大震災からまもなく3週間。
ようやく非常事態から抜け出しつつあるという状況でしょうか。
国や地方自治体の実施する支援は、災害救助法や被災者生活再建支援法を根拠にしています。災害救助法は、「災害に際して、国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力の下に、応急的に、必要な救助を行い、災害にかかった者の保護と社会の秩序の保全を図ること」を目的としており、その内容は、避難所などの収容施設や仮設住宅の供与などがあります。
でも、やがて壊すことが前提の仮設住宅より、最初から家を造った方がよいのでは?と、疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。こうした大規模災害への対応は国の責任ですが、その範囲は基本的には非常時の対応やインフラの復旧であり、個人の持ち物=私有財産の整備はできない、ということになっています。
もちろん、被災者生活再建支援法では支援金等の制度があり、また、これらの不足を補う義捐金があるものの、基本的には災害によって失った家や家財道具は自己責任で対応することとなっているから、仮設住宅しか建設できないとのことです。
そこで、頼りになるのが「地震保険」。政府の事業仕分けで取り上げた「地震再保険特別会計」を振り返ってみます。
そもそも地震保険は火災保険に付帯して販売されるので、わざわざ地震保険をはずさなければ100%契約であるのはずなのですが、実際の地震保険の契約は火災保険加入世帯の46.5%に留まっているそうです。更に、全世帯の加入率でみると、23%程度しかありません。(2010年のデータなので、現在とは異なることをご了解ください)いつ来るかわからない地震の備えには、割高感があるようですね。
ただし、この保険は個人の保険料や保険会社で賄う通常の保険と異なり、政府がかなりの部分を負担するのです。簡単に説明すると、契約者が損害保険会社に火災保険に付帯して契約。損保会社は「日本地震再保険(株)」に地震保険部分を再保険。さらに日本地震再保険(株)は、損保と政府とで再々保険として引き受けてもらう、という仕組みです。
前述した災害関連の法律では、私有財産への補償はできないはずでしたが、保険支払いに関しては、政府の割合が大変大きく、結果的に個人の財産をかなりの部分で補償する仕組みともいえます。
この大災害の支払いについて、政府は必要額5兆円程度と見込んでいるそうですが、このための積み立ては1兆円程度しかなかったはずです。
当時の事業仕分けでの議論では、
1 私有財産に対して、国費で保険支払いをすべきか
2 加入率が2割程度しかないが、国民皆保険にすべきではないか。(海外では、火災保険と併せての強制加入もあるそうです)
3 関東大震災レベルでは現在の1兆円程度の積み立てでは当然不足するが、そのために多額の国費を積み立てするのはいかがか。(積み立ては埋蔵金扱いでしたから)
4 巨大地震等の際には「復興国債」の発行で賄えばよいのではないか。(必要額の想定が困難なため、明確な積み立て基準なし)
などが主な論点でした。
当時は、このような大震災がこんなに早く現実になるとは思ってもいなかったです。
かたや地震保険金5,000万円(上限)、かたや支援金100万円・・・
阪神・淡路大震災以降、加入者は伸びているそうですが、今回の地震で認知がさらに高まったことでしょう。
愛する家族のためにも、「いざ」に備えることを考えるときですね。
新聞の上がお気に入りのリリちゃん