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崔監督インタビュー「ケンイチが、いとしかったですね」

2009-07-27 | 松山ケンイチ

松フリさまんち情報掲示板にてベルボさまが崔監督の
とても素晴らしいインタビューを紹介してくださいました。
ベルボさま、ありがとうございます。


崔監督インタビュー
「ケンイチが、いとしかったですね」

(yomiuri onlineからインタビューを一部抜粋引用しています)

 原作の漫画「カムイ外伝」は、累計発行部数1000万部以上という「カムイ伝」
(正伝)の番外編にあたる。この外伝だけでも、発行部数は320万部に及ぶ。
反差別・反権力の社会思想が色濃い正伝に対し、外伝は忍者組織を抜け、
追っ手からの逃走を続けるカムイの精神状態を深く描いているのが特徴だ。

 今回の映画は、1982年に全15回にわたって「ビッグコミック」誌(小学館)に
連載されたエピソード「スガルの島」編を基にしている。



■原作を分析すると、不可能とも感じる■
 激しい忍者アクションや主題の難しさから実写化は不可能とも言われていた
「カムイ外伝」。しかし、崔監督は今回の映画で、原作の雰囲気を見事に映像化
することに成功している。カムイの世界を撮るにあたって、監督が気をつけた
ことは何だろうか。

 「白土さんの作品世界をよく知る原作の読者が、非常に難敵だなあと最初に
思った。強い支持を得ている原作というのは、読者1人1人の中に完璧なイメージ
が出来ている。リアルタイムで読んでいた僕もその1人。だから映画『カムイ外
伝』が企画化され、やるぞ、という緊張と同時に、大変だなあと。映画化へ向け
原作を分析すると、ほとんど不可能とも感じる。現実的にこれをどうやって撮る
んだ、という困難にたちまちぶつかる。それがスリリングだった」

 「アクションの撮影は、CG(コンピューター・グラフィックス)でやれば
いい、ワイヤアクションでやればいい……というのは理屈としてはその通りだが、
人間がどこまでできるのかの判断が難しい。カムイ役には松山ケンイチしか僕の
頭の中になかったが(アクション初挑戦となる)ケンイチがどれだけやってくれる
か。彼はスーパーマンじゃない。ある程度、VFX(特殊効果)などの方法論を
使わないといけない。アナログ(人間の演技)とデジタル(CG処理)の案配を
どうするかが、現場にカメラを据えた時の最初の難関だった」



■今、「カムイ外伝」が映画化される意義■
脚本は、宮藤官九郎さんが担当。崔監督と1年半かけた議論の末、結果的に
ストーリーは原作に近いものになったという。

 「外伝」を含む「カムイ伝」シリーズは、差別と階級闘争がテーマの一つで
ある。折しも近年は『格差社会』と言われ、小林多喜二の小説『蟹工船』がブーム
だ。今、カムイ外伝が映画化される意義を、監督自身はどう感じているのか。

 「意義とか意味性はあまりないと思う。時代が必然的にひねり出した企画だと
言えば、その通りかもしれない。だけれども、『蟹工船』と『カムイ外伝』は
本質的には違う。『蟹工船』は、時代への反発、階級格差の中での反乱。一方の
カムイは、最下層に生まれ不自由な中で育った少年が、自らのたくましさを確認
し、世の中に出ていくための手段としての暴力=忍者を選ぶという物語だ。だか
ら、この映画には『生き抜け』というキャッチコピーを付けた。生き抜くために
カムイは忍者の世界に飛び込んだが、そこも不自由だったから逃げた。ある掟
(おきて)や縛りの中に自由さはないと気付くわけだ」

 「カムイ伝と外伝も違う。正伝は、カムイを媒介にして運動論・組織論と、
うねるような群像劇、時空を超えるような大河ドラマを描いた。でも、外伝は
逃げる者としてのカムイの内面を見つめ、暴力の中で自己を発見する物語であり、
正伝に対してのスピンオフ(派生作品)だ。だから、今回は外伝なんだと、私も
自分の中で明確に分けた」



