見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

コウノトリ

2007-11-17 20:32:37 | ポルトガル
ラゴスの町を歩いていて、画家の絵や絵葉書に「コウノトリ」が多いことに気付いた。民家の煙突の上に大きな巣をつくっているコウノトリの絵だ。
ラゴスの名物なのだろうか。見てみたい。煙突の上に巣をつくる大きなトリ。いや、トリより「巣」に興味がある。

「珍しくないわよ。ちょっと郊外に出れば、たくさんあるわ」と、レジデンス(アパート)のミニショップとレジデンスの管理を兼職しているソフィアが言った。
9歳の子どもがいるという彼女は朝9時半から夕方6時半までの勤務。とても気さくに、ポルトガルやラゴスの疑問に答えてくれる。
「昔は、巣が完成する前に住民が取り払ったりしたから、それほどなかったけれど、最近は、保護するようになって、増えたのよ。そう、旧市街の外に出て古い煙突を探せば見れるわよ」



夕暮れ、彼女に促されて、旧市街を横切り、新興住宅が立ち並ぶ再開発地区へ入ったところで、古い工場の跡地にぽつんと立つ煉瓦の煙突、そして、その上に大きな巣を見た。
煙突の先にバランスよく乗った大きな巣。トリの気配はなく、代わりに付近を飛び回っているカモメがときどき巣に降りて何か探ってはまた舞い上がったりしている。コウノトリは渡り鳥だっただろうか。もうその巣は使われていないのかもしれない。
広い荒地にぽつんと立つ大きな煙突と、頂上に作られた大きな巣。不思議なその風景をしばらくぼっと見ていたが、コウノトリが戻ってくる気配はない。秋になるのでどこかの国に渡ったか、どこかで夕食が食べているのか・・・。朝なら、もしかしたら巣にいるかもしれない。

翌朝、朝食を済ませてすぐに、昨日覚えた場所に向かって歩いた。
「いた!」煙突の立つ工場跡地の手前のビルの屋上に、舞い降りる大きな2羽のトリが目に入った。コンクリートの煙突の上にも大きな巣がある。





不思議なトリだ。最も目立つ位置に巣を作る。敵はいないのだろうか。つがいのコウノトリが、ひときわ高く、周囲から一望できる場所に大きな巣をつくるとは。
周辺を歩くと、古い煙突、高木の合計5つの巣が見えた。煙突だけが残されて工事が進行している工場跡地を見ると、コウノトリの巣を意識して煙突を残しているようだった。

そういえば、日本でもコウノトリが話題になったことがあった。皇室の何か関係だっただろうか。
日本の日常では気に留めなかったことが、海外に出て新鮮な発見になってしまうのはなぜだろう。


↑小学校の校庭にある高木の頂上にも。


↑周囲をフェンスで囲った工場跡地の開発現場に残る煙突。


↑手前と奥の2本の煙突の上に巣とトリが。


↑ラゴスの町で売っていた絵葉書の見事な写真。


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2 コメント

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非繁殖期のシュバシコウ (pechka)
2007-12-04 14:13:31
 いつも楽しく見させてもらっています。初コメントが半月遅れですみません。
 ラゴスでコウノトリ(ヨーロッパのは嘴の色からシュバシコウと呼ばれる)が繁殖しているのですね。シュバシコウはドイツ周辺が主な繁殖地で、冬はアフリカに渡ります。なので今は非繁殖期。巣の上にいるのは、遠くドイツ方面からたどり着いた鳥か、はたまた、渡りをさぼっている鳥か。。興味深い写真ですね。
 日本のコウノトリは1971年に絶滅しましたが、今、復活作戦をしています。2005年には秋篠宮夫妻を招いて放鳥式が行われています。
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サボりの可能性 (ワイン)
2007-12-07 12:04:14
pechkaさん、ありがとうございます。最初に夕方に行った時は、どの巣もカラだったので、渡り中かなと思いました。翌日、もしやと思って午前中に行くと、5つの巣のうち、3つに姿を確認したので、近くの人に聞いたら「一年中見るけどね」と言うのです。渡らない鳥だと思ったのですが、やはり、渡り鳥の一種なのですね。とすれば、さぼっているのかも。ラゴスはこの時期もタンクトップが可能なほど暖かいので、そのせいでしょうか。
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