「夜行観覧車」「Nのために」感想

湊かなえさんの本２冊。
先に読んだのは「Nのために」で、１年ほど前。「夜行観覧車」はつい最近読みました。
なんと・・・「Nのために」は、内容をほぼ忘れてしまっているという始末・・・。

「夜行観覧車」
ワイドショー的な魅力の本・・。湊さんといえば、良くも悪くも、そういった下世話な魅力がある作家さんという印象。なんというか・・・あまり品が良いとは言えないけれど興味本位で、つい見たくなっちゃう心理をうま～くつかんで本にしているという感じ。湊さんは、もともと文章力が凄いある上に、こういうのがすごく上手いと思う。
今回は、ご近所同士、それも坂の上の高級住宅街でのお話。面白かったです。４つ★

高級住宅街に、後から建てた一番小さい家に住む、高橋家の母と娘のアヤカ。この、かんしゃく持ちのアヤカって娘が、もうもう最悪に憎たらしい。こんな口をきいて、こんな態度のガキなのに、母親も父親も怒るわけでもなく、なだめてすかしているのにはビックリ。
まあ、そんなアヤカですが、彼女の苛つく気持ちは、理解出来ました。母の見栄のためにこんな処に引っ越ししたが故に、人生変わって行ったとも言えるものね・・。
受験に失敗し、現在の公立A中学校での立場も微妙だもんね、イライラもするわ。とはいえ、あの態度は酷すぎるし（親だけじゃなく、他の人に対する発言も酷いよね）引っ越しするしないにかかわらず、元々ああいう性格だったんだろうな。

そうそう、ちょこちょこ入って来るラメポおばさんの章もスパイスになっていました。
スパンコールとご近所づきあいを重ねて表現した文章は、すごいっ・・と思いました。 このおばさんの「おせっかい」があったからこそ、アヤカは殺されずに済んだわけで。
「おせっかい」は紙一重だなぁ・・・と感じる作りになっていましたよね。昔はこういう存在が結構いたと思うんだけど、最近こういう人が減ったというのもあって、幼児虐待で子供が死んでしまった！という事件が起こる様になった・・のかもしれない。
高橋家の窓ガラスを割ったのが、ラメポおばさんだったとは。そしてその言い分には、あっけに取られビックリしたけれど、そういう言い分があったのね・・・。
ご近所の騒音に関しての処なんかは、世間のみなさんにも微妙に解る処が少々あるんじゃないかな・・・。

★以下ネタバレ　白文字で書いています★
高橋父が、あの場から逃げ、向かったのが昼間仕事をした家。昼間偶然にも、そこの息子と娘が被害者宅の娘の友人であることを知っていたので、壁の落書きなどの始末に一緒に行く誘いを・・。ダメオヤジだと思っていたけれど、なかなか機転が効くヤツだったんだな。でも、そのアイディアはとても良かったと思う。被害者宅の娘にしてみれば、とても嬉しかったはずだし、友情が深まったしね！
最後の章では、ラメポおばさんが、あの家の子供達のお世話を少ししている様子もかいま見れたし、ダークな救いようの無い終わり方じゃなかったのが良かったです。
ただ、何故エリート家の母が父を殴ったのか？の強力な理由が解らなかったのが残念でした。以上

まあ、この本を読んで思った事は、やっぱり人には分相応というか、あまり身の丈に合わない場所に身を置くのは避けた方が良いなあ・・・と言うこと。
表紙も可愛いし、しおりが２つ入っていたりとかの配慮も良いですね。

湊 かなえ / 2010-06-02
内容　父親が被害者で母親が加害者--。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。

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「Nのために」 湊 かなえ 2010-01-27

感想書かずじまいで、他の湊さんの本を読んだ時、まとめて一緒に感想アップしようと思っているうちに、時間が経ってしまい、細かい部分など結構忘れてしまいました。
普通に面白かったけれど、特にインパクトが無かった本。読書後の感想は３つ★くらいかなあ・・・という風に思いました。

内容（「BOOK」データベースより）
「N」と出会う時、悲劇は起こる―。大学一年生の秋、杉下希美は運命的な出会いをする。台風による床上浸水がきっかけで、同じアパートの安藤望・西崎真人と親しくなったのだ。努力家の安藤と、小説家志望の西崎。それぞれにトラウマと屈折があり、夢を抱く三人は、やがてある計画に手を染めた。すべては「N」のために―。タワーマンションで起きた悲劇的な殺人事件。