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横浜聡子脚本「時々迷々」見ました~

2009-11-12 | 松山ケンイチ

11月4日付≪どんだんずカーニバル≫で告知の教育テレビ番組、
再放送を見ました。

横浜聡子脚本「時々迷々」見ました~

皆様。
『さわやか三組』
をご存知でしょうか。
そうです。
かの有名な、NHKの小学生向け教育番組です。

小学生の頃、
道徳の授業はあまり好きじゃなかったですが、
授業中あの番組を見る時間は大好きでした。
大人になってから
『さわやか三組』を見直す機会がありましたが、
脚本、演出、撮影方法、
そのレベルの高さに感嘆致しました。

その後継番組が、
『時々迷々』。
人間の心に潜むいろんな葛藤を描いた
大人も楽しめるドラマなのです。
毎回登場する迷々を演じるのは、
片桐はいりさん!

この度、時々迷々の脚本をやらせていただきました。

放送日:11月4(水)・6(金)・11(水)・13(金) 午前10:00〜
「あの、黒くてテカテカですばしっこくて、にくいやつ。」
という回です。

お時間ございましたら是非!
                 (どんだんずカーニバルより)


(ネタバレ)


番組HPの紹介より

山崎とヒデたちの3年1組ではウサギをかっている。
ウサギは女の子たちの人気者だ。
ウサギをかわいがる女の子たちにヒデがミミズを見せると、
女の子たちは悲鳴(ひめい)をあげてにげまわる。
「ミミズだって生き物なのに」と思うヒデ。
獣医師(じゅういし)をしているおじさんに
「どうしてミミズは気持ち悪がられるの?」と聞くと、
おじさんは「ナゾが多い生き物だからじゃないかな」と言う。
「一番ナゾが多い生き物って何?」と聞くと
「3億年(おくねん)前から今までほとんど姿を変えないで生きている虫がいる」
とおじさんは教えてくれた。
次の日、学校で、そのナゾの虫をつかまえたヒデたち。
先生は顔をしかめるがヒデはクラスでこいつをかうと提案(ていあん)する。
女の子たちは猛反対(もうはんたい)したが、
ヒデたちは虫に「コロ」という名前をつけてかいはじめた。
それに対抗して、女の子たちもウサギをかわいがり、
ビスケットなどを与えようとする。
しばらくたつうちに、コロの元気がなくなってきた。
同じころ、ウサギも元気がなくなっていた。

先生はウサギは病院につれていこうというが、
コロは虫だからみてもらえないだろうという。
迷々があらわれて言う。「同じ生き物なのに・・・」。
結局ウサギもコロも病院につれていくのだが、
コロに対しては獣医師もなすすべがない。

ついに息を引きとってしまうコロ。
ヒデたちは花だんのすみに、コロを大切にうめた。
先生はいう。「あいつらが悪いことをしなくても、
おれたちはあいつらがこわくてにくい。そういう生き物なんだな、人間は」。
ヒデはつぶやく。「人間って自分勝手だ・・・」。

******************************************************

15分とは思えなかったです。
「コロ」に関する物語。
こどもが役者っぽくないので、リアルですねえ、
黒くててらてら、触角のながーいやつに関してのケンケンがくがく。
先生も大上段に構えてなくて、
実生活に関してきちんと自分の意見を言ってる。
子どもは先生だから、っていう目線も持ってなくて、
脚本の圧倒的な説得力が発揮されています。

うきゃあ、迷々が先生を問い詰めるんだけど、
先生は結論を出せない・・
自分たちが持っている常識とか一般認識っていうのも
深く考えると、
たいした理由でもないんだってことが、
「黒くてテカテカですばしっこくて、にくいやつ」に
限らないってことが
すぐにわかっちゃうんですよね、すごいです。

こどもたちが「コロ」の墓銘碑みたいなのを
作るんですが、
そこの言葉が強烈!!

「このちきゅうに
 かつて
 人間と私はいた」


横浜監督、すごいや!!


