明日がはじまるとき

事業仕分け 議論の向こうに明日がある

藤沢市の「テーマ型事業仕分け」

2011-07-22 | 事業仕分け

7/1617の週末は、神奈川県藤沢市でした。
海老根市長になって3回目を迎えた事業仕分けは色々な改善が加えられていました。

まず、会場は、昨年までの市役所から秩父宮記念体育館に移動していました。広い会場内では、各部局の目玉政策が所狭しと展示されていました。消防ではテントを張りAEDの体験なども行っていたようです。このような機会を活用し、市の政策をPRするのは良いですね。
 しかし、この時期の体育館ははっきり言って、何かのお仕置きか我慢大会の様相でした。いくら冷房をつけたといっても、天井近くの噴き出し口が28度設定ですから、席の周りは31度を超えていました。しかも、飲み物は常温です。仕分け人たちは自動販売機で冷たい飲み物を購入し、率先して売上げに貢献していました。
 感心したのは、コカコーラやNTTの広告掲載料を活用し、横断幕やチラシ、団扇、飲み物などが無料で提供された点です。多くの来場者を見込める事業は、現物提供などにより支出を抑える手法はもうマストとなっていますね。

さて、今年度の藤沢市の新たな取り組みは、「テーマ型事業仕分け」です。
1事業ごとに仕分けを行う方法とは違い、あるテーマについて関連する複数の事業を取り上げ、課題解決のための有効な施策を横断的に検討し、費用対効果や優先順位を考慮し、全体を俯瞰した議論を目指します。

藤沢市が取り上げたテーマは「待機児童解消策」
比較的若い世代が多い首都圏近郊都市で、待機児童ゼロは喫緊の課題になっています。このような都市では行政がいくら保育所を設置しても、ゼロには追い付かない状況です。
これに対処するため、民間施設、個人の保育や家庭のありかたなどについて幅広く議論し、その解決策や今後の方向性について考えようというものです。
まず、押さえなければいけないのは、「待機児童」の言葉の意味ですね。これは、「認可保育所に入所申込みをし、入所要件に該当していても、入所できない児童」をいうのです。だから、認可保育所以外の手段が用意されていて、そちらを希望する人が増えれば、待機児童はゼロに近づくことになります。

 公立保育所が限界に来ている理由は、老朽化した施設の管理や人の管理などです。一旦施設を設置し、人を雇えば、3040年は保持し続けることになります。1施設の建設費を3億円と計算して、生涯コストは15億円以上かかるといわれています。
さらに公立保育所には、児童に対する国・県補助金がないため、法人立保育所等に比べて市民の税金を投入する割合が大変高いのです。
資料からは、公立の定員拡大を進めれば、施設のイニシャルコストだけでなく、1年間で1人当たり150万円以上の経費がかかることになるのです。法人立では120万円程度、認定保育施設では27万円程度となっています。

また、認可外に通う家庭には月額1万円の補助をしていますが、対象は300人ほどでしかありません。

コストだけで判断はできないですが、同質なら多様な手段を、同程度の負担で提供できるように検討していくべきでしょう。


議論では、

1 今後は市立保育所の建設はやめ、法人立、認可外などにシフトしていくべき。

2 施設の格差、保護者負担の格差など是正を図るべき。

3 多様な保育機会を提供すべき。

4 藤沢市独自の保育ガイドラインを作るべき

5 行政だけで解決は不可能。企業、家庭保育、NPO等も含めた官民協働による対応が必要

などですが、
実は、行政の内部では十分に話し合ってきたことかも知れません。
しかし、広く住民の方に対し、コスト比較、民間との連携、将来のあり方などについて、じっくり話し合う機会は初めてだったのではないでしょうか。

傍聴にいらしたかたから、「予算を切られるだけだと思っていたので、良い話が聞けた」、「こんなに格差があるとは知らなかった」など、ご意見をいただきました。いただきました。

いつも傍聴に来ていただき、仕分け人も務めてくださる山蔦さんからは、「3世代同居などで、祖父母がこどもを保育している家庭」への助成も一方では必要だと、仰ってました。
なるほど、税投入としては、抽選で当たった高い配分、家庭での保育はゼロ。偏っていますからね。藤沢市の就学前児童22,220人のうち、家庭で保育されているのはほぼ半数の9,460人ほど。
公平なサービスという観点からも、藤沢市のガイドライン作りは重要なものとなってきます。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。