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阿刀田高著「小説作法の奥義」

2023-03-25 16:26:28 | 日記
先日読んだ「読書会の幸福」で、著者の向井和美さんが数ある大河小説の中でもとくに夢中になったのが「チボー家の人々」だと書かれていた。すぐ感化され私もこれはチャレンジするぞー!と意気込んでいたら。本書を読むと最初の方で阿刀田氏は、「チボー家の人々」を途中で力尽きて断念したとあっさり告白。ガーン!ショックを受けた。
阿刀田氏は、私には長編は向かない、ときっぱり書いている。
「私は小説が好きというより、短編小説が好きなのだと年老いてわがままを素直に告白するようになっている。」と。さらに、「長いのはくどくてもういい!」とも。なんて潔いいんだ!私もチボーには、手を出さない方がいいかも(若くもないし)。読書会ならまだしもひとりで読破なんて、まずムリだわ。そもそも読書が難しい私なのに。コロコロ気持ち変わるけど。
阿刀田氏は、学生時代、外国文学を専攻しているのだからと、モーパッサン、モーム、ヘミングウェイ(やっぱり向井さんオススメの主要な作家は押さえてるわ。当然か)などの短編集を読み尽くしたそうだ。だから短編を追求し、短編小説の名手となったのだ。
そして阿刀田氏はいう。短編小説は、読者のもとに長くお邪魔しない。奥ゆかしく礼儀正しい文学だと。なるほど。面白い考え方。
また、平成7年夏に直木賞の選考委員に任命された時の話が面白かった。委員は五木寛之、井上ひさし、黒岩重吾、田辺聖子などなどユニークな論客ばかりで、議論は多彩、示唆的ですてきだな、と楽しみだったそうである。これって、まるで大物作家による読書会じゃないの?ひよっとしてこれが楽しくて、年に2回もやってんじゃないのか?と思ってしまった。
また、読書会の話になってしまったけど、この本のタイトル通り、阿刀田氏がどのように小説のヒントを得ているか、これまでの経験をたくさん披露してあって、興味深い。また、ギリシャ神話や聖書、源氏物語などの古典から谷崎潤一郎、中島敦など知ってそうでよく知らない内容が分かりやすくダイジェストで紹介されていて、面白く読んだ。🥷





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