人間に忌み嫌われ、駆逐される存在になりさがっているけれど、
かつては対等だったのだと。
そこに横浜監督の、既成の価値観が、
こーんな、子どもと大人のやりとりのなかでも
崩れちゃうものなんですよって、
いや、監督は大声で言うんじゃなくて、
ぼそっとつぶやいているみたいです。

わけのわからないものを忌み嫌う、
マイナーな存在であれば、人間にだってあてはまる、
その根拠をあげようとしたら、
感情的生理的なものにすぎなくて、
いくら論拠を探そうとしても見つからない・・

横浜監督からの15分の爆弾でありました、
だって、実写がなくても十分、気持ち悪いのと
こころのなかで格闘させられたって感じで・・・
それがあの黒いやつに限らないんだってことを
重々認識させられるのがイタタタ・・て感じで。

でも、いくら論理的に否定できなくても、
「あの、黒くてテカテカですばしっこくて、にくいやつ。」
ああ。私はやっぱり観察できませんとも。だめじゃん(笑)


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10 コメント

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Unknown (KS)
2009-11-12 07:28:33
樹さん、おはようございます。

私も録画して横浜ワールドを堪能しました。

うん、なんで嫌いなのか分からないんですよ。
確かに人間に危害を加える昆虫じゃないのに
何かがイヤなんです。
理由がはっきり分からないの。
で、見た目が可愛いウサギは病院に連れて行くけど
あの黒いのはダメ・・・って

みんな、同じ、生きているから~
一人に一つずつ、大切な命~
って歌が頭を駆け巡ったね。

最近、子供とコオロギを飼ってるんですが
あの黒いのとどこが違うんじゃ~と思いながら
観察してます。ホント、部屋の外に居る虫と
中に居る虫ってな違いで真っ黒で
鳴くか、鳴かないかってな違いだけですからね。
餌も違うか(笑)

>監督は大声で言うんじゃなくて、
ぼそっとつぶやいているみたいです。

うん。ぼそっと呟いてる監督の
顔が目に浮かびます。

道徳の授業にぴったりで、いい内容でしたね。
横浜監督、グッジョブ!
返信する
Unknown (とらん)
2009-11-12 09:33:25
おはようございます。

私も樹さんとご同様にコロの仲間を目にしたら全力で駆逐しようとすると思います(笑)
ヤマザキ先生が云うとおり、
「どこに置こうにも気分がわるい」

獣医のおじさんがよかったです。ヒデくんの質問に対する、
「見た目がきもち悪いからじゃない?」
という身も蓋もない言い種に‘をぉ「ヨコハマ」って’ニヤニヤしちゃいました。ユウタくんのおばあちゃんへの手紙の結びも「ヨコハマ」で、すてき。

松山君を好きになって本当に良かったなと思うのは、こういう瞬間ですよ。
松山ケンイチが好きだ→映画を観る→知らなかった才能(演出家・脚本家等々‥)に出逢う→うれしい!ラッキィ!です。

ご心配頂いてありがとうございます。
‘晴れ時々くもり’なので安定している方だと思います。

『カイジ』はホント「ひとり鉄骨渡り」でした・笑
シャンパン用意しとけば良かった。あ、やっぱりビールかな?
返信する
私もそうです。。 (キーコ)
2009-11-12 10:11:55
とらんさんの言葉に私も同感です。ケンイチくんに出逢って、そのおかげでいろんなものに出会って
本当によかった。L図書に出逢えて本当に良かった。自分の身近にケンイチファンがいないので
L図書に来ると ケンイチくんにバチバチ反応してる皆さんを感じて 自分も幸せになれます。(*^_^*)
返信する
KSさんへ ()
2009-11-13 07:05:04
おはようございます。

自分が忌み嫌うもの、それがみんなも同じもので、
理由も説明できないとなると、
すごく気になりますよね。
説明できない嫌いな感情、不安になるのかもしれないです。
真正面から「おかしくない?」と、
見事に横浜監督にしてやられましたね(笑)

たった15分なのにずしんときました。
たしかにこおろぎに似てる(笑)
おしゃれイズムで、
瑛太くんが《かまどうま》、
旬くんが《ムカデ》を嫌いだと言ってて、
安心しましたが(笑)
この嫌悪感って、理屈では超えられないんじゃないですかね(爆)
道徳って、あっさり、これがよろしい、と
こうしましょう、と片付けがちだからこそ、
KSさんが言われるように、いい教材になるのでしょう。
ほんと、横浜監督、グッジョブ!
返信する
とらんさんへ ()
2009-11-13 07:15:30
おはようございます。
まずはとらんさんの近況に安心しました、むふふ。
「カイジ」とくればビールですよね、1杯のビールがあんなに
存在感をもって迫るとは(笑)
いやはや、その映画館の安泰を願いますよ。

とらんさんが細かく見所(脚本の横浜監督を知っていればこそ)
を教えてくださって感謝です。
そこまで注意してみてませんでした(汗)
横浜監督がこちらにつきつけてくる、既成概念の揺らぎ、
見事でしたね。たとえ15分でも十分な時間なのか・・と感嘆しました。

