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地球が回ればフィルムも回る(gooブログ)

『食卓の肖像』『悠久よりの愛 -脱ダム新時代』などを制作した記録映像作家、金子サトシのブログ。

カネミ油症関連記事(2016年1月15~17日)

2016-01-18 11:32:00 | 公害・薬害・環境・医療問題
カネミ油症、1月16日に、国、カネミ倉庫、患者(被害者)の三者協議がありました。関連記事です。

患者75%が悩みやストレス カネミ油症調査、厚労省
2016.01.15 共同通信 
 西日本一帯で1968年に起きた食品公害「カネミ油症」の患者約1400人を対象に、厚生労働省が行った2015年度の健康実態調査で、約75%の患者が「日常生活で悩みやストレスがある」と回答したことが15日、分かった。
 調査は12年9月に施行されたカネミ油症の被害者救済法に基づき昨年4~6月に実施され、今回が3回目。35都道府県の1441人(男性685人、女性756人)が回答した。調査時点の平均年齢は64・4歳。
 日常生活における悩みやストレスについては76・3%が「ある」と回答。最も気になる原因としては「自分の病気や介護」を挙げた人が最も多く32・1%に上った。「収入・家計・借金」が13・6%、「家族の病気や介護」が12・2%と続いた。
 自由記述では「めまいが続いている」「将来、体にどう影響するのか不安」「少しでも効果のある治療法を教えてほしい」などの声が寄せられた。
 カネミ油症は、カネミ倉庫(北九州市)が製造した食用の米ぬか油にポリ塩化ビフェニール(PCB)やダイオキシン類が混入、油を使って調理したものを食べた約1万4千人が全身の吹き出物や内臓疾患などの健康被害を訴えた。

新支援策、新年度から 患者側、受け入れ カネミ油症
2016.01.17 朝日新聞 西部朝刊 
 国内最大の食品公害とされる「カネミ油症」の被害者支援策について、患者団体、原因企業のカネミ倉庫(北九州市)、国が話し合う3者協議が16日、福岡市であった。国が昨年10月に示した検診手帳の創設など4項目の支援策について、患者側は「極めて不十分」としつつも受け入れる方針を示した。新支援策は新年度から実施する見込み。
 患者側は支援策の抜本的見直しを求め、2世、3世の救済や一時金の増額などを求める要望書も提出したが、国は「困難」とした。
 2012年施行の被害者救済法の付則で、施行から3年をめどに支援策を見直すとしており、厚生労働省などが検討を進めていた。
 新支援策は、(1)検診結果をつづる手帳の創設(2)各地への相談支援専門員の配置(3)漢方薬を用いた臨床研究の推進(4)カネミ側が医療費を負担する「油症患者受療券」が利用できる医療機関の拡大。16年度中に国の基本指針を改定し、順次実施する方針という。
 (小川裕介)

カネミ次世代調査 長期化に患者反発 油症班が概要説明
2016.01.16 西日本新聞 朝刊 
 厚生労働省の全国油症治療研究班(班長・古江増隆九州大教授)は15日、福岡市で開いたカネミ油症の認定患者との会合で、患者2世など次世代を対象にした健康被害の調査概要を説明した。ただ、調査期間が50年以上と長期に及び、調査協力が認定基準の早期見直しにつながるか不透明なため患者側が反発。調査実現は見通せない状況だ。
 研究班は昨年6月の会合で、調査に向けて本格準備に入ると表明。15日の会合では、本人や保護者の同意が得られた2世らから、がんや心臓疾患などの病状を毎年、情報収集することなどを提示しつつ、特有症状の有無について最初に分析結果を出すまでには10年を要するとした。
 これに対し、患者の中には風評被害を恐れて、油症を子どもに伝えていない世帯もあり「早期救済につながらなければ負担を強いる調査に協力できない」との声が出た。研究班は次回会合で、患者側の意向をあらためて確認する方針。
 厚労省によると、油症2世は全国で1200人超。母親の胎盤や母乳を通じ、原因物質のダイオキシン類が体内に移行し、未知の健康被害が懸念されている。
 (竹次稔)

カネミ油症
来年度から漢方薬使う治療研究 3者協議で国 /福岡
毎日新聞2016年1月17日 地方版
 国内最大の食品公害「カネミ油症」の被害者団体と国、原因企業「カネミ倉庫」(北九州市)による3者協議が16日、福岡市であった。国が来年度から漢方薬を使った治療開発の研究を進める方針が決まった。
 救済法が2012年に施行されてから3年をめどに救済措置を再検討し、前回(14年10月)から協議を続けている。厚生労働省によると、漢方薬の研究のほか、窓口で自己負担がなくなる「油症患者受療券」が使える医療機関を増やすことも決まった。
 同省は、被害者側が求める医療費の支援拡充などには否定的な姿勢を続けている。【関東晋慈】

