5月18日と19日に海底調査をおこない、調査を終了しました。海底面には特段のものは落ちていませんでした。引き上げられた脚が、引き上げたときにつけたと思われる条痕を、引き上げ場所として報告された位置から南東に300mぐらいの位置に見つけました。また、その周囲の泥の中に、かなりの落下物の存在がサブボトムプロファイラーで見つけられました。
クラウドファンディングは目標の100万円を越え、140名を越えるかたからご支援をいただきました。有り難うございます。
ニコニコ生放送には延べ5万人の方々の視聴がありました。単調な作業だったのですが、おつきあいくださいまして有り難うございました。これで皆様方がますます海が好きになってくださったのなら、本望です。
1. 探索の趣旨
太平洋戦争中、本土を空襲した米軍機は数多く関東周辺で墜落し、あるものは東京湾に墜落しています(POW研究会:http://www.powresearch.jp/jp/archive/pilot/tobu.html)。海底に沈んだ物は、船舶の航行に障害になったり、漁具が絡まったりしない限り、多くはそのまま放置されています。
2020年11月30日に木更津沖で引き上げられた航空機の脚と考えられている物体(図1参照、https://www.city.kisarazu.lg.jp/shisei/1003952/1008455.html)は、墜落した米軍B-29戦略爆撃機(Boeing B-29 Superfortress、以下B-29と書きます)のものであると言われ、75年間海底に放置されています。
図1 引き上げられた脚とタイヤ
では、その機体はどうなっているのでしょうか。機体は東京湾の泥の中に埋まっていると考えられますが、現状では、不明のままです。
引き上げられた前輪の形と引き上げられた位置を考えると、1944年12月27日午後に墜落したB-29(機体番号42-24642、ニックネーム「UNCLE TOM'S Cabin」、第73航空団498爆撃群所属)ではないかと思われます。
図2は、1944年12月28日の毎日新聞朝刊に掲載された、炎上する墜落機です。
図2 東京湾で炎上するB-29
一般社団法人ラ・プロンジェ深海工学会(以下学会と書きます)は、発見された前輪がついていたB29の機体本体を、最新鋭の海中技術を用いて探しだしたいと考えます。その位置と現状を明らかにし、調査のプロセスをリアルタイムで公開することによって、学会の設立の目的である海中調査技術や海中活動の普及と振興を目指し、機体とともに戦没された方々を慰霊します。
調査の詳細は、順次このブログでお伝えいたします。また、これまでの3回の調査と同じように、ニコニコ生放送にて同時中継いたしますので、ご覧ください。調査資金は、Academistのクラウドファンディングにより募集いたします。よろしくご支援を賜わりますことをお願いいたします。
なお、学会は、これまでに五島列島沖合の24潜水艦、若狭湾の3潜水艦、および南シナ海の大洋丸の調査をおこなってきました。本計画は、それらの実績と評価に基づいておこなうものです。
2.B-29について
B-29 スーパーフォートレス(Boeing B-29 Superfortress)は、
全幅:43.10m
全長:30.18m
全高:8.46m
主翼面積:161.50m2
図3はその三面図です。1942年に初飛行、日本本土を爆撃した延出撃数は、約3万3千機、そのうち約500機が損失しています。
図3 米軍B-29戦略爆撃機(Boeing B-29 Superfortress)
3.捜索海域
脚が引き上げられた場所は、木更津沖で
北緯35°29.911′、東経139°55.378′、水深23m
図4の場所です。
図4 脚が引き上げられた木更津沖の位置
調査チームは、ここを中心として、東西約2海里、南北約2海里の範囲を調査します。
4.調査方法
調査は、マルチビームソナーを使って、詳細な地形図を作り、機体が海底から出っ張っていないかを調べます。音波の反射強度も利用します。泥に全体が覆われていることを考え、サブボトムプロファイラーで海底面下にある異物を調べます。異物が発見されれば、遠隔操縦式の海中ロボット(ROV:Remotely Operated Vehicle)を潜らせ、確認します。 マルチビームソナーは、漁船に取り付けて計測しますが、同時に図5のように、小型無人船に取り付け、自動運転あるいは遠隔操縦運転して計測します。つまり、調査船2台体制で計測をおこなって、調査効率を上げます。
図5 無人船と漁船との二隻体制で海底面の形状を計測する
無人船(図6)の利用は、調査のコストを下げる画期的な方法で、今後の海洋調査の大きな目玉となるはずです。今回の調査は、その先駆けとなるものです。次に予定されている米国潜水艦「アルバコア」の探索においても無人船を利用します。
図6 展開予定の無人船、全長2.33m、重量150kg
5.調査日程
5月17日は風が強いと予報されたので、5月16日午後に17日からの調査作業を一日遅らせることにしました。
