見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

発想がユニークな音声ガイド『this, is, lisbon』

2007-11-27 08:15:54 | ポルトガル
リスボンで面白いガイドツアーを試してみた。

訪れる街の概要や歴史を、限られた時間の中で知るのは至難だ。
土地の空気を肌で感じ、現地の人と語り合うことで満たされるものはあるが、ふと目の前に現れた壮大な建造物が何ものなのか、大通りに立ち尽くす銅像の人物の功績は何か、とふつふつと沸き起こる好奇心は抑え難い。



滞在日数が3日と限られたローマで、2階建オープン観光バスに乗ってみたことがある。観光ポイントでの乗り降り自由、イヤホンから流れるガイドを聞きながらオープンエアの2階から市内を展望する周遊観光バスである。(欧州各地で、各国語ガイドアナウンス付きのオープンツアーバスを見たが、日本にもあるのだろうか)
しかし、一度バスを降りると、ゆっくり歩きたい場所ばかり。15ヶ所あるバス乗り場のうち、乗降したのはわずか5ヵ所だけだった。加えて、日本語ガイドのアナウンスは、バスルートの名所に限られ、バスの走行速度に合わせるために要点説明で終わってしまう。



観光都市には、行政外郭組織や民間が主催する様々な市内ツアーがある。スタッフに付いて歩くウォーキングツアー、市内バス周遊ツアー、業者の企画する本格ツアーなどなど。しかし、価格、内容、言語の全てに満足できるツアーにはなかなか出会えない。
もちろん、地図だけを頼りに自分の足で歩くのは快適だが、歴史知識に乏しい者にとっては、建築スタイルやモニュメントの意味に疑問が生じると、解決する術がない。時々、「これは、歴史的意義あるものに違いない」と一目で思わせる遺産の傍らに現地語の説明ボードが立っていたりすると、渇きは一層高まる。

リスボンのスペイン広場にあるツーリストインフォで、その案内ちらしを見つけた時は嬉しかった。
名付けて「this.is.lisbon」。日本語対応のセルフ操作アナウンスガイドである。1GBメモリのMP3システムにリスボン市内の要所の説明が録音されており、附属の地図を片手に、いくつかのコースを自分で歩いて、各観光場所にたどり着いたら、その場所の説明を聞く。
人のガイドのように質問には答えてくれない。が、何度も繰り返し聞くことができ、100ヵ所の要所の歩き方も自由自在。しかも、一日市内バス周遊ツアーよりずっと安い価格で5日間使うことができる(二股イヤフォンアダプターを使用すればカップルでの共有も可)。ガイド項目は何と127項目。冒頭第1項目のリスボン市の概要説明だけでも15分近く流れていて、大学の講義並のボリュームだ。



以前、アムステルダムのゴッホ美術館で日本語音声ガイドの感動的な充実感を味わったので、期待できるかもしれない。
心地よいスペインギター曲(アルハンブラとかアランフェスとか)をBGMに、落ち着いた女性の解説が始まり、リスポンがまだスペインと同じ国だった時代からの説明や、ブルジョアジーのために作った高級住宅街や、市民の反対運動で残された自然公園などの解説を各要所で聞くことができる。

ただ、惜しいのは、多大な解説の多くが、歴史の教科書にあるような表面的な説明に終始していたこと。その時代の市民の声や登場人物の人となり、裏話などを織り交ぜてあるともっとリスボンが楽しめるのにと残念だった。
それを考えると、ゴッホの心情を伝えるナレーションや裏話を織り交ぜたあのゴッホ美術館のガイドは秀作だったと改めて思う。

日本の観光都市にもにも、こうしたオーディオガイドがあると楽しめるかもしれない。


↑市内高台に建つサン・ジョルジェ城は攻撃を受けなかったために、当時の築城全貌をそのまま残しているという。


↑夜、市内の展望塔からみえる夜間照明で浮き上がる城。


↑バスコ・ダ・ガマを始めとするポルトガルの要人が眠るジェロニモス修道院。


↑ジェロニモス修道院の建築には、その後に登場するスペイン建築家ガウディに影響を与えていると思わせるような自然観が見られる。


↑高級ショッピング街のイルミネーション


↑サンタさんが望みをきいてくれる?

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 嬉しいスープの国 | トップ | 三度、スペインへ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ポルトガル」カテゴリの最新記事