「ちいさいお家」が凄く良かったので、他の中島京子さんの本も読んでみよう・・・と思い立ち、読んだのが、この2冊でした。
最初に読んだのが「FUTON」で、その次に「平成大家族」だったのですが、私は平成大家族の方が面白かったし、好みでした。
「平成大家族」
声をあげる程ではないけれど、心の中でくすっと笑えるような処が一杯ある楽しい本でした。全部で11編の短編が入っているのですが、やっぱり一番印象的だったのは、引きこもりの息子の恋愛話かな~。どうやってこの人が外に出られる様になるのか?恋愛の経緯など、こういう恋愛パターンは、他で読んだことがなかったので新鮮で面白かったです。
あとは、開蔵中から公立中に転校せねばならなくなった、さとるのお話「公立中サバイバル」頭が良くていつも状況判断にぬかりなく、計算高いさとる。気の合う女子とのお話は、苦い思い出になっちゃいましたね・・。そして小宮山君に最後何か言おうとしたところで終わっていて、私は「もう俺に近づかないでくれ」なんて言い放ってたのかな?と思いきや、その後の他の短編で、2人がとても仲良くなっているのが解る。それじゃあ、あそこは意を決してさとるは何って言ったんだろう?
次の編「アンファン・テリブル」は、さとるの母である逸子のお話。
公立中に転校しても、持ち前のしたたかさで過ごしているさとるを、読者は既に前の編を読んでいるだけに、母逸子のさとるへの心配や、とりこし苦労が、妙に可笑しい。(でもこの母の心理が良く解るw 世間ののお母さんは、時々こうやって見当違いの心配をしたりしてそうだ)
あと春子が友達と会ってお喋りした時、自分の抱えている色々な悩みをうち明けようと話題に出すも、もっと大変なこんな人がいるのよ~話題で、それらが、ほんの些細な悩みのごとく、かすんでしまう(^^ゞ というのが、すんごい解るー!と笑ってしまった。
映像化に向いてそうな作品ですね。4つ★~4つ★半
平成大家族 / 2008-02-05
三十路のひきこもり息子と90歳過ぎの姑と共に、静かに暮らしていた緋田夫婦。ある日突然、破産した長女一家と離婚した次女が戻ってきて、4世代8人の大所帯に!物置に閉じこもる孫、離婚後に妊娠が発覚した次女、戦中の記憶と現在を混同する姑...平穏を愛する当主・龍太郎の思いをよそに、次から次へと騒動が押し寄せる。悩み多き一家の姿を軽妙に、時にシニカルに描く痛快家族小説。Googleより
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「FUTON」
中島さんのデビュー作らしいです。
最初の頃から、文章はとっても上手です。
田山花袋の「蒲団」って学生時代に国語や歴史で良く耳にはしていたものの、他の文豪と比べると地味な存在で、内容とかあまり知らなかったので興味深かったです。その「蒲団」に登場する奥さん目線で進行する、中島さんが創った別ストーリーと、現代の若干「蒲団」的な物語が同時進行するという、手の込んだ作りになっています。
まずは「蒲団」での、奥さんの立場が不憫というか・・・。この旦那やだわー!って思っちゃいました。奥さんや、その友人目線で見るとね。
でも、この旦那中心に見ると、若い娘に内心惚れているのにもかかわらず、保護者みたいな役割になっているがゆえの苛立ちみたいのが、コミカルかつ痛くもあり、どこか微笑ましくもあり・・・。
ウメキチの過去や、ウメキチをモデルに絵を描いているイズミと恋人(同性愛者)など、一杯書きたいことがあったのでしょうが、ちょっと広げすぎた感があるかな・・・。もうちょっと絞って書いてもらった方が私は好きだったかもしれません。3つ★
FUTON / 2007-04-13
日系の学生エミを追いかけて、東京で行われた学会に出席した花袋研究家のテイブ・マッコーリー。エミの祖父の店「ラブウェイ・鶉町店」で待ち伏せするうちに、曾祖父のウメキチを介護する画家のイズミと知り合う。彼女はウメキチの体験を絵にできるのか。近代日本の百年を凝縮した、ユーモア溢れる長編小説。
小さいおうち
『平成大家族』は、少し中島さんの作品にしては、トーンが違うような気がしました。
しかし、さすがですよね、どんな作品も読み応えが感じられてとても楽しめました。
futonは読んでいないので、機会があったら読んでみます。
読んで数日経ちますが、やっぱり今思い出しても、面白かったなぁ~って思います。
読んだ直後は、イイ!って思っても、数日経つと、そうでもなかったかな・・って思う本もあったりするんですけれどもね。
FUTONは、中島さんご自身も大人になってから、語学留学?だかで、海外にお住まいだったことがあるらしいので、きっと外国人と恋愛された経験談も織り交ぜて書いた本だろうな~と、勝手に思っています。
バランスのいい作品のように思います。
家族それぞれ思ってることが、妙で笑える…
私もFUTONはまだ未読…のはずなので、次の機会にでも読んでみたいです。
楽しかったですー。
「小さいお家」が善かったので、中島さんの本を色々読もうとしている処なんです。
ところで、本屋大賞発表になりましたね。謎解きは~は、私は未読なのだけれど、ぼちぼちさんちでアップされてましたね。リクエストしようとした矢先、以前何かの番組で作家さんが、受ける内容を狙って書いた・・みたいな事を話されていたので、じゃ読まない、ってリクエスト辞めたんだけれど、やっぱり大賞取るんなら読んでみようかな?(どっちなんじゃぃ!)なんて思っているところです