新日程ーーーーー
2021年
5月16日:準備
5月17日:準備、12時ニコニコ生放送インタビュー
5月18日:朝5時に牛込漁港を出港し、現地にて小型無人船を降ろし、マルチビームソナーとサブボトムプロファイラーの調査をおこないます。夕刻に帰港します。朝5時からニコニコ生放送で調査の様子を放送します。
5月19日:朝5時に牛込漁港を出港し、午前中は、前日の調査を継続しておこないます。午後はROVを使って海底を目視により観察します。15時に調査を終了して帰港します。朝5時からニコニコ生放送で調査の様子を放送します。
海況の具合によって、調査を延期する可能性があります。
旧日程ーーーーー
2021年
5月16日:準備
5月17日:朝5時に牛込漁港を出港し、現地にて小型無人船を降ろし、マルチビームソナーとサブボトムプロファイラーの調査をおこないます。夕刻に帰港します。
5月18日:朝5時に牛込漁港を出港し、午前中は、前日の調査を継続しておこないます。午後はROVを使って海底を目視により観察します。15時に調査を終了して帰港します。
海況の具合によって、調査を延期する可能性があります。
6.生放送
前回の3回のプロジェクトと同じように、調査の様子をニコニコ生放送で同時中継をいたします。
https://live.nicovideo.jp/watch/lv331739915
ぜひご覧ください。
7.ご支援のお願い
私たちのプロジェクトは、ボランティアベースでおこなっています。必要な経費(主として用船費や輸送費)をまかなうために、広くご寄付を募集しています。よろしく下記口座にお振り込みくださいますようお願いいたします。(5月14日に口座を変更しました)
銀行名:十八親和銀行 福江中央支店
普通預金口座
口座番号:3139571
口座名:一般社団法人ラ・プロンジェ深海工学会B29探査プロジェクト代表理事浦環
口座名の読み:シヤ)ラ.プロンジエシンカイコウガツクカイB29タンサプロジエクト
お振り込みいただきましたら、
office.laplongeeアットマークgmail.com
(「アットマーク」を@に代えてください)宛てに、
ご氏名、
寄付者一覧表への記載の可否、
を
office.laplongeeアットマークgmail.com
(「アットマーク」を@に代えてください)までご連絡ください。ご寄付をお待ちしています。
また、2021年5月12日10時より、Academistにおきましてクラウドファンディングを立ち上げました。
https://academist-cf.com/projects/216?lang=ja/
調査予定期間を含む5月27日17時まで支援を募集します。よろしくご支援を賜わりますようお願いいたします。
クラウドファンディングは目標の100万円を越え、140名を越えるかたからご支援をいただきました。有り難うございます。
ニコニコ生放送には延べ5万人の方々の視聴がありました。単調な作業だったのですが、おつきあいくださいまして有り難うございました。これで皆様方がますます海が好きになってくださったのなら、本望です。
1. 探索の趣旨
太平洋戦争中、本土を空襲した米軍機は数多く関東周辺で墜落し、あるものは東京湾に墜落しています(POW研究会:http://www.powresearch.jp/jp/archive/pilot/tobu.html)。海底に沈んだ物は、船舶の航行に障害になったり、漁具が絡まったりしない限り、多くはそのまま放置されています。
2020年11月30日に木更津沖で引き上げられた航空機の脚と考えられている物体(図1参照、https://www.city.kisarazu.lg.jp/shisei/1003952/1008455.html)は、墜落した米軍B-29戦略爆撃機(Boeing B-29 Superfortress、以下B-29と書きます)のものであると言われ、75年間海底に放置されています。
図1 引き上げられた脚とタイヤ
では、その機体はどうなっているのでしょうか。機体は東京湾の泥の中に埋まっていると考えられますが、現状では、不明のままです。
引き上げられた前輪の形と引き上げられた位置を考えると、1944年12月27日午後に墜落したB-29(機体番号42-24642、ニックネーム「UNCLE TOM'S Cabin」、第73航空団498爆撃群所属)ではないかと思われます。
図2は、1944年12月28日の毎日新聞朝刊に掲載された、炎上する墜落機です。
図2 東京湾で炎上するB-29
一般社団法人ラ・プロンジェ深海工学会(以下学会と書きます)は、発見された前輪がついていたB29の機体本体を、最新鋭の海中技術を用いて探しだしたいと考えます。その位置と現状を明らかにし、調査のプロセスをリアルタイムで公開することによって、学会の設立の目的である海中調査技術や海中活動の普及と振興を目指し、機体とともに戦没された方々を慰霊します。
