私は今年の地方競馬の祭典を楽しみにしていた。
ここに出走するある人馬の走りを観たかったからである。
私は熱心な地方競馬ファンと言うわけではない。
せいぜい交流重賞をたまに観る程度。
そのたまに観るレースである馬のことが徐々に気になってきた。
交流重賞は中央馬のためのレース。
地方馬では勝負にならない。
私の中ではそういう認識があった。
事実、中央勢が上位を占める結果が非常に多い。
そんな劣勢の地方馬の中で果敢に挑戦を続ける馬が居た。
しかも、その馬は北関東の高崎所属。
中央勢と戦える馬。
南関東や東北、あとは笠松くらいだろうか。
それ以外の地域はレベルが低く、とても相手にならない。
そういう思い込みがある私にはその馬の頑張りは胸を熱くさせた。
地方にはときに怪物と呼ばれるような強い馬が出現する。
そういう類稀なる存在ならば地方、中央を問わず活躍できる。
しかし、その馬はそこまでの天賦の才があるわけではない。
事実、中央勢の牙城を崩して勝ちきることは出来ない。
それでも短距離戦線で挑戦を続け、常に上位に顔を覗かせていた。
そうやって、戦い続ける限りいつかは勝てるのではないか。
挑戦を止めない限りいつかは報われるのではないか。
そんな想いから、この馬の走りに注目するようになっていった。
だが、この馬の所属する競馬場が昨年末で廃止されてしまう。
それから私はこの馬の走りを眼にすることは無かった。
それどころかこの馬の消息すら知らなかった。
それから月日は流れ、秋競馬に夢中になっていた頃あるニュースを眼にした。
それは笠松であの馬が勝ち星を挙げたというものだった。
そして、その手綱を取ったのはミスターピンクと呼ばれた地方の名手だった。
現在北関東には地方競馬が存在しない。
高崎の後、今年の3月に宇都宮も廃止された。
その宇都宮のリーディングジョッキーにして3000勝を挙げている名手。
地方では騎手ごとに勝負服が決められている。
その騎手服の色からその名がついたジョッキー。
その男は現在、鞭一本で全国を渡り歩こうとしている。
地方競馬の騎手免許は全国ライセンスである。
しかし、実際には他地区で自由に騎乗することはできない。
そんな矛盾に異を唱え、自らフリー騎手化を推進するために全国の地方競馬での騎乗を試みている。
夏に岩手で2ヶ月間の騎乗を達成し、次の仕事場として笠松で鞭を振るっていた。
失われた北関東出身の人馬が新天地でコンビを組み勝利を挙げる。
そんな素敵な偶然に私の胸は熱くなった。
その走りが認められ地元東海地区代表として地方競馬の祭典に出走する。
そんな知らせはこの人馬を応援せずに居られない気持ちにさせられた。
当日の走りは残念ながら見せ場を作ることが出来なかった。
それでも、この馬とジョッキーは挑戦し続けるだろう。
そして、私はその背中を追い続けてゆく。
ここに出走するある人馬の走りを観たかったからである。
私は熱心な地方競馬ファンと言うわけではない。
せいぜい交流重賞をたまに観る程度。
そのたまに観るレースである馬のことが徐々に気になってきた。
交流重賞は中央馬のためのレース。
地方馬では勝負にならない。
私の中ではそういう認識があった。
事実、中央勢が上位を占める結果が非常に多い。
そんな劣勢の地方馬の中で果敢に挑戦を続ける馬が居た。
しかも、その馬は北関東の高崎所属。
中央勢と戦える馬。
南関東や東北、あとは笠松くらいだろうか。
それ以外の地域はレベルが低く、とても相手にならない。
そういう思い込みがある私にはその馬の頑張りは胸を熱くさせた。
地方にはときに怪物と呼ばれるような強い馬が出現する。
そういう類稀なる存在ならば地方、中央を問わず活躍できる。
しかし、その馬はそこまでの天賦の才があるわけではない。
事実、中央勢の牙城を崩して勝ちきることは出来ない。
それでも短距離戦線で挑戦を続け、常に上位に顔を覗かせていた。
そうやって、戦い続ける限りいつかは勝てるのではないか。
挑戦を止めない限りいつかは報われるのではないか。
そんな想いから、この馬の走りに注目するようになっていった。
だが、この馬の所属する競馬場が昨年末で廃止されてしまう。
それから私はこの馬の走りを眼にすることは無かった。
それどころかこの馬の消息すら知らなかった。
それから月日は流れ、秋競馬に夢中になっていた頃あるニュースを眼にした。
それは笠松であの馬が勝ち星を挙げたというものだった。
そして、その手綱を取ったのはミスターピンクと呼ばれた地方の名手だった。
現在北関東には地方競馬が存在しない。
高崎の後、今年の3月に宇都宮も廃止された。
その宇都宮のリーディングジョッキーにして3000勝を挙げている名手。
地方では騎手ごとに勝負服が決められている。
その騎手服の色からその名がついたジョッキー。
その男は現在、鞭一本で全国を渡り歩こうとしている。
地方競馬の騎手免許は全国ライセンスである。
しかし、実際には他地区で自由に騎乗することはできない。
そんな矛盾に異を唱え、自らフリー騎手化を推進するために全国の地方競馬での騎乗を試みている。
夏に岩手で2ヶ月間の騎乗を達成し、次の仕事場として笠松で鞭を振るっていた。
失われた北関東出身の人馬が新天地でコンビを組み勝利を挙げる。
そんな素敵な偶然に私の胸は熱くなった。
その走りが認められ地元東海地区代表として地方競馬の祭典に出走する。
そんな知らせはこの人馬を応援せずに居られない気持ちにさせられた。
当日の走りは残念ながら見せ場を作ることが出来なかった。
それでも、この馬とジョッキーは挑戦し続けるだろう。
そして、私はその背中を追い続けてゆく。