼がペースを上げれば、自分もペースを上げる(どちらかといえば、上り坂でペースを上げる傾向があった)。彼がペースを落とせば、自分もペースを落とす(下り坂では飛ばさず、脚を休めていた)という具合に。余計なことを考えずについて行く、というのも立派な作戦の一つである。

コースは緩やかな起伏はあるものの、特に難所と言えるようなところはなく、順調に中間地点まで来た。
通過タイムは1時間46分台。後半急激に落ち込むことがなければ3時間35分切りも狙えそうなペースだ。

Mile 14: 分19秒(1時間54分33秒)
Mile 15: 分11秒(2時間02分44秒)
Mile 16: 分15秒(2時間10分59秒)
Mile 17: 分07秒(2時間19分06秒)
Mile 18: 分04秒(2時間27分10秒)
Mile 19: 分08秒(2時間35分18秒)
Mile 20: 8分25秒(2時間43分43秒)

中間地点を過ぎてからも、それまでと同じようにペーサーのマットを追って走る。何人かのランナーが同じグループにいたが、その中でも黄色いシングレットを着たクリスティという若い女性ランナーがいい感じで走っていた。たまにマットがトイレ休憩で抜けたりした時はクリスティがペーサー代わりになった。

後半の正念場となる17マイルから19マイルにかけて、マットとクリスティはややペースを上げた。それで振り落とされるランナーもいた様子だったが、自分はついていった。下り勾配の20マイル目では逆にペースを落とし、脚を休ませる区間にしていた。経験者らしい巧みなペース配分なので、一緒に走っていると勉強にもなる。

Mile 21: 分56秒(2時間51分39秒)
Mile 22: 分13秒(2時間59分52秒)
Mile 23: 分08秒(3時間08分00秒)
Mile 24: 分06秒(3時間16分06秒)
Mile 25: 分13秒(3時間24分19秒)
Mile 26: 分23秒(3時間32分42秒)

21マイル目で再びマットとクリスティがペースを上げた。かなり急激な展開だったので思わず引き離されそうになったが、命綱と思って必死についていく。おそらくここが勝負どころに違いない。振り落とされたら終わりだ。多少無理をしてでも、ここは踏ん張らなければならない。7分56秒。手元の時計はこのレースの最速ラップを示していた。 

心肺への刺激効果があったのか、22~23マイルの区間は比較的楽になった。やはり長丁場を走り抜くには、時々ダッシュを入れたほうがいいのかもしれない。

そして24マイル目。下り勾配を一気に駆け下りる魅惑のダウンヒル!
光り輝くミシガン湖のパノラマが左手に広がる!

高揚した気分を抑えきれなくなり、ペーサーのマットを追い抜き、そのまま勝負をかけようと試みた。その時、クリスティが自分よりも早い時点でスパートをかけ、いつのまにか10メートル以上先に行ってしまっていることに気がついた。必死に追いかけようとしたが、一向に差は縮まらない。それどころか、ますます水を空けられていくように見えた。若さが違う、と感じた。あと1~2年もすれば、最初から勝負にならないほどの実力差がついてしまうだろう(あとでリザルトを見ると、3時間32分台でゴールしていた)。

そうこうするうちに、マットがまた追いついてきた。ここまで一緒に走っていると、さすがに連帯感が芽生えてくる。最後の1マイル。エネルギー切れ寸前の状態で必死に脚を運んでいると、マットは時おり自分を振り返りながら「頑張れ!もうすぐだ!」と声をかけてくれた。

26マイル過ぎ。まっすぐに伸びたコースの先に白いゴールゲイトが天国の門のように輝いて見えた。その門の下、赤い文字のデジタル時計は3時間34分台を示している。またしてもギリギリの勝負だ!

沿道の大声援、そしてゴール手前に先回りして待ち構えるマットがエールを送る中、最後の力を振り絞ってゴールゲイトを駆け抜けた。

Finish Time 3時間34分24秒(8:11/mile)。

自己歴代1位!

フルマラソンとしては今年3月のB&Aトレイルマラソンのタイム(3:35:20)を上回り、初めて3時間35分の壁を破る画期的な自己ベスト更新となった。これで「BQ-5分」となり、2014年のボストンマラソンはエントリー第1週目で申し込めることになる。

ゴール後はよほど足元がフラフラだったのだろう。完走メダルをかけてもらうと、スタッフに抱きかかえられながら、ようやく自力で歩くことができるという有様だった。「I did it...I set personal best...」
笑いながら言ったつもりだったが、熱いものが頬を伝っているのがわかった。

持てる力は、すべて出し切った。これ以上望むものは何もない。

それにしても素晴らしい大会だった。派手さはないが、エンターテイメント指向とは正反対の硬派な雰囲気がいい。今の自分には、こういう大会のほうが合っているようだ。
真剣勝負でタイムを狙うには、最高の大会と言えるだろう。

■MEMO■

総合順位 378位/2172人中
男女別順位 293位/1202人中
年代別順位 29位/139人中

前半ハーフ 1時間46分41秒
後半ハーフ 1時間47分43秒
(落差 +1分02秒)


★スタート会場となったグラフトン・ハイスクール。宿泊ホテルからシャトルバスに乗り、約40分で到着する。

 
★スタート直前までハイスクールの校内で待機できる。 

 
★大きな大会のような「コラル分け」はなく、目標タイムの立て札の近くからスタートすれば良い。


★ゴール手前に作られた仮設スタンドで応援する人たち。

 
★白いゴールゲイトを背景に 記念撮影。


★手に持っているのはビールではなく、温かいコーヒー。最高気温も10℃に届かない寒さだった。

 
★完走メダルとお土産にもらったBrooks製のハイテクシャツ。 これで米国18州+DCを制覇。

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