月明かりの下の独り言

こちらに舞い戻って参りました。
こちらで、ちょっくら暑苦しく真面目な話題に、取り組んでいきたいと思います。

積読本の消化を図りつつ、読了した本の感想など

2007-11-29 | 読書
最近お風呂で読んでいる本です。ずっと以前に友人に勧められてぽちっと購入(もちろん、日本の古本屋)していたものですが、積読しておりました。

この『自由からの逃走』という本は、エインリッヒ・フロムというドイツ生まれの社会心理学者が第二次世界大戦のさなかの1941年に執筆したものです。ナチ政権にたいする痛烈な批判を展開してるので、当然アメリカに亡命して執筆しております。

自由からの逃走 (1951年) (現代社会科学叢書〈第1〉)
日高 六郎
創元社

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彼が本書を執筆した根底に抱えているのは、「近代化」し、「自由を手に入れたはず」の人間が、なぜナチのようなファシズム政権を支持するという心理状況に陥るのか、という疑問です。

なぜ、この本を手に取ったのかと言いますと、しつこく、この本でございます。

心の深みへ―「うつ社会」脱出のために
河合 隼雄,柳田 邦男
講談社

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本書の第2話で、「科学は人を幸せにしたのか」「20世紀は人間を幸福にしたか」という問題について、お二人が繰り返し考えていらっしゃいました。特に医療の場面において、科学的な「三人称」の関係では、医療は冷たいものになりがちだと。例えばインフォームド・コンセントをすすめていっても、裁判を恐れているばかりでは冷たい関係にしかならない。医者と患者に「二人称」的な関係(分かりやすく言うと「肉親」のような関係)というものがそこには必要であり、「医師と患者の間に信頼関係が成り立ってはじめて良い医療関係ができる・・」ということを仰られています。

この対談は1980年代に行われており、なかなかこのお二人の考えていることは先見の明があるなとおもいました。というのも、11月20日のNHKクローズアップ現代「不信と対立を乗り越えて~始まった医療現場のADR~」で、最近の医療裁判の事例が紹介されていました。医療裁判は、訴えた側(患者側)が病院側のミスを調べなくてはならないという、圧倒的に病院側に有利な状況があったことが問題視されております。が、病院側としても、医療裁判で低下した評判を回復しなければいけない。ということで、病院側が調査し、双方がテーブルについて話し合い、紛争を解決していくという試みが紹介されておりました。それがうまくいくケースも、そうではないケースもあったんだけど、結局は病院側が真摯な態度で問題を調査する態度に、患者側も納得し、和解に至る、というケースが多いそうです。真実が明らかになることではなく、信頼関係を築く、ということが最大の解決策なんだろうなと。

なんとなく、そのような問題と、この『自由からの逃走』という本の主題はつながっているのではないかと感じています。お風呂でしか読んでいないので、なかなかはかどりませんが。

というところで、今日はちょっと時間オーバーなので、この『自由からの逃走』の感想はまた後日。


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