表題作はハンセン病(旧名らい(癩)病)に罹患した主人公の青年(尾田高雄)が郊外の療養所(病院)に入院した1日目を描いた短編小説です。入院した夜、主人公は絶望的な心境から、首吊りによる自死を図りますが死にきれません。その夜更けには悪夢をみて目を覚まします。同病の患者で、病室の世話役を務めている佐柄木は主人公に、ここにいる人たちは人間ではなく生命そのものだと語ります。佐柄木もまた完全に失明する不安と闘いながら生きているのでした。「癩者に成りきって、さらに進んだ道を発見してください」という言葉をかけられた主人公に、やはり生きていこうという意志が生まれます。
絶望的な運命をどう受けとめるのかということを体で感じとりながら考えさせられる作品です。また、当時のハンセン病患者が置かれた状況を知る手がかりにもなります。

『いのちの初夜』 北條民雄 角川書店(角川文庫)
1955年(昭和30年)初版 カバー装画:大沢泰夫
収録作品は「いのちの初夜」、「眼帯記」、「癩院受胎」、「癩院記録」、「続癩院記録」、「癩家族」、「望郷歌」、「吹雪の産声」。また、「あとがき」(川端康成)、「北條民雄の人と作品」(光岡良二)、年譜が収録されています。
北條民雄は1914年(大正3年)生まれ、1934年(昭和9年)にハンセン病で全生病院(東京)に入院、1937年(昭和12年)に死去。
絶望的な運命をどう受けとめるのかということを体で感じとりながら考えさせられる作品です。また、当時のハンセン病患者が置かれた状況を知る手がかりにもなります。

『いのちの初夜』 北條民雄 角川書店(角川文庫)
1955年(昭和30年)初版 カバー装画:大沢泰夫
収録作品は「いのちの初夜」、「眼帯記」、「癩院受胎」、「癩院記録」、「続癩院記録」、「癩家族」、「望郷歌」、「吹雪の産声」。また、「あとがき」(川端康成)、「北條民雄の人と作品」(光岡良二)、年譜が収録されています。
北條民雄は1914年(大正3年)生まれ、1934年(昭和9年)にハンセン病で全生病院(東京)に入院、1937年(昭和12年)に死去。