やったあ、第3弾です。
いいね、読書感想文って、こんなに楽しいものだとは思いませんでした。
ひとりひとり、作品との向き合い方が違うんですね。
本当に本を読み聞かせしていただいているようです。楽しいなあ。
きょうはまろうさぎさんですよ、ではどうぞ!!
まろうさぎさん、ありがとうございます。
角川文庫L図書賛同企画第3弾
「福音の少年」(まろうさぎ)
「発見。角川文庫 夏の100冊」L図書賛同企画
<選んだ本の題名>
「福音の少年」あさのあつこ
<選択理由>
人と本との出会いは複雑だ。
運命のように出会って一生の支えとなる本もあり、
その年代で読んだからこそ、
ガツンと衝撃を受けて根底を覆される本もある。
あさのあつこという作者には、10代で出会いたかった。
そうしたら、たぶん、人生がもう少し早く楽になったと思うから。
もちろん、今読んでも、心動かされるけれど、
あの当時の、人生に訳も分からず絶望し、
絶望することで自分は特別だと勘違いしていた私に、
つきつけてやりたい。
夏の読書は、あの頃に戻る読書でもある。
そんな個人的理由での選択です。
<感想>
ストーリーはミステリー風。
16歳の永見明穂(ながみあきほ)の
彼女であった北畠藍子(きたばたけあいこ)が、
アパートの火事で焼死する。
単なる事故とは思えない明穂は、
藍子の幼馴染で同級生の柏木陽(かしわぎよう)とともに、
真相をさぐりはじめる。
作者はミステリーとしての筋書きよりも、
明穂と陽の抱える闇を重視して描いている。
どこにいても、誰といてもどこかずれていて、
ずれていることが重荷で学校や家族など
自分を縛る全ての絆から自由になりたいという
願いをひそかに持つ二人。
特に明穂は、藍子から「本気で誰かを好きにならなくちゃ、
連れて行かれちゃうよ」と言われる闇を抱えている
(その藍子も、自分ではどうしようもない闇と闘っている女の子だった)。
明穂と陽は、自分の暗部に苦しみ、
何とかコントロールしようともがく。
お互いに似ているからこそ反発しあい、
でも必要としあう二人のやりとりが、
真相に近づくにつれて純化していく。
そこが本書の読みどころだろう。
しかし、今の私にとっては、
明穂の父秀雄の存在がよかった。
こういう大人が身近にいることで、
明穂も陽も大丈夫だと確信できた。
たまたま明穂の家に泊まりに来ていたために、
一人だけ助かった陽(陽は藍子と同じアパートに住んでいて、
陽の家族も皆焼死した)を、守ろうとする秀雄。
それが大人として当然のことだからと。
そんな父を見て、明穂は、「父さんのようには生きられない。
誰も守れないし、救えない。光を浴びてまっとうに
他人を思いやったりできない。
そんな眩しい生き方、きっとできないよ」と思う。
父は父で、息子の欠落した部分を感じて心配し、
親として人間として何もしてやれないことに苦しんでいた。
せめて自分のできる限りのことはしてやりたい。
その思いは、陽に対しても注がれる。
確かに秀雄には、明穂と陽の闇は想像できないし、
理解できないに違いない。
しかし、守ることはできる。
その守り方がまっとうな大人の守り方だった。
この人がいれば、二人の少年は、闇に引きずり込まれることは
ないだろうと思えた。
本書は、あさのあつこの著作の中では、
それほど優れているとは正直思わない。
(まだ完結していませんが、お勧めは、講談社「No.6」です)
しかし、自分だけが暗い衝動を抱えているんだと、
誰にもこんな冷たい自分は理解してもらえないと、
思っていた10代の私が読んだら、
きっと明穂と陽に感情移入をして読んだだろうな、
そう思える夏の一冊に出会った。
まろうさぎさん、ありがとうございます。
印刷の文字ではそんなに読書欲をそそられないのに、
なんてことでしょう(笑)
あさのあつこさんは「NO6」をもっているのに、
読んだことがありませんでした。なのに、
まろうさぎさんのレビューを読んで、
ぜひ読んでみたくなってしまいました。
不思議なものですね。
どこか、「人間失格」に通じるモチーフですよね。
あの小説も、読む人はみな、自分が主人公だと思うらしいですよ。
誰だったか、20歳の頃が一番いやらしいと言っていました。
自分にはなんでもできるみたいな、ぎらぎらしているさまが
醜くてしようがないと・・。
でもひょっとしたら、そういう20歳は世界に最もちかづく世代、
なのかもしれません。
その20歳に至るまでの、少年たちの闇。
その闇がぎらぎらとした、さんざめくひかりの洪水に豹変する瞬間、
それが≪第二の生≫のはじまり、なのかもしれないですね。
では、その前の、第二の胎児ともいうべき少年期。
かれらのこころのうちで何が起こっているのか、知りたくなりますね。
そして父親の側にきちんとたてるのかどうか、
検証がぜひ必要だと反省しました。(読む前から無理と、・・・爆)
まろうさぎさん、
素晴らしいレビューをありがとうございました。
角川夏の100冊まであと、97冊です(笑)
既出の本でも構わないですよ。
その作品と、向き合った感動がたいせつ。
100個のレビューを集めたいのです(笑)。
あなたも松山くんのキャンペーンを盛り上げてください。
レビューをお待ちしております!!
