明日がはじまるとき

事業仕分け 議論の向こうに明日がある

龍ヶ崎の市事業仕分け

2010-11-30 | 事業仕分け

 龍ヶ崎市は、市民判定人が仕分け人の議論を聞き、判断する
「市民参加型事業仕分け」のスタイルでした。


 私は1日目が仕事のため、2日目だけの参加で、
2班のコーディネーターを務めました。 
 
 ところで、構想日本は私に「厳しい仕分け人」を期待しているようですが、
本当は「気付きを促すコーディネーター」なんですよ。
初めて一緒に組んだ仕分け人からは、イメージと違っていた、
職員に優しく問題点を教えたことなどに感動した。
との意見がたくさん(いや、数件かな?)。  

 さて、2班は、学校の支援員、給食センター、保育所など、
子どもにまつわる事業がほとんど。 このように、1つの属性
(こどもや高齢者など)について対象事業を抽出し、1つの班に集めると、
部署を超えた重複がわかる、世代別の予算がつかみやすい、
などの理由で、私は賛成です。
 
 ただし、類似事業が午前・午後などに分散されていたため、
重複事業の整理が一目瞭然ではなかったのが、やや残念でした。
分散した理由は、「説明が続くと説明者の負担になるから」
 職員の負担軽減が優先ではなくて、市民判定人や傍聴者のわかりやすさが
優先されるべきなのですが。
 まぁ、事業選定の基準が、「市の裁量の余地がある事業」であったため、
国や県のせいにできず、市としての対応を問われることが予想されたから、
その負担を考慮したのですね、きっと。  

 また、仕分けの基本的な考え方は、行政サービスとしての必要性、
実施主体のあり方及び実施手法の妥当性等について、
市の政策方針や財政上の制約、国・県等の意向等は前提とせず、
事業そもそもの必要性、適切な実施主体のあり方及び効果的な
実施手法等について判断する」ことなので、
私たちが基本としている「そもそも論」で行う!ということなのです。

 では、実際の事業仕分けはどうだったのか?市民判定人と仕分け人が
一致して「不要」となった事業は、10事業中2事業。 

 そのうちの1つ、「母子生活支援施設管理運営事業」の議論を紹介します。
これは、配偶者との離別などにより母子が生活の場を失った場合などに、
自立できるまでの間、住まいを提供したり相談にのったりする施設の運営です。
 この事業で注意すべき点は
1 施設の存続をどうするか。近隣との連携、民間施設の活用などを考えることが必要です。
2 施設長、母子指導員、少年指導員、用務手、嘱託医(内科、歯科、精神科医)を抱え込まなければいけない制度が、法で規制されていること
3 入所者の自立まで達成できているのかを問うこと。行政に依存する市民にしてはいけないのです。
4 費用負担の範囲。そもそも、市民に限定したセーフティネットではないので、箱物・人件費の負担を広く、他市町村に求めるべきではないか、ということ。まぁ、更に言えば市町村の仕事なのかということにも議論は及びますが  

 さて、現況はどうかというと 施設は、昭和32年に設置したものの、
老朽化により平成4年に改築。 20億近くの費用のうち、市の一般財源は
約10億、残り6,000万円は国・県補助金、 3,400万円が地方債(借金)です。
 今後も施設を持ち続ければ、維持補修、再改修の費用など多大な
コストが予測されます。

 施設の職員も、3世帯6人のために2,000万円を超える人件費がかかります。  
また、10世帯入居可能な建物に3世帯のみ入居、新規入居はほとんどなく、
中には10年以上入居の方も。・・・ということは、自立策は功を奏していないことになります。  
 県内には同様の施設が6箇所ありますが、入居率は20%から35%。
(県の施設だけが100%でした) これらを統廃合し、建て替えをやめるだけで、
国税や県税、市税の軽減につながりますし、人件費も浮きます。
空き部屋、人材の空き時間を寄せ集めて効率よくするなんて、
普通に考えてわかるはずなのです。

 また市内の民間アパートは平均家賃5万円程度とか。
この施設は(単純計算ですが)1ヶ月のフローで62万円のコストです。
これをおかしいと思ってほしいのです。

 今後、この施設が老朽化しても建て替えせずに廃止し、他都市の施設を
使うなど提案しましたが、県が嫌がるなどとの返事に、
「一体誰が主体で行う事業なのか」と。

 市民判定人からも多くご意見をいただきましたが、結論は「廃止」
たったいま住むところがない、という方たちのセーフティネットとして、
「住むところ」は用意する必要はもちろんありますが、
その手段としてこの施設でなければならない、という理由が
見当たりませんでした。この高コスト、箱の空きスペース、人の空き時間
・・・代替手段はいくらでも考えられます。

 職員の方は「今後検討する」といわれましたが、
行政のいう「今後」は、いつやるのか保証はないです。
市民の方からは「即刻廃止」のコメントが多く寄せられました。

事業仕分けの結果はHPで早速公表されました。素早い対応に驚きです!

仕分け結果の活用についても、庁議メンバーで構成する
「龍ケ崎市行政経営推進本部」において調整を行い、
最終的に市の対応方針として決定、平成23年度以降の事務事業の見直し
及び予算編成に反映させるとのことです。

忘れた頃に公表するのではなく、途中経過として会議の概要なども
市民の方に見ていただけると、一層市民の方への説明責任が果たせ、
皆さんから信頼が寄せられると思います。

事業仕分けは、終わってからが、その自治体の改革の始まりです。
これからどのように進んでいくのか、注視していきたいですね。


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