ポコアポコヤ

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ネタバレ「ここは退屈迎えに来て」山内マリコ 感想

2014-04-17 | 小説・漫画他
凄く面白かったです。ほぼ5つ★
リクエストしたのが回って来た時には、果たしてこれって何でリクエストしたんだったっけ・・・?と忘れてしまっていました。
返却日前日、パラ見したら、すぐに引き込まれ、ぐいぐいと一気読みさせられました。

田舎でつまらない思いをし、東京に出て来たものの、数年後結局故郷に戻った人、30代の独身の女性、サブカルやコアな音楽の趣味を持つ人で、それを共有できる友達がいなかった人はツボを押される部分がきっとある内容だと思います。
田舎で暮らすということ、田舎からわざわざ東京に出て行こうと思う人の気持ち、時々痛いくらいにグサグサと書かれています。

全編に椎名という男の子が登場します。学生時代に人気があったタイプの男の子です。
走るのが早くてサッカー部で少しだけ不良っぽくて、女の子のあしらいも上手く、ユーモアもあって・・・。その子にかかわった人の方が主役で、その人と椎名との関わり合いがスパイスとして効いているんですよねー。いやー上手い!

「アメリカ人とリセエンヌ」と最終章(R-18文学賞受賞作品)以外は、この本を出すにあたっての書下ろしだそうです。
なぜか、私は最終章だけはあまり面白く読めなかったです。自分とあまりにかけ離れていたからかな?
それ以外は、全部凄く面白かった!!
特に面白かったのは最初の4つかな。

私たちがすごかった栄光の話
やがて哀しき女の子
地方都市のタラ・リピンスキー
君がどこにも行けないのは車持ってないから
アメリカ人とリセエンヌ
東京、二十歳。
ローファー娘は体なんか売らない
16歳はセックスの齢

今回は、すべてネタバレ全開で書いていますので、注意!

「私たちがすごかった栄光の話」
フリーカメラマンの須賀さんと、ライターの私は、雑誌の取材でラーメン屋に行く。そこで壁に貼られていたのは、ヤンキー版みつおみたいな字のポエム?だった。
須賀さんと私は似たところがある。
私はかつての親友と久しぶりに会う。私が学生時代の中で一番輝いていた瞬間と思っているのが、椎名とゲーセンでたむろっていた、あの短い期間だったが、ショックなことに、彼は私たちがゲーセンにいたことを記憶していなかった・・・。
久しぶりに会った椎名は自動車学校の教官になって結婚もし子供もいた。昔の彼の輝きは消えていた。

「やがて哀しき女の子」
町一番の美少女だった森繁あかねの人生と、彼女を雑誌で見て憧れ嫉妬していた山下南。
2人は町のスタバで働いていて親友になった。
2人は結婚紹介状に登録し(ランクFフローランス)、婚活に燃える。やがてあかねは年上の男と結婚。
今まで笑い合えてツーカーだった女の友情が、うまくいかなくなってしまう。
南は紹介された公務員の男子を気に入るが、あっけなくフラれる。
その後暫くして、あかねは結婚生活の愚痴や不満を南に話す様になる。
そして「ママ友になろう!」という提案をしてくる(ここで爆笑!)
うちら、あんなに仲良しだったのに、うまくいかなくなって残念だから、同じ年くらいの子供を産めば、今度はママ友として仲良くなれるじゃん?!というノリには、本当に笑った。確かにそういう策も有る・・・。
あかねは、夫の会社で知り合った、椎名という男を南に紹介する。たぶん、この2人は結婚し、そして「私たちがすごかった栄光の話」に出て来る子持ちの椎名につながるだろうと推察。

「地方都市のタラ・リピンスキー」
ゆうこが男だったと最後に解った時には、やられた!感が凄かった。
ゆうこは、大学院生だが、ゲームセンターで時間をつぶすくらいしか趣味が無い。
ゲーセンで学生時代の同級生だった椎名が店長になっていた。
椎名は最初に同級生だった岡田薫に声をかけるが、そっけなくされ、次にランクを落として、自分に声をかけて来た。
それから、2人は交流を持つ様になる。
(ゆうこが、椎名に自動車学校の教官の仕事を進めた)

「君がどこにも行けないのは車持ってないから」
椎名が大阪に行ってしまった後、気がつけば、地元で残っていて頻繁に会えるのって遠藤だけになっていた。
なんとなくな流れで遠藤とHして、そのまま付き合ってるような感じ(あたしはそんな気ないけど、遠藤はそう思ってそう)になっちゃったけど、あたしの遠藤への扱いは酷い。
ホテルで寝て起きた時、まだ寝ている遠藤の鼻ちょうちんを見て、絶対無理!と思い、車なしで歩くのは無謀な道を一人で帰る途中、ふと気がつく、もしかして椎名にとってのあたしは、あたしにとっての遠藤みたいなもんだったんじゃないかって。
誰にも頼らずに生きていこう。行きたいところは自分で行ってしたいことをする。とりあえずは車だ。移動手段だ。と、前向きに、これからは自分で歩くのだ!みたいな終わり方が前向きで良かったです。

