近藤史恵さんの「サクリファイス」「エデン」につづく、自転車競技もの第4弾。
前2作のスピンオフ的な短編集である「サヴァイヴ」は未読です。
本作は、前2作とは切り離されて、独自な内容なので、前作を読んでいなくても問題無く読めます。
タイトル「キアズマ」の意味は、遺伝子に関する事らしいです。
主人公の岸田は大学一年生で、以前は柔道をしていました。
入学早々、ちょっとしたトラブルから、自転車部に入ることに。
やってみたら、潜在能力がずば抜けていて、短期間で、櫻井というスター選手を追い越す程の成績を出せるまでになる。
櫻井には、事故で若くして亡くなった兄がいて、主人公の岸田には、中学時代、柔道部で救えなかった友人がいる。
櫻井と岸田のライバル心とか、自転車レースにかける意気込みの差とか、引きこまれて、あっという間に読み終えてしまいました。
★以下ネタバレ 白文字で書いています★
個人的には、中学時代の友人(事故の後遺症がある)が、自殺未遂を起こしてしまうところが、なんだか残念で、やりきれなかったです。
この友人に彼女が出来て、そこのシーンが印象的でした。彼女が出来た事に内心慌てる(彼女が出来ると思っていなかった)ところとか・・・。
この友人と彼女のところも、障害がある彼に優しく出来る自分が好きなんじゃないか、ってセリフとか、グサッと来ました・・・。
直接自転車競技とは関係ない題材ですが、何故か、これらの部分が、とても印象に残りました。
彼からのメールは、どんな内容だったのでしょうか。悪い事は書かれてなかったと思いますが。以上
主人公の岸田君は、天才肌というか、生まれつき恵まれた才能を持つ人なので、がんばれー!!という心から強く応援したい気持ちが沸いて来なかったりもしました。だからと言って、努力家の櫻井に感情移入するか?といえば、そうでもなく(^^ゞ
でも、いずれにせよ、とても面白く読ませて頂きました。4つ★
キアズマ 近藤史恵 (2013/4/22)
決して交わるはずのなかった、俺たち。喪失を超えるように、ただ走り続ける――。命をかける覚悟? 誰かを傷つける恐怖? そんなもの呑み込んで、ただ俺は走りたいんだ。ひたすらに、自分自身と向き合うために。助けられなかったアイツのために――。一年間限定で自転車ロードレースに挑むことになった正樹。「サクリファイス」シリーズ4作目、新たな舞台は大学自転車部! ファン待望の最新長編小説。
はぶらし
「モップの精は深夜に現れる」「天使はモップを持って」感想
砂漠の悪魔
エデン
「サクリファイス」「タルトタタンの夢」感想
大学生たちの物語だけに、青春小説のような印象でした。
背負っているものがあるからこそ、自転車競技にかける意気込みが違うのかもしれませんね。
今日は、珍しく湿気が少なくて、なんだか暑さの中にも爽やかさを感じる風が吹いています。
花さんのところは、どうかな~。
そうですね。青春小説っぽい感じがありました。
これから始めようとしている青年ということで、今までの作品とは違ったアプローチ、面白かったです。
また続編が読みたいな。