見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

バスターズ

2008-09-13 11:17:56 | 北海道の風景
用具小屋の板壁の節穴から、スズメバチが頻繁に出入りしていることに気が付いた。
数日後に、妹が小学生の息子を連れてやってくることになっている。
急いで始末しなければならない。



と言っても自分で手に負えるものではない。
役場の町民課に電話をすると、すぐに「バスターズ」がやってきた。
乗って来た幌付きトラックには、廃食用油を用いたバイオディーゼル車を示すステッカーが付き、『自然の番人宣言車』のステッカー文字も頼もしく見える。



町の職員2人は、スズメバチの穴を確認するとすぐに仕度に取り掛かった。
重そうな防護服を着用し、ゆっくりと歩く様は、まるで宇宙戦争に挑む飛行士のようだ。
それほどスズメバチは危険なのだとヘルメットの中から担当者が言う。




薬剤を注入し、節穴に封をしてしばらく置く間にも、スズメバチがぶんぶん飛び回り、遠目で見ていても恐ろしい風景だ。
しばらく後、板壁と内壁との間に作った巣を撤去するために、壁板を一つずつ外し始めた。二人の周囲を茶色のスズメバチが音を立てて飛び回る。



壁板を数枚外すと、数段の段組の中で大きな幼虫がうごめく巣が出てきた。
薬剤を使用しても、小指大もある幼虫の頭はもぞもぞ動いている。
目の前の幼虫が全て成虫化し、家の周囲を乱舞するようになった様子が浮かんで身震いした。



「うちのA課長はこれが好物ですよ」とビニール袋に入った巣と幼虫を差し出して担当者は笑顔で言った。
地蜂の幼虫を珍重して食する地域で暮らしたことはあるが、地蜂の幼虫の数倍はあると思われる大きさだ。美味しいかもしれない、が、試食は無理だ。

無くなってしまった巣の周囲を飛び回る親蜂たちを昆虫網で捕獲しながら、「数日はまだ飛び回るかもしれませんから、近づかないように」とバスターズの二人。
採った巣と捕獲したスズメバチを捕集箱に入れ、二人は再び着替えて戻って行った。

そういえば、以前住んでいた街でも、市民生活のSOSに応えて飛び回る頼もしい課がいくつかあった。
住民が役場・役所の存在を確認するのは、こういう些細な日常生活の一こまにあるのかもしれない。
だから、大局を示すということが厄介なのだろうが。
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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お手数をおかけしました (ホウネンエビ)
2008-09-25 08:50:51
コメントの移動、ありがとうございました。お手数をおけかしました。
人類の食糧危機を救うのは虫食だという説が、ほぼ確定しつつありますので、今度バスターズが来たら、試しに食べてみてください。
「(スズメ)蜂の子」は、こちらで探してみます。
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お送りすればよかったですね。 (wine)
2008-09-24 19:45:19
なるほど、ハチもそうなんですね。
以前、アブの研究学生に「吸血昆虫は黒を好む」と聞きましたので、蚊やアブの多い家の周辺を歩くときは、「最も安全な白か黄」を着るようにしています。ハチもそうだとなると、人に近づく昆虫一般が黒を好む傾向があるということでしょうか。
このスズメバチの幼虫は、大きすぎて本当に不気味でしたが、好む人もやはりいるのですねえ。事前に知っていれば、バスターズから譲り受けてお送りできましたね。次回、チャンスがあれば・・・。

※投稿場所を変更してしまいましたが、よろしかったでしょうか。変更・削除できますので、お知らせください。
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お気をつけください (ホウネンエビ)
2008-09-24 19:28:16
ご存知かもしれませんが、ハチは黒い色に反応しますので、やむを得ず巣の近くに行く時は、髪の毛を隠すために白っぽい帽子をかぶるとよいです。
人的被害のうち死亡事故の件数は、クマよりもハチの方が多いそうです(驚かしてすいません)。しかし、巣のすぐ近くまで寄ったり(写真を撮るために巣に近づいてスズメバチに追いかけられたことがあります)、スズメバチにいたずらしたりしなければ、安全に共存できますので、ご安心ください。
(ついでながら)虫食いが大好きな神戸に住んでいる知人に、信州特産の蜂の子、ザザムシをお土産に年2回程持っていきます。今ではアシナガバチでは物足りないので、スズメバチの「蜂の子」が欲しいと言っています。市内のお土産屋さん、スーパー等々を探したのですが、「(スズメ)蜂の子」は見つからりませんでした。そのため、虫食品がちょっとした産業となっている地域へ行って探そうかと思っています。
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