期限はあなたの夏が終わるまで(笑)
400文字以上、が最低ライン。ちょろいもんですよ(笑)
既出作品・・・
「ブレイブストーリー」(宮部みゆき)
「水の時間」(初野晴)
松山くんのおかげで私も久しぶりに読書というのを復活させました。
だけど、本はいっぱいあってどれを選べばいいか分からない!
レビューも数あれど、あまり心を動かされないものも多かったりするのですが…
やはりL図書に集う皆さんは凄いですね!
おかげで読みたい本を迷わず決められます。
まろうさぎさんが書かれている、絶望することで自分は特別だと勘違いしていた私につきつけたい、という言葉が突き刺さりました。
私もまさに10代はそうだったし、今でもそういう面は残っているように感じています。
とても強くこのレビューに魅かれました。
何か教えてくれることがたくさん詰まってるような気がしてならないのです。
まろうさぎさん、出会わせてくれてありがとうございます。
そして樹さん、前回のコメントの続きですが
(いつの話しだw)水の時計読み終わりました。
もう、松山くん&ワタリ&真希ちゃんに脳内キャスティングしたせいで後半大変なのめりこみ方をしてしまい中々抜けだせない程でした。
本当にこれは映画化して欲しい…
おーい、スタッフゥ~(笑)
そして乙一の「GOTH」も読みました。
樹さんのHNの由来になったと聞いて読まずにはいられないっていう話です!
こちらもしばらく現実に戻れないくらいののめりこみ様でした。
すごすぎました。今も最後の章(声)が頭から離れません。
好きな作家の作品じゃない場合、裏表紙のあらすじだけでは
なかなかその本を手に取ることは少ないんですけど、
こうやってみなさんのレビューを読ませて頂くとどれもこれも読みたくなりますね~!
今年の夏は読む本がたくさん☆
まろうさぎさんがご紹介くださった「福音の少年」も
本屋ではよく見かけるんですけど、なかなか手が伸びなくて。
でも、まろうさぎさんのレビューのおかげで俄然興味が沸いてきましたー。
素敵なレビューをありがとうございます♪
いつも素敵なコメントありがとうございます。
あの年頃の少年少女の数%(もしくは十数%)は、自分の闇を見つめて絶望するのではないかとそんなふうに思います。
そんな闇を全く経験・想像しない人はいないのではないでしょうか。
光が強ければ闇も深いように、キラキラして見える人ほど闇は深い気もします。
読書会みたいに、同じ本でも違う方のレビューを読んで、いろんな視点を見たいですね。
あと、97冊! 何冊書けるかな。
>陽良さん
コメントありがとうございます。
自分は特別だという絶望と思いあがりは表裏一体だと思うのですが、
この物語の少年たちは、表現の形は違えど、昔の私でした。
同志を見つけた安心感、そして、それでも、間違った方向へすすまずにすむというメッセージは強烈だと私は感じました。
新聞の書評よりも、気心が知れていて、共通基盤がある分、なんだか「読みたい!」と思いますよね。私も早速、紹介された本、手を出し始めました。
ご無理でなかったら、陽良さんのレビューも、読みたいです。
>うららさん
コメントありがとうございます!
