プラルトリラー、といわれて
はいはい、あれね、という人は
音楽を少し真面目かじったことある人かもしれません。
(真面目にかじる、って日本語的にどうなんでしょ)
音楽の記号に「トリル」(記号の形は「tr.」)というのがあって
ビブラートのようにすばやく「ドレドレドレドレ~」みたいに演奏するのですが
こっちはわかりやすいよね。
プラルトリラー(記号の形は「w」)というのは
トリルのように長くたくさんの音で装飾するのではなく
「ド」の代わりに「ドレド」と演奏する程度の
短い装飾です。
ピアノの楽譜では
バロック~古典の楽譜によく見られます。
「ドレドレドレドレ~」と長いトリルがフリルのレースなら
「ドレド」だけのプラルトリラーは小さなおリボンって感じかな。
プラルトリラーとよく似ている「モルデント」というのもあって、
これは「ドレド」じゃなくて「ドシド」みたいに
下の音を使って装飾します。
(だからプラルトリラーのことを「逆モルデント」と言ったりもします)
ちょっと違うかもしれないけど
「パプリカ」という曲の「パプリ~カ」と歌う部分の
「リ~」のところは
プラルトリラーのような動き方ですよね。
先日のレッスンで、
生徒ちゃん(小学校高学年)がプラルトリラー記号のついたソナタを弾いていたのですが
最初の譜読みでプラルトリラーを全部モルデントで弾くので
そのたびに
「違うよ、こうよ、上から(装飾を)入れるのよ」
と弾き直してもらってたら
「上、やだぁ」
彼女にはプラルトリラーよりモルデントの方が自然な感じがしたのですね。
「そっか、嫌かぁ」
と大ウケしちゃいました。
単純に、譜読みを間違えて練習してきてしまって
彼女の耳がそちらに慣れてしまっただけかもしれませんが
確かに、モルデントの方が自然な感じかも。
装飾音の入れ方などは時代によっても変わるし
解釈もいろいろなのですが
一番大事なのはいろいろ試してみて自分が一番きれいだと感じること。
今はプラルトリラーは「ドシド」じゃなくて「ドレド」が正しいとしても
(これを文章で規定すると
『主要音から上方2度の音を経て主要音にかえる装飾音』
となります。わからんではないが、一般的には分かりにくいな)
さまざまな研究の結果として正しい演奏法は押さえつつ
演奏者本人の感性も大事にしたい。
その生徒ちゃんには
今のところ「正しい」とされているプラルトリラーで一応練習してもらいますが
モルデントの方がいい、というその感性も
すごく大事なことなのよ。
しかも、それをレッスンで先生に言えたことも素晴らしい。
受け身でのレッスンではない生徒ちゃんは
必ず大きく成長します。
この生徒ちゃんの今後も楽しみ。
「私はこう弾きたい」はどんどん受け付けます!
(それがOKになるかどうかは時と場合に依るけどね
ぜひ私を説得しに来なさい 受けてたつ)