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海辺のモラトリアム

フランス(ニース、グラース)留学に伴う諸々の準備や現地での生活について、知人に向けての近況報告

シャネルのバラ畑

2010-06-08 23:34:47 | フランス留学生活
5月はもう終わってしまったけど、薔薇ネタでもう一個。



学校の授業の一環で、シャネルのバラ畑を訪れた。




グラースでは昔から、Rose centifolia(ローズ・センティフォリア)という種のバラだけが栽培されている。



このcentifolia(センティフォリア)、
とくにグラース産の花から作る香料は最高級品で、かなり値が張る。

ただし昨今は生産地がインドに移動し、生産高は本家よりも彼の地の方が上回る。


バラの品種は数え切れないほど存在するが、
香料として使われる種は、このセンティフォリアを含めたった2種類しかない。
もうひとつがDamascena(ダマセナ)といって、こちらはモロッコやトルコなどが主な産地となる。

特にグラースで栽培されるセンティフォリアのことを、「Rose de Mai」(ローズ・ドゥ・メ;5月のバラ)という。



花は薄い桃色をしていて、華やかで優しく、蜂蜜のような甘さのある香りがする。
トルコ産やモロッコ産などの他のローズ香料と比較しても一番好きな香りだ。
実際の花の香りも素敵だった。

非常に高価なため、学校でもセンティフォリアのローズオイルは
一度しか匂いを嗅いだ事がない。



花つむ女性たち。


袋に集められ。


トラックで工場まで運ばれる。


運ばれた花びらは、オイルを作るための大きな釜に入れる。
5段になっていて、1段が50Kgのバラの花びら。
全部で250kgにもなる。


ヘキサンという溶剤と高温で、エキスを抽出。
絞り取られたあとのバラの花びらたち。
様々な過程を経て、最終的に手に入る香料(アブソリュート)はたったの300gほど。






バラ園のあぜ道に咲くポピーの花。

KENZO(ケンゾー) flowerという香水を連想させる。

2000年に発売され、フランスで爆発的な人気を記録した香水だ。
自分にとっては甘すぎる香りだが、フランスでは一時期、
安価なトイレタリーも様々なものが、この香りで埋め尽くされたという。
特別な香りではなくなってしまったのは逆に不幸なことだ。

赤いポピーはこの地域のそこかしこで見かけるから、
きっとKENZO flowerのイメージはヨーロッパの雑草、
ポピーから得られたものなんだろう。


先生はケシの花は匂いがしないと言っていた。

けれど手にとって匂いを嗅いでみると、
もろい花弁が瞬く間に散ったあとで、意外にも甘い香りがする。

後に残った子房、のちに果実となる部分が香っているのだ。


後日、香っていたのはアヘンが作られる部分ではないかと思い当った。
確認した結果、アヘンはある種のケシの未熟な果実に傷をつけたときに
分泌される液を乾燥させた物質だという。
だったらアヘンも同じような甘い香りをしているんだろうか。

まるでkenzoの香水のような香りがしたといったら怒られそう

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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (karen)
2010-06-11 18:48:21
いい写真やね。
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Unknown (管理人)
2010-06-12 10:19:37
ありがとう。
5月の限られた時期にしか行けないところやからね。しかも予約制の。だいぶ貴重な体験ができたと思ってます。
返信する
どうやって畑に行けたのですか? ()
2011-02-02 10:19:21
こんにちは。

今度グラースに行ってダマスクローズや
センティフォリアの写真を撮影したいと
思っています。

語学が苦手だし、車も運転出来ないのですが
どうやって管理人様の様に畑へ行くことが
出来たのか教えて頂けませんか?
返信する
Unknown (管理人)
2011-02-02 10:44:58
こんにちは。
上記のバラ畑はシャネル社所有のもので、私も香水学校の案内で行けたものなので、個人的にどうやったら申し込めるかはわからないんです。

ただ、グラースとカンヌの中間くらいの場所にLa Bastide du Parfumeur(パヒューマーの館)という植物園があるんです。そこへいくと、香水の原料になっているような植物がたくさん植えられていて、5月などのちょうどいい時期にいくとセンティフォリアも見られると思います。グラースからカンヌ行き600番のバスで行けます。

http://www.grasse.fr/spip.php?rubrique457
↑これはグラースのOffice de tourisme(観光局)のHPですが、植物園について紹介されています。グラースのバスターミナルから歩いて5分くらいのところに観光局があり、聞けばどのバス停で降りればいいのかも丁寧に教えてくれると思います。大人は5ユーロで入場できますよ!天気が良ければご飯を持って行ってピクニックをしてもいいようです。
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