リートリンの覚書

古事記 上つ巻 現代語訳 三十七 沼河比売の返歌 その2


古事記 上つ巻 現代語訳 三十七


古事記 上つ巻

沼河比売の返歌 その2


書き下し文


青山に 日が隠らば
ぬばたまの 夜は出でなむ
朝日の 笑み栄え来て
栲綱の 白き腕
沫雪の わかやる胸を
そだたき たたきまながり
真玉手 玉手差し纏き
股長に 寝は寝さむを
あやに な恋ひきこし
八千矛の 神の命
事の 語りごとも こをば

 故其の夜は合はさずて、明日の夜御合為たまふ。


現代語訳


青山に 日が隠れたなら
ぬばたまの 夜に出でてください

朝日の 笑み栄え来て
栲綱の(たくづの) 白き腕
沫雪の わかやる胸を
そだたき たたきまながり
真玉手(またまで) 玉手を差しまき
股長(ももなが)に 寝(い)は寝(な)さむを
あやに な恋ひきこし
八千矛の 神の命

事の 語りごとも こをば

 故に、その夜は会わずに、明日の夜に御合(みあう)しになられました。



・ぬばたまの
「ぬばたま」のように黒い意から、「黒」「夜」「夕」「髪」にかかる枕詞
・栲綱の(たくづの)
コウゾなどの繊維で作った綱が白いところから、「しろ」、「しら」にかかる枕詞
・真玉手(またまで)
手の美称。玉のように美しい手
・股長(ももなが)
足を伸ばす
・あやに
言葉に表せないほど。何とも不思議に。むやみに
・御合(みあう)
肉体関係を結びなさること。結婚なさること


現代語訳(ゆる~っと訳)


青山に、
日が沈んだならば

ぬばたまの 
夜にあなた様はお出になられてください

朝日のような笑顔であなた様が来て

栲綱のような白い私の腕

沫雪のような若々しく見える私の胸を

愛撫し、
しっかりと抱擁して
 
玉のように美しい貴方の手と 
私の手をからみ合せて

足を伸ばし 
体を横たえ眠りましょう

いまはむやみに 
恋い焦がれないでください

八千矛の神の命よ

これを、事の伝え語る言葉にしましょう

 こうして、
その夜は結婚されずに、
明日の夜に結婚なされました。



続きます。

読んでいただき
ありがとうございました。







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