調査の詳細は、順次このブログでお伝えいたします。また、これまでの3回の調査と同じように、ニコニコ生放送にて同時中継いたしますので、ご覧ください。調査資金は、Academistのクラウドファンディングにより募集いたします。よろしくご支援を賜わりますことをお願いいたします。
なお、学会は、これまでに五島列島沖合の24潜水艦、若狭湾の3潜水艦、および南シナ海の大洋丸の調査をおこなってきました。本計画は、それらの実績と評価に基づいておこなうものです。
2.B-29について
B-29 スーパーフォートレス(Boeing B-29 Superfortress)は、
全幅:43.10m
全長:30.18m
全高:8.46m
主翼面積:161.50m2
図3はその三面図です。1942年に初飛行、日本本土を爆撃した延出撃数は、約3万3千機、そのうち約500機が損失しています。
図3 米軍B-29戦略爆撃機(Boeing B-29 Superfortress)
3.捜索海域
脚が引き上げられた場所は、木更津沖で
北緯35°29.911′、東経139°55.378′、水深23m
図4の場所です。
図4 脚が引き上げられた木更津沖の位置
調査チームは、ここを中心として、東西約2海里、南北約2海里の範囲を調査します。
4.調査方法
調査は、マルチビームソナーを使って、詳細な地形図を作り、機体が海底から出っ張っていないかを調べます。音波の反射強度も利用します。泥に全体が覆われていることを考え、サブボトムプロファイラーで海底面下にある異物を調べます。異物が発見されれば、遠隔操縦式の海中ロボット(ROV:Remotely Operated Vehicle)を潜らせ、確認します。 マルチビームソナーは、漁船に取り付けて計測しますが、同時に図5のように、小型無人船に取り付け、自動運転あるいは遠隔操縦運転して計測します。つまり、調査船2台体制で計測をおこなって、調査効率を上げます。
図5 無人船と漁船との二隻体制で海底面の形状を計測する
無人船(図6)の利用は、調査のコストを下げる画期的な方法で、今後の海洋調査の大きな目玉となるはずです。今回の調査は、その先駆けとなるものです。次に予定されている米国潜水艦「アルバコア」の探索においても無人船を利用します。
図6 展開予定の無人船、全長2.33m、重量150kg
5.調査日程
5月17日は風が強いと予報されたので、5月16日午後に17日からの調査作業を一日遅らせることにしました。
新日程ーーーーー
2021年
5月16日:準備
5月17日:準備、12時ニコニコ生放送インタビュー
5月18日:朝5時に牛込漁港を出港し、現地にて小型無人船を降ろし、マルチビームソナーとサブボトムプロファイラーの調査をおこないます。夕刻に帰港します。朝5時からニコニコ生放送で調査の様子を放送します。
5月19日:朝5時に牛込漁港を出港し、午前中は、前日の調査を継続しておこないます。午後はROVを使って海底を目視により観察します。15時に調査を終了して帰港します。朝5時からニコニコ生放送で調査の様子を放送します。
海況の具合によって、調査を延期する可能性があります。
旧日程ーーーーー
2021年
5月16日:準備
5月17日:朝5時に牛込漁港を出港し、現地にて小型無人船を降ろし、マルチビームソナーとサブボトムプロファイラーの調査をおこないます。夕刻に帰港します。
5月18日:朝5時に牛込漁港を出港し、午前中は、前日の調査を継続しておこないます。午後はROVを使って海底を目視により観察します。15時に調査を終了して帰港します。
海況の具合によって、調査を延期する可能性があります。
6.生放送
前回の3回のプロジェクトと同じように、調査の様子をニコニコ生放送で同時中継をいたします。
https://live.nicovideo.jp/watch/lv331739915
ぜひご覧ください。
7.ご支援のお願い
私たちのプロジェクトは、ボランティアベースでおこなっています。必要な経費(主として用船費や輸送費)をまかなうために、広くご寄付を募集しています。よろしく下記口座にお振り込みくださいますようお願いいたします。(5月14日に口座を変更しました)
銀行名:十八親和銀行 福江中央支店
普通預金口座
口座番号:3139571
口座名:一般社団法人ラ・プロンジェ深海工学会B29探査プロジェクト代表理事浦環
口座名の読み:シヤ)ラ.プロンジエシンカイコウガツクカイB29タンサプロジエクト
お振り込みいただきましたら、
office.laplongeeアットマークgmail.com
(「アットマーク」を@に代えてください)宛てに、
ご氏名、
寄付者一覧表への記載の可否、
を
office.laplongeeアットマークgmail.com
(「アットマーク」を@に代えてください)までご連絡ください。ご寄付をお待ちしています。
また、2021年5月12日10時より、Academistにおきましてクラウドファンディングを立ち上げました。
https://academist-cf.com/projects/216?lang=ja/
調査予定期間を含む5月27日17時まで支援を募集します。よろしくご支援を賜わりますようお願いいたします。