新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃんとお父さんの日々。

最近観た映画について

2019年10月13日 | 映画/音楽
 毎日、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝』の話題が続いているけれど(まだ語りたい)、たまにはほかの映画の話題でも。

 『ジョーカー』は、心身に問題を抱えた青年アーサーが、「ジョーカー」になるまでの物語。衛生局のストで、ゴミだらけになったゴッサムシティの超格差社会の描写が見事。しかし、ひたすら鬱展開で、「よし、これからだ」というところでthe endなんだよね。あとは『ダークナイト』を観ろ、ということかな。よく言えば、余韻の残る終わり方だが。

 『エンテベ空港の七日間』の主演の一人、ドイツ赤軍のヴィルフリード・ボーゼ(ヴィルフリート・ベーゼ)役のダニエル・ブリュールは、『グッバイ・レーニン』の主演だった人か。元々は出版業で、ひ弱で心優しいインテリ青年を好演していた。ブリギッテ・クルーマンが演じた女性革命家、ロザムンド・パイクも、いい感じだった。いざとなると、女性の方が度胸があり、男は頼りにならないものだね。だからこそ、別れの電話のシーンが切ない。トイレの水が流れなくなり、給水設備を修理する航空機関士のルモワーヌの語る、「自由とはトイレの水が流れることだ」「五十人の革命家より一人のエンジニア」という言葉は、一労働者として生きる私自身の決意でもある。

 『アズ・アストラ』は、地球外知的生命体の探求に人生を捧げ、行方不明になった科学者を父に持つ、宇宙飛行士ロイ・マクブライドの物語。しかし、父は生きていた。そして、その秘密は、人類の存亡に関わる謎だった。父の謎を追いかけて、ロイは地球から43億kmの旅に旅立つ。この作品は、父と子の物語であり、妻と夫の物語でもある。こういう作品を見ると、『シン・ゴジラ』が、「人間を描けていない」とアメリカで不評だったというのもわかる。しかし、宇宙シーンの描写は、本当に見事だ。宇宙は怖い。監督・製作・脚本を手がけたジェームズ・グレイに本作のアイデアがひらめいたのは、ノーベル物理学賞を受賞したエンリコ・フェルミに関する文書を読んだことだったという。フェルミは、世界初の原子炉を作り、核分裂を実験的に繰り返す実験に取り組んだが、アメリカ西南部が破壊される可能性が90%あると考えていたという。グレイは本作の製作意図をこう語る。「彼らは核分裂を制御できるかどうか、完全には確信していなかった。それも非常に恐ろしいことだが、もし深宇宙にいて何も失うものがなかったとしたらと考えたんだ。それから、ジョゼフ・コンラッドの小説『闇の奥』や映画『地獄の黙示録』のことを考え始めて、本作のアイデアが生まれた」。なるほど。『地獄の黙示録』は、マッカーサーと日本のメタファーという解釈を読んだことがあるが、最後は核爆発が起きる深宇宙は3・11の日本なのかもしれない。


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