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事業仕分け 議論の向こうに明日がある

県と市町村はやっぱり上下関係だったの?事件

2011-05-31 | 事業仕分け

信じがたい事ですが、県のある事業が財源不足になったので、市町村に負担させようとしています。しかも強引に。

 

それは「医療通訳派遣事業」

実はもう何年も前から懸案事項だったようですが、私が知ったのは今の部署に異動してきた3年前のある日、県から電話がありました。

市町村が共同で事業費を負担しているのに、参加していないのは厚木市とF市、I市、H市だけだ。理由を聞きたいので説明しろ、というもの。そこから長い攻防(?)が始まりました。

 

「医療通訳派遣事業」とは、県と、あるNPOが協定を結び、外国籍市民が病院で診察等の際、日本語の会話が難しい場合に通訳を派遣する、というものです。

 

どうして参加しないのか?

問題は、まず、その負担割合が不均衡だからです。県で協定を結んでいる17病院が通訳を頼んだ実績件数によって市町村に負担させるのですが、その協定病院は地域の偏在があるんです。横浜に7病院、川崎に3病院、横須賀半島地域に1病院、湘南地域に1病院、県央地域に4病院、小田原足柄地域に1病院となっています。

それぞれの地域に住む外国籍市民の割合に応じた配置とはなっていないのです。ですから、外国籍市民が協定病院で通訳をしてもらった実績数は、市町で大きな違いが生じてしまうのです。協定病院が多ければ市町実績は多くなるに決まっていますね。

協定を結んでいない市町は、市の国際交流協会に通訳を依頼するなど、自前で対応しているようです。

この偏在をなくし、どの市町村でもせめて1箇所の協定病院があれば、通訳機会の偏りはかなり解消されるでしょう。また、在住外国人の人数割りなら、病院に受診する機会もほぼ同程度でしょうから、こういった数値で積算してほしいとお願いしているのですが、解消されません。

 

ちなみに、神奈川県に住む外国籍市民は、21年度時点でおよそ176,000人。厚木市の割合は3.5%なのに、負担金は8.8%を要求されました。

他市と比較してみると、

川崎:厚木市は川崎の19%の人口しかいないのに、予算は57%を要求されました。

大和市:外国籍市民が厚木市とほぼ同数の6,000人超ですが、協定病院が近くに4箇所ある厚木市の負担金要求額は234,000円、協定病院がない大和市は67,000円。

受診発生リスクがこのように不均衡な状況では、とても負担金支出はできません。

 

そもそも、この負担金は県が特定のNPOと協定を結んだもの。いわば1社との随意契約です。県内には国際交流協会やNPO、民間企業など引き受け可能な事業者がいるのに、他の参入機会を閉ざした契約では、著しく公平性を欠き、説明がつきません。

 

さらに問題は、外国籍市民の患者に対し、病院が必要に応じて派遣を要請してしまうため、市町村では病院に対し、通訳経費を抑える努力を促すことや、患者への案内などの工夫など指導もできず、統制がきかない内容について一方的に請求されるしくみです。

 

この事業は、もともと県の事業だったのです。県の基金で財源を手当してきたそうですが、基金が枯渇したため、その不足分を市町村に負担させるということだそうです。
 
もちろん、厚木市在住外国人もお世話になっているのだから、応分の負担を要求されるのは理解できます。

この不均衡の解消を条件に、会に参加し、会費も支払うつもりだと説明してきました。

 

ところが、今日、驚愕の出来事が。

県の役職者が市長を訪問する際、「厚木市が負担に協力しないことを、よく市長に言っておくから承知しておけ」と伝言がありました。いやはや驚きました。もう何と言って良いのやら…

 

ちなみにH市に様子を聞いたら、県が副市長のところに直談判に行って、支払う約束をしたそうです。F市、I市はうちと同様に、まだ抵抗していますが、いずれ時間の問題のようです。

 話合いもしないでいきなり特別職へ話を持って行くなんて、虎の威を借る狐?
 県
と市町村は水平の関係だなんて、どこにいっちゃったんでしょうか。


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