■僕は精神論と説教が大嫌いだから■
 CGなどの映像技術も多用しつつ、撮影ではあくまで生身の演技を軸とした。
松山さんが足にけがをするなど、困難も多かった。

 「僕は全面的にケンイチに信頼を寄せているから。ケンイチも(ヒロイン役の)
小雪さんも、ものすごく東京で訓練した。でも夜でも30度を超える熱さの沖縄の
撮影現場は環境が違う。完璧ということはない。だからといって不満足かと言えば
そんなことはない。我々にとっての100%というのは最終的には現場だけではない
ということ。僕は精神論と説教が大嫌いだから。技術論として、高みに行けるとこ
ろまでやろうと。現場では俳優たちにかなりの無理を強いることもあったし、アク
ションに関しては日々葛藤(かっとう)だった」



■ケンイチが、いとしかったですね■
終盤の重要な場面では松山さんが演技に行き詰まり、スタッフが周囲でかたずを
のんで見つめる中、監督と1対1で話し合ったことも。結果として、素晴らしい
演技になった。

 「ケンイチには、カムイが何者であるかを5分ほど話した。彼は黙ってそれを
聞いてうなずき、涙を流した。『茫然自失(ぼうぜんじしつ)になっている』と
正直に言えるケンイチが、いとしかったですね。後で彼は『(監督が)母のように
思えた』と言っていたが、オレはそんなつもりは全然なかったよ(笑)。つまり、
その時2人は同じ困難に向き合っていたわけで、それを共有できる言葉を探した。
オレのカムイはこうだ、と言った時に、彼が共鳴してくれた」
                       (yomiuri online)

記事全文はここから


実に読み応えのあるインタビューですね。
崔監督といえども、≪カムイ外伝≫を映画化するに当たっては、
まだ脚本や俳優をきめる前から、とんでもない巨大な
見えない壁を相手にしていらしたのだなあという気がします。

松山さんはこれまで原作(漫画)のある重要なキャラクターを
演じてこられました。なかでも、
NANAのSHIN、
デスノートのL、
DMCのクラウザー&根岸・・
圧倒的な人気のある原作の実写化に当たっては
いつも実にたいへんな思いをしてこられたのでしょう。
でもそれは同時に監督の不安でもあったのですね。
原作のプレッシャーというのは想像を絶するほど、
重いものなのですね。

別の雑誌「アクチュール」で小栗旬さんが、
「≪カムイ外伝≫はCGを多用しているんですね」と尋ねた時、
崔監督は「そりゃあケンイチが10メートルのとこから飛んだら
カッコいいと思うけど。でも、バックが青(CG)であろうと
そうでなかろうと、人間がやることは同じだから」と
答えられていました。
それに呼応することと心配が上記で述べられているのですね。
でも監督の心配は松山さんや小雪さんの、事前の東京での訓練を
ふくめ、灼熱の沖縄で見事に払拭されたということなのでしょう。

この夏話題の「蟹工船」と作品としての成り立ちを比較して、
言及してくださっているところもとても興味深く読ませていただきました。
「蟹工船」は階級社会にたいする労働組合の黎明期の姿を描いていますが、
カムイは個人としての闘いです。軽重は言えないですが、カムイの
運命の過酷さは際立っていますね。

>「ケンイチには、カムイが何者であるかを5分ほど話した。彼は黙ってそれを
>聞いてうなずき、涙を流した。『茫然自失(ぼうぜんじしつ)になっている』
>と 正直に言えるケンイチが、いとしかったですね。

監督がこんなふうに語っていらして、
このうえ、何をか言わんや。ですね。
もう、松山さんは涙した瞬間から
カムイを生きはじめていたんですね。
↑  ↑  ↑

お恥ずかしい、読み違えていました。
撮影前と勘違いしていました。

撮影がある程度進んできたら、きっと、
俳優さんにも役にたいする方法論が確立してくるのではと
思うのですが、
終盤になっても、まだ、松山さんのなかでは
カムイを掴みきれず、
こころを全開にして、
監督の言葉をただただこころに浴びたのでしょうね。
我執に囚われない姿、俳優さんならプライドなどが
邪魔したりするかもしれないですが、
そういうの、いっさいなかったんでしょうね。

偉そうなこと言ってすみません。





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6 コメント

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Unknown (KS)
2009-07-27 06:22:10
おはようございます。

こんなに監督方に好かれる俳優っているんでしょうか?