斎藤環氏の『沈みゆく大国 アメリカ』批判について(続き)

2015-01-19 23:26:00 | 公害・薬害・環境・医療問題
前の文章を書いた後に、斎藤環氏のツイートを見たら、『沈みゆく大国 アメリカ』について、「最大の問題は、オバマケア導入以前から存在している問題を、まるで導入以降に生じたかのように印象操作していること」と斎藤氏がツイートされていました。しかし、この読み方のほうが誤読ではないでしょうか。
たとえば、『沈みゆく大国 アメリカ』の、重要なドン・ダイソン医師のインタビューを読み直してみると、この医師は、オバマケアによってメディケア、メディケイドの問題が生じたなどとは言っていないように思います。
ドン・ダイソン医師は、メディケア、メディケイドの保険の問題があり、むしろオバマケアによってこれが解消されることを期待していたが、しかし、オバマケアはまったくその解決策にならなかった、それでオバマケアには失望したということを言っているのではないでしょうか。私にはそう読めます。
これは「オバマケア導入以前から存在している問題を、まるで導入以降に生じたかのように印象操作している」ということではないと思うのですが…。
ただ、『沈みゆく大国 アメリカ』にはオバマケアによってそういう問題が生じたとは書いていないと思うが、オバマケアがその解決にはならないどころか、事態をさらに深刻化させているということを主張しているのかなとは思います。この点はたしかに異論はあり得るかもしれません。
つまり、メディケア、メディケイドの保険の問題はオバマケア以前からある問題であり、オバマケアとは別問題。なので、オバマケアによってそれが良くなるとかさらに悪化するということでもなく、そもそも違う問題ではないかと考えるなら、オバマケアについて論じる時にそれを持ち出すのは印象操作だと。
そのような考えで、印象操作だと言われているのかなといま、思いましたが、もしそうだとしても、オバマケアによってこうした問題が生じたという風にはやはり書いていないように思うので、その点は誤読のように思います。
堤氏はオバマケアがアメリカの医療問題を解決しないどころか、さらに深刻化させると考えて、それでこうした医療問題について書いているのではないでしょうか。ただ、この点は、オバマケアがそうした医療問題をさらに悪化させるのかどうかは、オバマケアはまだ始まったばかりだし、評価できないところはあるのかもしれません。
堤未果氏の著書に対して、そうした異論はあるのかなとは思いますが、でも堤氏は、オバマケアによってこうした問題が生じた、オバマケア以前にはこうした問題はなかったとは書いていないし、オバマケア以前からあるこうした問題が、オバマケアによって悪化するのではないかという主張と思われます。

斎藤環氏の堤未果『沈みゆく大国 アメリカ』書評に疑問を感じる

2015-01-19 18:44:00 | 公害・薬害・環境・医療問題
堤未果『沈みゆく大国 アメリカ』について、斎藤環氏が朝日新聞で内容に批判的な書評を書いていると知って、批判的な書評というのはどういうものかと思ってつい読んでみたのだが(だって、書評ってほめるものが多くて、貶す書評って珍しいから逆に興味を感じる)、斎藤氏が言われていることは、堤未果氏のこの本を読んだ私からすると、ちょっと違うのではないかと思った。
斎藤氏は、堤未果氏の著書は、あまりに一方的にオバマケアを批判しているもので、公平さに欠けるといったことを批判されているようだが、もし、堤未果氏が学者で学問的にオバマケアをどう評価するかということでこの本を書かれたのならたしかにそうした客観性を欠いていることは問題があることなのかもしれないと思うのだが、堤未果氏は、学者じゃないし、むしろ、明らかに、日本が世界に誇る国民皆保険制度が崩壊するような事態は回避したい、オバマケアは日本の国民皆保険制度とは全然ちがう、オバマケアを徹底的に批判しなければならないという考えで、この本を書いていると思う。つまり、これは学問的にオバマケアをどう評価するかという本ではなく、政治的な目的のために、一方的に書かれた本なのではないかと思う。むしろ、そこがすがすがしいというのか。それは私だって、読みながら、ここまで一方的にオバマケアを否定しているが本当なのだろうか…とは思いつつ、読んだのだが、なんのために、オバマケアの問題点を列挙して批判しているのか、その目的が明快(日本の国民皆保険制度を守ることを訴えようという)なので、その意味で、著者の主張は実に分かりやすいし、そこがすがすがしくていいなと思ったのだ。つまり、これが学問の書だったらたしかに問題なのかもしれないとは思うんだけど、一方的な主張を述べる政治的な目的のための本という感じなので、この著書はこれはこれでいいのではないかと私には思えるのだが。