「アメリカ人とリセエンヌ」
アメリカ人留学生という人達と交流を持った事がなく、またアメリカ学校内での日本人の扱いや目線というのを知らなかったので、ためになりました。もしアメリカで暮らすなら、クールアジアン(ストレートのロング黒髪、濃いアイメイク)、メモメモ。もうそんな機会は絶対無いが
(ブレンダがクラブで知り合い好きになって、デートして、途中までの行為で終わったのが椎名)

「東京、二十歳。」
朝子は、まなみ先生という素敵な家庭教師の先生がいて、彼女と彼女の住むシンプルな小さい部屋にあこがれていた。
(朝子の兄が椎名らしい)
その後、朝子は東京の大学に進学し、夢の東京での一人暮らしを始める。
彼女も家庭教師を始めるのだったが、彼女の生徒は、お金持ちの学習院に通う女の子で、そっけない子だった。
慣れない東京での暮らし、混雑する電車・・田舎から出て来た朝子の目から見た東京が語られる。

「ローファー娘は体なんか売らない」
はげた冴えない38歳の男と定期的にホテルで合っている高校生。
ある日、もう会わないかも・・・お見合いして結婚することにするかもしれないから、と一方的に言われ、なんだか傷ついた心持ちで信号待ちをしていると、高校で同じクラスの椎名君が自転車でやってきた。
あの自転車の後ろに乗せてくれたらいいのに。今、このタイミングで。
黙って自転車を漕いで、彼女をどこか遠いところに運んでくれる・・・(この妄想感解る)

「十六歳はセックスの齢」
あたしと仲良しの薫ちゃんは16歳で処女を捨てる決意をした。
やがて、夢日記というのをつけることにしたが、薫ちゃんは眠り病になってしまった。
(薫ちゃんの中2の時の憧れの人が椎名)
その後、薫ちゃんは目覚め、二人は大人になった。
「地方都市のタラ・リピンスキー」で出て来ますが、薫は椎名とゲーセンでばったり再会するが連絡先は教えないのだった。

(2012/8/24)
山内マリコさんって、綺麗な人だー。また是非彼女の小説を読みたいです。

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4 コメント

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面白かったよね~♪ (真紅)
2014-04-18 20:35:32
latifaさん、こんばんは~。コメント&TBありがとうございました。
てかこの本読んでくれてありがとう!
面白かったよね。。私、「地方都市のタラ・リピンスキー」が一番好き☆
そうそう、あのゆうこが、、、ってとこ、作品の印象がガラっと変わるよね!
映像で観てみたい~、と思った。なんなら私が監督したい(爆)。
全編映像的じゃない? 山内さんも映画がお好きなんだろうな~、って思ったわ。

ずっと前、『僕らの時代』かなんかに山内さん出てたと思う。
川上未映子さんと出てたんじゃなかったかな?
美人さんというか、キュートな感じだったよ~。
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知らなかった! (こに)
2014-04-20 10:02:58
初めて聞くお名前です。
面白そうですね。
若い作家さんの著書も読まなくては、と思っていたところです。
是非読んでみましょう!
φ(..)メモメモ
返信する
真紅さん☆ (latifa)
2014-04-21 14:11:32
こんにちは!真紅さん
いやぁー、ほんとこれは予想外(失礼!)に凄い作品で、読んで良かったー、面白かったーって思った小説でした。
山内さんの本は、これがお初だったんだけど、次読むのが楽しみ。

真紅さんは、「地方都市のタラ・リピンスキー」が一番好きなのね?
私も好き。
でも、映画化するのは難しい作品だね。
文章だからこそ、最後に男だったんだ!?って解るけど、映像だと、主人公を隠して撮影は難しいものー。

真紅さんは大人になってから大阪だっけ?
今現在、関西の大都会に住んでいるし、私も田舎に住んでいるとはいえ、電車で1時間半で東京にすぐ出られるから、田舎に長年暮らすということ・・・というのは、文章を読んでもちろん理解できるけれど、身に染みて解るー!ってほどじゃないかもしれないよね。

私も学生時代に、東京に出て行きたい!という気持ちは、あんまりなかったんだよね・・。北海道とはいえ、札幌って割となんでも揃うし、洒落たお店や場所、新しいもん好きな人や、サブカル・先進的な物を受け入れる雰囲気があって、閉塞感は、あまり感じない土壌だった気がする・・。
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こにさん☆ (latifa)
2014-04-21 14:13:56
こんにちは、こにさん
読書って、ついつい、なじみのある、慣れた作家さんの新作とかに、つい手が出てしまいます。
新しい作家さんのも挑戦してみようって、私も思うのだけれど・・・。
この本は、この上でお話している真紅さんのブログで去年度の1位に選ばれていたのがきっかけで、借りて読んだんです。
とても面白かったです!
是非、読んでみてくださいまし。
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