他の俳優さんの記事を読まないので、どう言っていいやら、ですが。
こういう仕事をしていて、監督やスタッフに好かれるって大事な事ですよね。
いや、俳優業と言わず、どんな職業でも同じ事は言えますね。

崔監督、これからも宜しくお願いします。と言ってみた(笑)

ああ、今日は+actの発売日。
どんな言葉が詰まっているのか楽しみだ~。

返信する
Unknown (れいちぇる)
2009-07-27 08:42:24
樹さん、おはようございます。

先日はオフケンありがとうございました~
まじめな話に絡めないアホーな子ですみませんです。ペコ。

ところで
>「ケンイチには、カムイが何者であるかを5分ほど話した。彼は黙ってそれを
>聞いてうなずき、涙を流した。『茫然自失(ぼうぜんじしつ)になっている』
>と 正直に言えるケンイチが、いとしかったですね。
うええええん!私もコレを聞いて涙を流したよ。
やっぱり嘘ついたり自分を偽る行為をするのは、相手からすると
信頼されてないって気がしますよね。
素直に自分の言ったことに共鳴してくれたら、監督、そりゃあ「いとしく」なっちゃいますよね。
あ~~私もケンイチがいとしいわ。←今にはじまったことじゃない。
しかも図に乗って呼び捨て(笑)
返信する
KSさんへ ()
2009-07-27 19:44:24
こんばんは、KSさん。

+アクト、手に入りましたか?
≪カムイ外伝≫について、読み応えありましたね。
あれ、総括して伝えるのは無理と諦めた←早ッ笑
監督さんって個性強い感がありますよね。
価値観も嗜好も違うと思うのに、
いろんな監督さんから絶大なる支持をうけて、
すごいですね、松山さん。
作品と向き合うのがたいへんなのに、頼りとする監督と
短い時間で信頼関係を結べるからこそ。
あらためて敬服します。
返信する
れいちぇるさんへ ()
2009-07-27 19:53:29
こんばんは、れいちぇるさん。
このあいだはこちらこそ、オフケンありがとうございました。
それから今日のメールも!
可愛かったです、写ってたね(*^:^*)

ひとの話を聞いて泣けるって、どれだけ相手を信じてるかっていうのも、
あると思うんですね。
警戒して緊張していたらそういうの、ありえないですから。
柔らかなこころだなあ。
カムイになって監督の言葉に救われたことだってあるんじゃないかな。
カムイは松山さんに受け止めてもらえて、幸せでしょうね(涙)
返信する
Unknown (とらん)
2009-07-27 21:19:28
こんばんは。

撮影中に「5分」てけっこう長いですよね。
松山君が泣いてしまうなんて監督どんなことを云ったんでしょう。

監督は松山君の出演作を何本か観ていて、
「カムイは松山ケンイチしかない‥」と仰っていましたが「何を」ご覧になったのか気になる処です。
大・代表作なら『Death NOTE』シリーズですが、Lとカムイではキャラクターとしてはイコールにはならないのでスクリーンを通じて感じたのは自分と“共に闘ってくれる俳優かどうか"ってことなのかな?と思います(私の勝手な考えですが)

ほんとうに後先考えずに(笑)まっすぐ正直でいとしい青年なんでしょうね。

絶賛“夏バテ中・笑"なのでだらだらとした文章でお恥ずかしいです。
スミマセン…
返信する
とらんさんへ ()
2009-07-28 06:34:02
おはようございます、とらんさん。
夏バテ中ですか?大丈夫ですか?
食がすすまないなら、スープ類がいいですよ。
どうしてもだめなら、そのスープを
冷たいものにすると、案外喉を通ると思います、
ご自愛くださいね。

崔監督、なんと仰ったのでしょうね。
このときに母性を感じられたのかなあ。
怖いと評判で、事実松山さんも舞台挨拶で仰っていらしたけど、
人間って多面体ですもの、どこをそのひとの本質として、
感じられたかなのかもしれませんね。

崔監督、どのキャラクターの演技をご覧になったのか?
もし前から松山さんに注目なさっていたのなら、
全作品をご覧になっていらしたかもしれませんね。
あらゆる役をこの子はこんなに深く受け止めている、
そういう想いが見えたのかもしれません。
椿の前にキャスティングがあったわけですから、
そんなに主要な役の本数はないと思うのですが、
そういう映画でもずっと真摯に演技した姿は
監督の目とこころに
しっかり根を下ろすのでしょうね。
返信する

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