ストーリーはほとんど紹介してないレビューですみません。
ストーリーよりも、ついついキャラ読みをする傾向がありまして(笑)
あさのあつこさんは、非常に丁寧に書かれる分、ストーリー展開を求める方にはじれったく感じるかもしれません。
でも、できれば10代で読んでおきたかったなと思わせる非常に良質なYAをお書きになる方だと思います。「バッテリー」も映画・ドラマよりも、もっと複雑な心情を描いています。
今年は、本当に「読書の夏!」になりそうで、楽しみです。
まろうさぎさんのレビュー待ってました!
陽良さんもおっしゃっていますが、「絶望することで自分は特別だと勘違いしていた私に、つきつけてやりたい」という言葉にどきっとしました。
同じ本でも、昔すごく感動した本が今読むとそうでもなかったり、昔つまらなくて途中でやめてしまったような本が今読むととてもおもしろかったり。
本って自分の年齢やその時の状況、心理状態で、全く異なった感じを受けますよね。
だから「10代のうちに読んでおきたいこの一冊」というのは本当にあると思います。
10代に限らず20代、30代・・・と。
本も人と同じで、出会いですよね。
いろんな本に出会える機会をもたせてくれた松山くん、そして彼を起用してくれた角川文庫に感謝です。そしてそれに賛同しているL図書にも☆
たくさんあって選べない~!(さらに、あの帯たちが惑わせるのだ。笑)なんて悩んでたんですが、L図書のレビューのおかげで読みたい本がすぐ決まりそうです♪
今日は私も時間があったので、松ケンが表紙を飾った人間失格を読みました。まずはこれを読破してから、こちらで紹介された本を読みたいなぁと思います。
あさのあつこは読んだことないし、単なるミステリーじゃないところも興味がそそられます。ぜひ読みたいわん。
まろうさぎさん、素敵なレビューありがとうございます~。
本オタな私ですが 最近中々読めなくて くすん
でもこれ ミステリなんですね ミステリ大好きなんで そのうちトライしてみます! 実は私も買ったんですよ角川
ただ 夏だから(笑) ホラー系を少し
三津田信三さんを少しずつ読んでます三津田さんはかなり好評価されてる作家さんなので 今昨も面白いといいなと思ってます
前に読んだ時は乙一タイプに感じたんだけど(笑)
コメントありがとうございます!
本当に、同じ本でも、年齢を選ぶ本ってあるんですよね。味わい方が違ったり、衝撃を受ける部分が違うというか…。
(何度読んでも、面白さがわからない本ってのもありますけれどねwww)
私は「10代のうちに読んでおきたい」本がある一方で「10代では無理だから大人になってから読んでね」という本があると思ってます。
逆にそういう帯をつかったら、背伸びしたい10代が読みそうですけれど。
>まよさん
コメントありがとうございます。
本当、今年は「ジャケ買い」ならぬ「帯買い」ですね。
今まで読んだことのない作家さんにも開眼する夏になりそうです。
「人間失格」私は透明のブックカバーをかけて、本棚に飾ってあります。読むのはもっぱら前の文庫。でも、今回の方が字体が大きくて読みやすそうですね。これで太宰に目覚める人がいると嬉しいような、人生を少し狂わせてしまうので心配なような…。
>藤原さん
コメントありがとうございます。
うーん、これは「ミステリ」と言うには、ちょっと謎解きが弱すぎる感じです。
(なので「ミステリー風」としてみました)
ホラー…うぅ、苦手ジャンルなんですが、藤原さん推薦なら読んでみようかな。
乙一さんタイプなら、読めるはず。
三津田さん、お名前を存じ上げなかったので、メモしておきます!
レビューとコメレス、ありがとうございました。
印刷のなかでの紹介は読み飛ばして終わり・・
せっかくの出会いをなくすこともあります。
だけど、ひとの声で聞かせてもらったものは
印象に残りますね。
たとえ買わなくても、あのとき、あのひとが
話してくれてたなあって、
感慨はきっとこころに残ります。
たくさんL図書にそんなひとりひとりの感慨イコール、
お話が集まるといいですよね。