明日がはじまるとき

事業仕分け 議論の向こうに明日がある

衆議院決算行政監視委員会がおわりました

2011-11-17 | 事業仕分け

国会で初めての試み!「事業仕分け」が終わりました。

衆議院決算行政監視委員会 行政監視に関する小委員会において、参考人の仕事が終わりました。

 

参考人は政府や小委員会委員に対し、直接質疑などができないことになっているので、発言は「~は、どうなっていますか?」ではなく、「~が、どうなっているのか疑問です。」と意見や感想を述べるようなもので、非常に歯切れが悪かったです。

しかも、今回は私が“国保連を解体し支払基金と統合することが良い”という考えなのか否か、国保連から探りを入れられたようです。もちろん、“そんなの関係ない”ですが・・・

 

ともかく、予算獲得が命題で後は野となれ山となれ、ではないですが、執行や決算に関心が及ばなかったであろう国会で、その是非をきちんと議論し、最終的に立法府が判断して、次の予算に反映させる、国のお金の使い道のPDCAが始まろうとしています。

 

さて、小委員会は9時から第18会議室(いったい何部屋あるんでしょう?)で行われました。衆議院は小学校の社会見学以来です。青空に映える白亜の建物を外から写真に収め、コートもマフラーも持ち込めないため入り口で預け、会議室へと案内されました。

 

私は2事業目からなのですが、最初の事業から入室し会議の行方を確認していました。

平将明議員や、河野太郎議員、山内康一議員や、2日間参考人を務められた永久寿夫PHP総研常務、小幡純子上智大学法科大学院長、20日の参考人の亀井善太郎東京財団研究員、中村卓草加市副市長と見知った方ばかりだったので、かなり緊張がほぐれました。

 

私のコマは、医療費レセプト(請求書)審査事務です。

事業仕分け終了後に、レセプトや査定率などとわからない言葉ばかりだったと言われてしまったので、違う用語へ言いかえが必要だったと反省しています。

レセプト(独:Rezept)とは、患者が受けた診療について、医療機関保険者市町村健康保険組合等)に請求する医療費の明細書のことで、診療報酬明細書(医科・歯科の場合)又は調剤報酬明細書薬局における調剤の場合)ともいいます。この際、診療内容を記載した診療報酬明細書を提出しますが、これをレセプトといいます。また、審査機関では、保険診療の決まりに基づいて、請求の妥当性を審査しますが、認められない項目については、減点されます。これを査定といいます。

 

本当はたくさんの論点があるのですが、90分のうち質疑時間は70分、会派代表がそれぞれ10分程度質疑をされ、残り50分程度が自由討議ですから、論点を大きく3点に絞っていましたね。

 

1 審査支払機関の統合・・・統合によりレセプト審査が効率化され、医療費の削減につながるのではないかとの仮定です。2年前の事業仕分けでも指摘されたことなので、その後、組織統合によるさまざまな影響について十分に検討されてしかるべきなのですが、具体的な比較はできていないようでした。人員や施設について多少の削減は見込めるが、新たに部屋などを借りる費用が掛かるので、当面はトントンでプラスに転じるのは10年以上先だとの回答です。しかし、資料が恣意的で、統合するのにもかかわらず同規模の部屋を借りる試算です。これには委員からも、誠実ではないとの声が。
なお、中村さんからは、市町村共同事業が前提の国保連であり、統合するなら国保制度全体を考えるべきとのご意見が出されました。

2 審査機関の競争促進・・・これも前回の指摘事項。現在は国保連、支払基金のどちらでも審査ができるようになっているそうですが、3500保険者中問い合わせ15者、実績はゼロ。何が障壁なのか聞いても、要領を得ませんでした。この審査手数料1件当たりの平均は、支払基金が85.5円、国保連61.9円ですから、普通に考えれば安いほうに流れるはずなのですが。そこはやはり、表立って言えないこともたくさんあるのでしょうか??

3 医療機関の過剰請求の抑制策・・・現状組織のままで統合した場合、医療費適正化効果として、査定率は平均化されるとの試算。でも、統合せず競争する場合の査定率は高いほうに収れんするとのこと。これもずいぶん都合がよい試算です。委員からその根拠を聞かれましたが、明確には答えていただけませんでした。

私が意見を申し上げたのは、

審査の標準化、さらにDPCという包括支払い方式や、DRGという1入院当たりの診療報酬方式をとれば、マンパワーで審査する件数は削減され、精度の高いものになる、もって医療機関の過剰請求抑制策となるのではないかということでした。

そもそも、現状組織のままで統合しても、スムーズに移行できない不安要素がたくさんあります。まずは審査基準の標準化が必須です。現在でも県単位、支部単位で審査格差があります。内部でもバラバラのまま統合したら、混乱することは目に見えているような・・・どこかの銀行が合併した時もそうでした。お金を預かる、貸すなど理屈は同じでも、システムや人的な運用は異なりますからね。

さらに、全件の審査が不可能な現在、オンライン化を推進し、システムチェックではじかれたものや、悪質請求の傾向がある医療機関、高額医療、先端医療など、ターゲットを絞って集中的に審査すべきだということです。

これらの意見は、委員さんよりむしろ厚生労働省の方が繰り返し採用してくださいました。

 

最後に階委員からは、組織統合だけにとどまらない幅広の議論が今後も必要だと、高い見識のあるお言葉をいただきました。

 

事業仕分けですから、いつものように評価を行いましたが、その結果は、廃止1、民間1、縮減1、制度・組織等の見直し11 でした。

 

問題は、この結果を本体の衆議院決算行政監視委員会で採用し、勧告するなどの措置をしていただけるのか、また実行に移す時期はいつなのか、でしょう。やっただけで終わらないようにと希望しています。

 

国民の信託によって、この国は経営されています。貴重なお金を予算付けし、執行するのですから、その結果が目的に合致しているのか、効率的に使われたのかなどを審議することが重要です。ようやく議会がその役割を果たす時がきました。今回は試行、来年度から本格稼働するとのことです。

税金のPDCA=予算を立て、執行し、決算で審査し、次の政策に反映させる=このサイクルがうまく回ってほしいと、心から願っています。


ところで、決算は個別事業を見ていくことが大事ですが、同時に、その事業の大目標である政策の方向性やグランドデザインなどを確認し、方向性をただすことも重要ですね。

 

20日から始まる提言型政策仕分けは、まさに、ここがポイント。

更に、これも初の試み!PHP総研とユーストリームが共同で、実況中の仕分け解説をすることになりました。難しい言葉の羅列や何が論点なのか、どのように解釈すればよいのかなどを、解説者がサッカー解説のように、ポイントを説明します。

 

解説を聞くことで理解が深まり、普段は国政のことに関心がなかった方が、なるほどこういう事業だったのか、こんな問題があったのだ、ということをわかっていただきたいですし、1番が良いのか2番なのかというのが本当の問題ではないんだということをお伝えできればければ、と思っています。

 

事業仕分けを公開するのは、みんなで同じものを見て、一緒に考える=意識を共有するためです。世の中が先が見えない混沌の世界に入ってしまったように感じるいま、日本も日本人も、自身の姿をきちんと見て現状を認識し、これからどこへ進むのか、何を変えていくのか考える一歩になったら、とつくづく思うのです。


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