3つの移入ルート
日本列島への移入ルートとして
主に3つの可能性があります。
・朝鮮半島から対馬を経て北部九州ルート
・台湾~琉球列島を北上するルート
・大陸の北側からサハリンを通って
北海道へと南下するルート
日本のY染色体について
Y染色体型から
九州・四国・本州における
ヒトの集団は、
C,D,N,Oのグループです。
そして主に6系統に分けられます。
日本(sample263) | |
C1a1 | 2.3 |
C2 | 3.0 |
D1a1 | 0.4 |
D1a2 | 38.8 |
N | 0.8 |
O1a1 | 3.4 |
O1b O-M95 | 0.8 |
O1b2 O-47z | 25.1 |
O1b2 xO-47z | 8.4 |
O2 | 16.7 |
Q | 0.4 |
C系統
C2系統・C1a1系統ともに
わずかですが日本で確認されています。
C2系統
C2系統はシベリアで
高頻度にみられる亜型で、
後期旧石器時代における
シベリアの細石刃文化と
関連するヒト集団の
遺伝子流入が想定されます。
四国・本州でも見られますが
地域的な偏りがあります。
C2系統はアイヌ民族でも
認められています。
日本 3.0%
アイヌ 25.0% 静岡 1.6%
徳島 2.9% 九州 7.5%
C1a1系統
南方系遺伝子の流入を
想定させるC1a1系統は、
九州の南部では確認できますが、
北部では0%と確認できません。
主に太平洋側を中心に確認されています。
発生は、日本列島ではと言われています。
分岐開始時代は、約11650年前。
日本固有
日本人 〜10% 縄文人 〜30%
徳島 10% 沖縄 6.8%
本州 4.9%
(青森7.7% 東京7% 静岡4.9%)
九州 〜3.8%
D系統
D1a2系統は、
高頻度で日本で確認されています。
D系統について
世界的にみると
D系統がまとまってみられるのは
日本列島とチベットという
特異性が高い分布を示します。
また、D系統は
ユーラシア大陸東部に限局しています。
YAPと呼ばれる変異の型を持っています。
D1a2系統
日本列島にはD1a2系統が
高い集積でみられ、世界でも稀な状況です。
日本人 38.8%
アイヌ 75.0% 青森 38.5% 静岡 32.8%
徳島 25.7% 九州 26.4% 沖縄 55.6%
D1a1系統
D1a1系統はチベットで
高い集積がみられます。
日本列島でも
非常に低頻度ですが確認できます。
N系統
日本では、
わずかに確認されています
N系統について
現在シベリア北西部と北欧(ウラル系)に
高い集積を示し、
新石器時代のヒトの移動を示しています。
青森 7.7% 静岡 1.6% 徳島 1.4%
O系統
日本では、
O1b2系統ある程度、
O2系統少数確認できます。
O系統について
O系統は弥生時代以降に
日本列島に流入した集団として想定されます。
O1b2系統
O1b2系統は日本列島以外では
朝鮮半島(51%)に高い集積がみられます。
なおO1b1系統は
日本ではほとんど確認されていません。
O1b2系統は渡来系弥生集団の可能性が
高いと思われます。
長江文明との関連も考えられます。
日本 33.5%
青森 30.8% 静岡 34.4% 徳島 30.0%
九州 32.1% 沖縄 22.2%
O2系統
O2系統は黄河文明、
漢民族との関連する系統です。
日本 16.7%
青森 15.4% 静岡 19.7% 徳島21.4%
九州 26.4% 沖縄 15.6%
アイヌのY染色体分析
アイヌ民族もDNAからみると
単一集団ではなく複数のルーツをもつ
異なるヒト集団によって成立しています。
Y染色体分析をすると、
C2系統及びにD1a2系統です。
アイヌではO系統、N系統、
C1系統、Q系統は確認できません。
C2系統 12.5%
D1a2系統 87.5%
沖縄の染色体分析
北方シベリア系C2、
N系統は認められません。
D1a2系統 55.6% C1a1系統 6.8%
O1b2系統 22.2% C2系統 15.6%
R系統 2.2%
続く