松山ケンイチという種があって、その樹木は大きく育っているのだけど、
枝葉にはたわわにいろんな実(監督とか共演者とか)が
実ってて、
そこからまた種ができて、根を張って・・・みたいな、ひろがり。
すごいですよね。
松山Lを知る前、邦画はほとんど観なかったので、
本当に感謝しています。
自分がそこでいろんな感性に出会い、多様な価値観を認め、内世界をひろげてゆければ、
究極の幸せですよね。
返信する
キーコさんへ ()
2009-11-13 07:25:24
おはようございます、キーコさん。
初めまして、ですよね。ちがっていたらごめんなさい。
とにかく、仲良くしてくださいね(*^:^*)


松山さんはいろんな作品やひとを通じて、
夢を運んでくれますよね。
L図書もキーコさんのお役に立てているなら、
とてもうれしいです。
ここは松山ケンイチファンサイトとしては異端的存在で、
小栗旬さんのファンもロム専でかなり読んでくださっているし、
私の趣味でBL2次もあれば、社会ネタも取り上げます。
管理人の偏向性がかなり出ているので、好き嫌いも激しいかと(笑)
なので、キーコさんの言葉にはとても勇気をいただきました。
まわりに松山さんのファンがいなくても、大丈夫ですよ。
L図書の仲間はとても優しいので、松山さんを理解しようとこころを砕かれます。
(もちろんイエスマンという意味ではなく)
私はその姿にいつも、知性と愛情を感じます。
キーコさん、これからもよろしくお願いしますね。
返信する
Unknown (夜空)
2009-11-13 10:40:43
樹さん こんにちは^^
「時々迷々」のお話とても興味深く読ませて頂きました。

L図書でもおなじみの「THE BOOM」の初期のころの歌で、核戦争終結人類滅亡後のあの黒くてテカテカですばしっこくてにくいやつの歌ってのがあるんですよ^^

「ダーリン」ってかわいいタイトルで、あの黒くてテカテカですばしっこくてにくいやつの歌だなんて、説明を聞くまでは知らなかったのですが、その中に

「ぼくら生まれた時から
 お日様の顔しらないけど
 愚かな人類どもが
 地球をぼくらにくれた」

って歌詞があって、コロの墓銘碑に何か通ずるものがあるようで、懐かしく思い出しました。

忌み嫌われるものを、物語や歌にしてしまう感性ってすごいなぁ~!!
オカンはスリッパでバチンッ!なのにね・・・
返信する
Unknown (れいちぇる)
2009-11-13 16:01:47
樹さんこんにちは!

夜空さんのコメントに反応してやってきました(笑)
というのは半分ありまして、ちゃんと放送も見ましたよ~~~~

面白かったですね。
つい最近、ちょうど同じようなことを考えていたので
(どうしてアイツはこんなに嫌われるのだろう、と)
すごく興味津々で観ることができました。

「謎な生物」を恐れる人間、というのは映画とかでもよくある構図ですよね。
でも今までみたこともない生物、っていうわけでなくある意味一番身近なものを題材にそれを表現し
さらには人間同士でも異端な存在の人に対しては恐怖を抱いて、
その結果排除してしまうことがある、っていう哀しい現実をつきつけられましたね。

さ、ブームでも聴こうかな(笑)
返信する
夜空さんへ ()
2009-11-13 20:59:55
こんばんは、夜空さん。

先ほどはとっても素敵なお勧めをありがとうございました。
すごーくうれしかったです。

>忌み嫌われるものを、物語や歌にしてしまう感性ってすごいなぁ~!!

ほんと、そうですよね。
でもって、それでぐらぐら既成の価値観を揺らしちゃうんですから。
どきどきします。

横浜監督は日常のなかにその揺らぎを持ち込んだ分、
さらにショックが大きいですね。
うさぎと対比させるのも、ただあの黒くててらてらしたやつを出すより、
インパクトありです。
ジャーマン+雨のよしこをうんだ母ですわ笑
返信する
れいちぇるさんへ ()
2009-11-13 21:06:53
こんばんは、れいちぇるさん。

一度たりとも、その本の少しの絵なり映像なりを見せずに、
ここまでショックを与えるという、あの存在はすごいです。
横浜監督、両方の立場に立って、どれほど考えたのでしょう(笑)
きっと思いついたってことじゃなくて、
日常から、異邦人あるいは宇宙人の視点をもっているんじゃないかなって思います。
だからよしこや陽人があんなに自由でいられたのでしょう。

れいちぇるさんも考えていたのですか?
すごいなあ。
考えるだけで、触覚がうごいててだめだーー!
本当はむこうのほうが、巨大な人間が怖いのでしょうにね。

ブームの歌ってすごいんですね。
でもPVにしたらやばそうです(汗)
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