「水俣病被害者互助会 第二世代訴訟」報告集会

2014-04-13 23:33:00 | 公害・薬害・環境・医療問題
3月31日に熊本地裁で判決が出た「水俣病被害者互助会 第二世代訴訟」の、東京での報告集会に4月2日に参加した。
除斥については被告の国・県・チッソは昭和48年(昭和44年が排水停止として潜伏期間4年で昭和48年とのこと)を起算点として20年たっているので成立していると主張していたが、これは却下。
判決で除斥を却下したのは、除斥の適応自体を却下したのではなく、起算点を、原告、2名の方は最初に感覚障害がみられた時、原告1名の方は新たな損害とみられる症状が出た時を起算点としたため、それから20年はたっていないので除斥期間を経過していないと判断。
カネミ油症の裁判でも、こうした起算点をずらす判断を裁判官がして欲しいと思う。

 この「水俣病被害者互助会 第二世代訴訟」の判決は、原告8名のうち、3名の方は水俣病とし損害賠償を認め、5名の方は水俣病と認めず却下という判断が分かれる判決内容だったが、ひとりの方には1億円を超えるという、水俣病の賠償としては過去最高額が提示され、これはこれで凄い。
しかも、この方は鹿児島うまれの方なのだ。この方の勝訴は、水俣病が水俣だけでなく、それだけ広範囲に広がっている実態を示すことにもなる。
でも、さらに凄いと思うのは、この1億円をこえる賠償金を勝ち取った方が、「みんなが認められない限り、正しい判決とは思えない」と語り、ほかの原告たちと今後も闘うことを表明されていること。もちろん原告側からはこの1億円を認められた方は控訴しないので、ほかの7名が原告側から控訴するのだが、被告側も控訴するので、この方も裁判を続けることになるのだが…。でも、この原告たちの熱い仲間意識は感動的。
それとともに、この裁判の原告の人たちが、この裁判を通して水俣病でないと否定され、むしろ、そのことで当人たちは自らが水俣病であることをますます自覚するようになっていっているようであることがうかがえるところが見逃せない。
原告のある方は、今回の判決で水俣病と認められず却下されたが、国側は、裁判で「あの人は車を運転するので水俣病ではない」と主張したのだという。たしかに、その人は車を運転するのだが、運転する時、いつも裸足だというのに…。なぜ裸足なのかと言うと、靴をはくと、アクセルやブレーキを踏む感覚が分からないので、靴をはくのは危険なので、いつも裸足で車を運転されているのだという。これって…、水俣病の感覚障害ではないのだろうか?

今回の判決では、水俣病と認められた方のうち、2名は同居家族、親族に水俣病が認定されている人がいることも決め手になった。たしかに、同じ食卓なので判断材料ではあるのだけど…。でも、山口弁護士の話によると、亡くなられた原田正純先生が村々を歩いて診察された際、食生活を聞いたら、同じ村でどこのうちも同じような食事をしていたと書かれていたという。当時はコンビニも通販もないのだ。村のどこのうちも同じように魚を食べていたのではないのか?
山口弁護士は今回の判決は「木を見て森を見ぬ」判決だと語っていた。ひとりひとりの症状を細かく見て、これは水俣病に当たるか、当たらないかと書いている。でも、水俣病の被害の全体像がつかめていないのでは。

カネミ油症 北九州市で未認定被害者自主検診開催

2014-03-29 14:17:00 | 公害・薬害・環境・医療問題
*カネミ油症、未認定被害者の重本加名代さんらのグリーン・アースが中心になって、未認定被害者の自主検診を北九州市で開催します。

(以下、共同通信の記事、引用)
油症の自主検診会開催へ 健康不安者に呼び掛け
2014.03.27 共同通信
 カネミ油症未認定患者のグループ「カネミ油症未認定・ダイオキシン汚染を止める会グリーン・アース」と医師らが、体調不良に悩み、油症が疑われる人を対象とした無料検診会を30日に北九州市で開く。27日に会見した関係者は「骨がうずき、おできや虫歯ができやすいなど健康不安があれば来てほしい」と呼び掛けた。
 油症が疑われる人への健康診断は、厚生労働省の全国油症治療研究班が年に1回、全国で行っているが、グリーン・アース会長で未認定患者の重本加名代(しげもと・かなよ)さん(57)=福岡県中間市=は「厳しく診断されることが多い」として自主検診を計画した。
 30日は北九州市八幡西区の北川内科クリニックで、東京都や熊本県などの内科医や神経科医ら5人の医師がボランティアで問診する。会見した重本さんは「原因不明の体調不良も油症と気付けばすっきりすることもある。別の地域での開催も検討している」と話した。
 カネミ油症はカネミ倉庫製の食用米ぬか油にポリ塩化ビフェニール(PCB)などが混入、油を口にした約1万4千人が全身の吹き出物や内臓疾患などの症状を訴えた。昨年末現在、認定患者は2246人。