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リートリンの覚書

古事記 上つ巻 現代語訳 二十一 天照大御神と須佐之男命 宇気布・生まれた子を分ける


古事記 上つ巻 現代語訳 二十一


古事記 上つ巻

天照大御神と須佐之男命
宇気布・生まれた子を分ける


書き下し文


(天照大御神と須佐之男命)
 
 是に天照大御神、速須佐之男命に告りたまはく、「是の、後に生れし五柱の男子は、物実我が物に因りて成れり。故、自づから吾が子なり。先に生れし三柱の女子は、物実汝が物に因りて成れり。故、汝が子なり」と、如此詔り別けたふ。

 故其の、先に生れし神、多紀理毘売命は、胸形の奥津宮に坐す。次に市寸嶋比売命は、胸形の中津宮に坐す。次に田岐都比売命は、胸形の辺津宮に坐す。此の三柱の神は、胸形君等の以ち伊都久三前の大神なり。故、此の後に生れし五柱の子の中に、天菩比命の子、建比良鳥命、此は出雲国造、无邪志の国造、上菟上の国造、下菟上の国造、伊自牟の国造、津島の県直、遠江の国造等が祖なり。次に天津日子根命は、凡川内の国造、額田部の湯坐連、茨木の国造、倭の田中直、山代の国造、馬来田の国造、道尻岐閇の国造、周芳の国造、倭の淹知造、高市県主、蒲生稲寸、三枝部造等が祖なり。


現代語訳


天照大御神と須佐之男命
 
 ここに、
天照大御神(あまてらすおおみかみ)、
速須佐之男命(はやすさのをのみこと)に
述べられて、

「この、後に生れた五柱の男子は、物実(ものざね)は、我が物によって成れり。故に、自づから吾が子である。先に生れた三柱の女子は、物実が、汝の物によって成れり。故に、汝が子である」と、そのように詔りし別けました。

 それゆえに、先に生れた神、
多紀理毘売命(たきりびめのみこと)は、
胸形(むなかた)の奥津宮 ( おくつぐう ) に
坐(いま)す。

次に市寸嶋比売命
(いちきしまひめのみこと)は、
胸形の中津宮(なかつぐう)に坐す。

次に田寸津比売命
(たきつひめのみこと)は、
胸形の辺津宮(へつぐう)に坐す。

この三柱の神は、胸形君らの以ち
伊都久三前大神(いつくみまえのおおかみ)です。

故に、この後に生れた五柱の子の中の、
天菩比命(あめのほひのみこと)の子、
建比良鳥命(たけひらとりのみこと)は、
これは出雲国造
(いずものくにのみやつこ)、
无邪志国造
(むざしのくにのみやつこ)、
上菟上国造
(かみつうなかみのくにのみやつこ)、
下菟上国造
(しもつうなかみのくにのみやつこ)、
伊自牟国造
(いじみのくにのみやつこ)、
津島県直
(つしまのあがたのあたい)、
遠江国造
(とおつおうみのくにみやつこ)らの
祖(おや)です。

次に
天津日子根命
(あまつひこねのみこと)は、
凡川内国造
(おほしかふちのくにのみやつこ)、
額田部湯坐連
(ぬかたべのゆゑのむらじ)、
茨木国造
(いばらきのくにのみやつこ)、
倭田中直
(やまとのたなかのあたい)、
山代国造
(やましろのくにのみやつこ)、
馬来田国造
(うまくたのくにのみやつこ)、
道尻岐閉国造
(みちのしりのきへのくにのみやつこ)、
周芳国造
(すはのくにのみやつこ)、
倭淹知造
(やまとのあむちのみやつこ)、
高市県主
(たけちのあがたぬし)、
蒲生稲寸(かもうのいなき)、
三枝部造(さきくさべのみやつこ)らの
祖です。



・物実(ものざね)
物事の元になるもの。物のたね
・胸形(むなかた)
宗像大社
・出雲国造(いずものくにのみやつこ)
出雲国(現在の島根県東部地方)を支配した国造
・无邪志国造(むざしのくにのみやつこ)
のちの武蔵国東部と鳴る地域を支配した国造
・上菟上国造(かみつうなかみのくにのみやつこ)
上総国海上郡(現在の千葉県市原市の一部)を支配した国造
・下菟上国造(しもつうなかみのくにのみやつこ)
後の令制国の下総国東部、現在の千葉県銚子市、旭市及び香取郡一帯を支配した国造
・伊自牟国造(いじみのくにのみやつこ)
後の令制国の上総国埴生郡、現在の千葉県茂原市の一部と長生郡長南町および睦沢町の一部を支配した国造
・津島県直(つしまのあがたのあたい)
対馬国を本拠とした古代日本の豪族。対馬国の国造
・遠江国造(とおつおうみのくにみやつこ)
遠淡海国(遠江国西部)を支配した国造
・凡川内国造(おほしかふちのくにのみやつこ)
凡河内国と呼ばれた地域(後の河内国、和泉国、摂津国に相当する)を支配した国造
・茨木国造(いばらきのくにのみやつこ)
常陸国中部を支配した国造
・馬来田国造(うまくたのくにのみやつこ)
上総国中西部を支配した国造
・道尻岐閉国造(みちのしりのきへのくにのみやつこ
古代に常陸国北端を支配した国造
・周芳国造(すはのくにのみやつこ)
周防(周芳)国(現・山口県東部)を支配したとされる国造


現代語訳(ゆる~っと)


天照大御神と須佐之男命
宇気布・生まれた子を分ける
 
 ここで、天照大御神は、
速須佐之男命に述べて、

「この、後に生れた五柱の男子は、
私の持ち物によって、出現した。
であるから、自ずと私が子です。

先に生れた三柱の女子は、
お前の持ち物によって出現した。
であるから、お前が子です」
と、仰り、生まれた神を分けました。

 こういうわけで、
先に生れた神、多紀理毘売命は、
宗像大社の奥津宮に鎮座しています。

次に市寸嶋比売命は、
宗像大社の中津宮に鎮座しています。

次に田寸津比売命は、
宗像大社の辺津宮に鎮座しています。

この三柱の神は、
宗像君が祀る伊都久三前大神です。

こういうわけで、
この後に生れた五柱の子の中の、
天菩比命の子・建比良鳥命は、

出雲国造、无邪志国造、上菟上国造、
下菟上国造、伊自牟国造、津島県直、
遠江国造らの祖神です。

次に天津日子根命は、
凡川内国造、額田部湯坐連、倭田中直、
山代国造、馬来田国造、道尻岐閉国造、
周芳国造、倭淹知造、高市県主、蒲生稲寸、
三枝部造らの祖神です。

明日に続きます。

読んでいただき
ありがとうございました。




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