375's ROAD TO BOSTON/ゴールは虹の彼方に

米国在住ランナーの究極目標「ボストンマラソン」とアメリカ50州制覇を目指す人生の旅日記。

自分が走る時、決してipodを聴かない理由。

2009年03月16日 | NYC通信

★ついに「STORE CLOSING」の垂れ幕が出たヴァージンメガストアのタイムズスクエア店。
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自分は音楽が好きである。特定のジャンル、あるいはアーティストに関しては、はっきり「ファン」と言えるほどの愛着がある。そんなに音楽が好きであれば、当然のごとく、普段はもちろんipodで音楽を聴きながらランニングするんですね?と思われることだろう。

ところが、答えはNoなのである。

理由のひとつは危ないからというのもある。
自分が練習コースにしている区域は、ほとんどが車道と隣り合わせの歩道である。当然、路地からの車の飛び出しが多いし、車道を横断しなければならない箇所もある。ipodで耳を塞いでしまったら、音楽以外の物音が聞こえなくなるので、車とのコミュニケーションが取れず、大変危険な状況に陥る可能性がある。

だが、たとえ車の危険がなかったとしても、やはり自分は、走りながらipodを聴かないだろう。
その根本的な理由。それはipodで音楽を聴きたくないからである。

自分が子供の頃から学生時代にかけては、LPレコードの全盛時代だった。好きな音楽を聴くためには、ラジオやTVでの放送で接する以外は、レコードを聴くしかない。しかし、レコードは高い。当時はお小遣いも少なく、自由に使えるお金が限られていたので、レコードのように高価なものは父親に買ってもらうしかなかった。だから、一度手に入れたレコードは、まさに宝物のような価値があった。古くなったからといって、簡単に捨てられるものではなかった。

時代が移り変わり、1980年代の中頃になると、CDが登場した。最初のうちは、LPに比べるとジャケットも小さいし、見栄えの面で物足りなかったが、その代わりLPに比べて収録時間が長くなり、保管がしやすくなったこともあって、次第に受け入れられるようになった。さらには入手困難になった廃盤LPが次々にCD化され、コレクション的にも十分楽しめるようになったのである。

ところが、わずか20年そこそこで、CDの時代も終わろうとしている。PCから直接ダウンロードして音楽を聴くという方法が若い世代に浸透し、CDが売れなくなってしまったのだ。

かつてニューヨークでは、タワーレコード、HMV、ヴァージンメガストアといった大手のCD専門店がしのぎを削っていた時代があった。それがここ3~4年のうちに、次々に店舗を畳んでしまい、ただひとつの牙城であったヴァージンメガストアのタイムズスクエア店も、ついにこの春、閉店することが決まったのである(ユニオンスクエア店は、もうしばらく存続する見込み)。

同じ音楽、と思うかもしれない。けれども、レコードやCDで音楽を聴くのと、PCからダウンロードした音楽を聴くのとでは、根本的に何かが違うのではないだろうか。

その違いを違和感としてはっきりと感じ取ることのできる自分のような世代は、古い世代なのかもしれないし、何の疑問もなく受け入れることのできる世代こそが、現代社会に適応できる新しい世代なのだろう。

古い世代は、やがて消えていくしかない。それはどうしようもない宿命なのかもしれない。歴史は、そうやって発展してきたのだから。

しかし、それでも自分には長年培ってきた感性だけは守りたいという思いがある。
レコードやCDを友として、素晴らしい音楽に感動してきたバラ色の日々。
それを過去の思い出ではなく、いつまでも現実のものとして残しておきたいのだ。
少なくとも自分の目が黒い間は、今日まで自分を育ててくれたレコードやCDという古い媒体に生き延びてほしいという、ささやかな思いがある。
そういう思いがあればこそ、新しい媒体には、容易に飛びつくことができないのだ。

無駄な抵抗であることはわかっている。
が、自分はこれからもipodで音楽を聴かない主義を続けていくつもりである。

(ちなみに、娘はipodの愛用者である。いわゆるデジタル・ネイティヴの世代なので、仕方がない…)


★閉店セールを始めたヴァージンメガストア(タイムズスクエア店)の店内。全品が40%~60%のディスカウントで切り売りされている。


★「Virgin」のロゴ入りのTシャツも40%引き。遠からず手に入らなくなるので、いいお土産になるかも。


★ヴァージンメガストアをバックに演奏を繰り広げる路上ミュージシャンたち。おりしも聖パトリックの祝日が近づいていたためか、アイリッシュ民謡風のロックがメインだった。


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