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リートリンの覚書

古事記 上つ巻 現代語訳 十八 天照大御神と須佐之男命


古事記 上つ巻 現代語訳 十八


古事記 上つ巻

天照大御神と須佐之男命



書き下し文

(天照大御神と須佐之男命)

 故是に須佐之男命、言したまはく、「然あらば天照大御神に請して罷らむ」とまをす。天に参上りたまふ時、山川悉く動み、国土皆震ひぬ。尓して天照大御神聞き驚きて詔りたまはく、「我が那勢の命の上り来る由は、必ず善き心にあらじ。我が国を奪はむと欲ふのみ」とのりたまふ。、御髪を解き、御美豆羅に纏かして、左右の御美豆羅に、亦御かづらに、亦左右の御手に、各八尺の勾たまの五百津美須麻流珠を纏き持たして、曽毘良邇は千入の靫を負ひ、比良には五百入の靫を附け、亦伊都の竹鞆を取り佩かして、弓腹振り立てて、堅庭は向股に蹈み那豆美、沫雪如す蹶ゑ散かして、伊都の男建、蹈み建びて、待ち問ひたまはく、「何故にか上り来つる」と、とひたまふ。尓して速須佐之男命、答へ白さく、「僕は邪き心無し。唯大御神の命以ち、僕が哭き伊佐知流事を問ひ賜ふ。故、白し都良久、『僕は妣の国に往かむと欲ひて哭く』とまをす。尓して大御神詔りたまはく、『汝は此の国に在るべくあらず』とのりたまひて、神夜良比夜良比賜ふ。故、罷り往かむとする状を請さむと以為ひ参上りつらくのみ。異心無し」とまをしつ。尓して天照大御神詔りたまはく、「然あらば汝の心の清く明かきは何して知らむ」とのりたまふ。是に速須佐之男命答へ白さく、「各宇気比て子生まむ」とまをす。



現代語訳


天照大御神と須佐之男命

 このゆえに須佐之男命は、仰せになられ、「然あらば、天照大御神にもうしてから罷(まか)ります」といいました。

天にまい上りになられる時、山川はことごとく動き、国土は皆、震えました。

それから、天照大御神はこれを聞き、驚いて、仰せられ、「我が那勢(なせ)の命が上り来る理由は、必ず善い心ではない。我が国を奪おうと思っているだけだ」と仰りました。

御髪を解き、御美豆羅(みみずら)に纏(ま)き、

左右の御美豆羅にも、また御縵(みかずら)にも、また左右の御手にも、おのもおのも、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)の五百津之美須麻流之珠(いほつのみすまるのたま)を纏(ま)き持ちて、

曽毘良(そびら)には、千入(ちのり)の靫(ゆき)を負い、比良(ひら)には、五百入(いほのり)の靫(ゆき)をつけ、また、伊都之竹鞆(いとのたけとも)を取り佩(は)かして、弓腹振り立てて、

堅庭(かたにわ)を、向股(むかもも)まで蹈みつづけて、沫雪如く蹶(くゑ)散(はら)かして、伊都の男建、蹈建(みたけび)て、待ち問いになられ、「何故にか、上り来たのか」と、仰られました。

そこで、速須佐之男命が、答えもうされて、「僕は邪(きたな)き心は無い。ただ、大御神の命をいただいたが、僕が哭き、伊佐知流(いちさる)事を問いになられました。

故に、もうして、『僕は妣(はは)の国に往きたいと思って哭く』と申しました。それから、大御神が仰られ、『汝はこの国に居るべきではない』と仰り、神夜良比夜良比(かむやらひやらひき)をいただきました。

故に、罷(まか)り往こうとする状(さま)を申そうと思い、まい上っただけで。異(け)しき心はありません」と申しました。

そこで、天照大御神が仰られ、「然あらば、お前の心の清く明らかなことを、何をして知らせるのか」と仰られました。

ここに速須佐之男命が答えて申すには、「おのもおのおも宇気比(うけい)をして、子を生みましょう」と仰られました。



・那勢(なせ)
女性が相手の男性を親と敬意を込めて呼ぶ表現
・御美豆羅(みみずら)
大和時代に始る男子の髪型の一つ。髪を頭の中央で左右に分け,両耳のあたりで束ねて輪状に結ぶ
・御縵(みかずら)
髪飾り
・八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)
緒に通した勾玉
・五百津之美須麻流之珠(いほつのみすまるのたま)
非常に数の多い玉を結んび連ねたもの
・曽毘良(そびら)
背中
・靫(ゆき)
矢を入れる道具
・比良(ひら)
腹部
・伊都之竹鞆(いとのたけとも)
音高くひびく鞆
・堅庭(かたにわ)
堅い地面
・蹈建(みたけび)
強く足踏みして勇猛さを示す。強く地を踏みつけて叫ぶ
・伊佐知流(いちさる)
はげしく泣く。慟哭、泣き叫ぶ
・神夜良比夜良比(かむやらひやらひき)
追放
・宇気比(うけい)
古代日本で行われた占い


現代語訳(ゆる~っと)


天照大御神と須佐之男命

 そこで須佐之男命は、仰せになられ、「それならば、天照大御神に、理由を説明してから根の国へ行くことにしましょう」といいました。

天に舞い昇る際に、山川はことごとく動き、国土は皆、震えました。

それから、天照大御神はこれを聞き、驚いて、仰せられ、「我が弟の命が上り来る理由は、必ずや善い心ではない。我が国を奪おうと思っているだけだ」と仰りました。

御髪を解き、御美豆羅に束ね、

左右の御美豆羅にも、また髪飾りにも、また左右の御手にも、各々、八尺瓊勾玉の五百津之美須麻流之珠を巻きつけて、

背中には、千本矢が入る靫(ゆき)を背負い、腹部には、五百本の矢が入る靫をつけ、また、音高くひびく鞆を取り、身につけて、弓腹振り立てて、

堅い地面を、両足が地面にめり込むほど踏みつけて、沫雪ように蹴散らし、強く地を踏みつけて叫んで、待ち問いになられ、「何故にか、上り来たのか」と、仰られました。

そこで、速須佐之男命が、答えもうされて、「僕は邪心は無い。ただ、大御神の命をいただいたが、僕が哭き、泣き叫ぶので、理由を問いになられました。

こういうわけで、『僕は母の国・根の国に往きたいと思って哭く』と申しました。

それから、大御神が、『汝はこの国に居るべきではない』と仰り、追放を言い渡されました。

こういうわけで、根の国へ行く状況を報告しようと思い、舞登っただけで。卑しい心はありません」と申しました。

そこで、天照大御神が仰られ、「そうならば、お前の心の清く明らかなことを、何をして知らせるのか」と仰られました。

ここに速須佐之男命が答えて申すには、「各々占いをして、子を生みましょう」と仰られました。

明日に続きます。

読んでいただき
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