名古屋の大須は、国内有数の「にぎわう街」でしょう。
ひと昔前はお年寄りが楽しむ街のイメージがありましたが、今や街歩きの多くはウィークデーでも若者が8割、いやそれ以上を占めている感じがします。といって、僕のような1~2割組が肩身の狭い思いをしている様子はありません。「老若男女」。みんなの表情が明るく、リラックスしているのです。
なごや大須商店街公式ホームページを開くと、「エリア内の店舗・施設は1200。年齢性別国籍を問わず、さまざまな文化を受け入れる『ごった煮』が大須の魅力のひとつです」とあります。確かにその通りと思いますが、先に絵画教室のスケッチ会が大須であった後に、再び大須へ出かけて「もっと大きな魅力がここにはある」と気付きました。
「街歩きを楽しむには、地元の人との会話が一番」と考える僕は、道が分からないと、遠慮しないで積極的に尋ねることにしています。この日も3カ所、3人の方に尋ねました。
最初は、散歩の途中でしょうか、僕と同年配と思われる男性。「少し来過ぎましたね。あの道をしばらく戻られると・・・」。身振り手振りをまじえ、ニコニコ顔の案内に、やや歩き疲れていた僕も元気になりました。
次に声を掛けたのは、道路沿いの倉庫内を整理されていた僕よりかなり年下の女性。手を止めて出てきてくれた女性は「詳しく知らないから、ちょっと待ってくださいね」と家の奥へ。でも分からなかったらしく、今度は小走りで数軒離れた商店へ入って尋ねてきてくれました。
3度目は僕よりずっと若い男性。商店の歩道わきで商品を整理中でしたが、「聞いてきます」とビルの階段を駆け上がっていきました。ほどなく戻ると「分かりました。次の信号を渡り終えたらすぐ左へ曲がってください。ちょっとだけ歩くと右側にあるそうです」。
心から「ご丁寧に、ありがとうございました」の連続でした。そして、どんなキャンペーンよりも、地元の人たちの優しさ、温かさは、観光客をリピーターにするのだな、と大須のにぎわいの源を見た思いがしたのです。
10本もある商店街通りの一つ、東仁王門通り商店街のアーケードの天井から、名古屋弁とイラスト入りの楽しい垂れ幕が架かっています。その一枚。
「おみゃあさん 大須は楽しい ええとこだがや
連れってたるに いっしょに いこみゃあ」
(僕の訳:あなた 大須は楽しいいいところだよ 連れて行ってあげるから一緒に行きましょうよ)