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ネタバレ感想「ゴールデンタイムの消費期限」斜線堂有紀

2021-05-17 | 小説・漫画他
斜線堂さんの小説を読むのは初めて。ストーリー展開も心理描写も面白く、若く新しい才能ある人という印象です。また彼女の書いた他の本も読んでみたいなと思いました。4つ★半

内容は、元天才少年少女が集められ、11日間ある場所に閉じ込めての『レミントン・プロジェクト』=AIによる才能の再教育を受けるお話です。

主人公の小説家の綴喜は高校生。小学生の時にデビューして天才と言われるも、中学の時から今に至るまで4年間(だったかな?)ずっと新たな新作を書けず、焦っている。
そんな時に「レミントン・プロジェクト」に参加する事になる。
その場で集められているメンバーは、彼と同じような、かつては天才と言われてもてはやされた男女だった。

それぞれのキャラ(小説家、料理人、バイオリニスト、画家、棋士、映画監督)が立っていて、それぞれの思いや、AIをどう使って行くのか?全く頼らずにやっていく子、AIのアドバイスを参考に活躍していこうと割り切った考えの人等、様々です。

いやー、なまじ若い頃に天才と呼ばれ有名になってしまうというのは、かなりヘビーだなあ・・・と感じてしまいました。

そもそも天才と才能、についても深く考えさせられる部分が多くて、とても面白かったです。

綴喜が書いた名作で大ヒットした「春の嵐」は、宇宙飛行士になるためアメリカに行った従兄をモデルに書いたものだった。
しかし従兄は突然の事故で、ほぼ寝たきりの状態になってしまう。
その後、中学生の時に塾で火事に遭遇、その時の様子の小説を書き上げたものの、医者に止められてしまう。

★以下ネタバレ★
ラスト。3年後、綴喜はジャーナリスト(取材をして記事を書く)になっていました。
インタビューしたのは、あの従兄。なんとSF作家になっていました!
病床で従兄に言われた「これも書くのか」が、「俺が書く」になっていたとは!!このオチは最高だったなあ。

バイオリニストを目指していた奏子は農業をしながら趣味でバイオリンを演奏するようになっていました。一番コツコツと努力を続けていて、パリ・コンセルバトワールに行くと決まっていた矢先、プログラムの最終日に突然、部屋を荒らして、綴喜の書きかけの小説のプロットを盗み読みした、っていうのはビックリしました。そして、その理由が本当はバイオリンが実は嫌いだった、続けるのが苦痛だったとのこと。
この奏子の最後の反乱と最終的に彼女の選んだ人生等が、ちょっと残念に感じちゃいました。
以上

そもそも、必死に努力しても天才になれなかった人の話が大好きなんですよね。「ピンポン」とか。
天才が主人公ではなく、天才と言われたけど、実はそうじゃなかった人が主人公で、そういう人だらけの話は初めて読んだかもしれない。天才と凡人というセットになった話が多いから。

ゴールデンタイムの消費期限  2021/1/7 斜線堂有紀
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