ブタやクマのような体系、ゾウのような口吻。ひづめに目をやると前脚は4つ、後脚は3つ。奇蹄目の動物「マレーバク」です。
体長が2メートル前後、背丈は1メートル前後。マレーシアやミャンマー、インドネシアのスマトラ島などの多雨林の水際で、樹木の葉や果実、草を主食に生息しています。
東山動物園の正門から入ると、マレーバクは左側の最初に出てくる園舎の住人。でも、入園者の多くの足は正面にあるゾウ園や右側のサイ園に向かい、スルーされがちな存在です。
マレーバクはイノシシのように、生まれたときは黒地に何本かの白線が入った、いわゆる「うりぼう」ですが、6か月ほどで頭部と肩、四股が黒、胴体は白になります。
バクというと、中国から伝わり日本でも古くから伝説や、葛飾北斎の絵画などにも登場する架空の動物「獏」を連想しますね。
「獏は夢を食べる」という話は、僕も子どものころからよく耳にしていました。でも、実はそれを「獏は僕らのせっかくの夢を食べてしまう」と思い込んでいたのです。
本当は、獏は悪い夢を食べてくれるので良い夢を見ることができるのだそうですね。
また、先日見たテレビでは、殿様の寝所の入口には邪気を払い、魔物を寄せ付けないために、獏の絵が掲げられていたとの話が紹介されていました。
絵にした園庭の木組みに目をやるマレーバク。匂いを嗅いでいるのでしょうか。それとも、この上に上ることを夢見ているのでしょうか。