「魂の踊り‐命‐」
札幌「YOSAKOIソーラン」が昨日(6月5日)から始まりました。
昨夜は、ネット中継(niconico動画生中継)で地元北海道の有力ビッグチームのオープニングステージを見ていました。ファイナル候補と言われている有力チームは、みな100人を超える踊り子がカラフルな衣装と小道具で見事な踊りを披露していました。100人を超える踊り子が寸分たがわずシンクロする集団演舞はすごい迫力ですし、これでどうだと言わんばかりのカラフルな衣装は見事としか言いようがありません。
でも、有力といわれる10チームほどを見ましたが、頭の中には「きれい」、「上手」といった感想しか残りませんでした。また、おどりのパターンがほとんど一緒なんで、途中から………です。「マスゲームか!」とのコメントも流れていました。
最後に踊った「北海道大学‐縁‐」のおなじみの赤ふんどしが、ものすごーーーく新鮮に感じられました。まぁ、ネットの小さな画面と現場での生の踊りとでは伝わり方が全然違うと思いますが、現時点では残念ながら私には「感動」も「ドラマ」も伝わって来ませんでした。
でもあと4日間ありますので、「常陸国YOSAKOI祭り」に出場したチームを応援しながら見て行きたいと思っています。
さて、いつまでも終わらない「常陸国YOSAKOI祭り」レポートですが、今回の「常陸国よさこい伝説1」でひと区切りとします。
(2日間のYOSAKOI祭りの話を目いっぱい膨らまして、17回もシリーズにしてしまいました。こんなに書くつもりはなかったんですが、読んで頂いた方は本当にありがとうございました。)
「常陸國大子連」1
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今回の「第10回常陸国YOSKOI祭り」コンテストファイナルは客席から全チームの踊りを見させて貰いました。
(関係ない話ですが、私はステージに向かって右端の席で見ていたんですが、私の横の地べたには「銀輪舞台」などファイナルに残れなかったチームの踊り子がたくさん座り込んで、熱心に舞台を見つめ拍手を送っていました。普通、遠くからのチームは自分たちの出番がなくなると早々に帰ってしまうことが多いのですごく印象に残りました。)
ファイナルの結果は、郷人の「八重の桜」が舞神楽の「証誠寺のたぬき」に競り勝ち見事「大賞」を射止めました。そして、第3位には地元「常陸國大子連」が入りました。この結果について私は何の異論もありませんし、むしろ大方の人が思っている通り順当な評価だと思っています。
さて、今回久しぶりに2日間通して「常陸国YOSKOI祭り」を見ることが出来ました。全部のチーム、全部の会場を見られた訳ではありませんが、たくさんのチームの踊りを見ることが出来ました。
そんな中で、私が選んだ「第10回常陸国YOSKOI祭り」の「グランプリ」は、ファイナルコンテスト第3位の「常陸國大子連」です。(何の賞品もありませんが。)
その理由は、2日間で、もっともインパクトと感動を与えてくれたチームだからです。
「常陸國大子連」2
この大会初めて「常陸國大子連」の踊りを見たのは、初日18日の快晴の袋田会場です。過去何度も「常陸國大子連」は見ていますので一目見れば大子連の踊りは判りますが、今回は「えっ、このチームどこのチーム!」と思わずつぶやいたほど以前とは変わっていました。衣装も小道具も洗練されていて、人数も決して多くないのにそれを感じさせないキレのある大きな演舞をしていました。
「常陸國大子連」3
そして何よりも変わっていたのは「目」でした。踊り子達の目線の先には、私には見えませんでしたが何かが見えているような感じでした。
「常陸國大子連」4
そして、2度目に「大子連」を見たのは、2日目19日の午後の「駅前流し踊り第2会場」です。午後はメインステージを撮影したかったのですが、たくさんの人でなかなか良い撮影ポイント見つかりませんでしたので、場所を移動して泉町の流し踊り第2会場で有力チームの踊りを撮影していました。
「常陸國大子連」5
そして、「常陸國大子連」の流し踊りが始まりました。手を伸ばせば踊り子に届く位の大子町の狭い駅前通りで、まぢかで見る「常陸國大子連」の流し踊りは見応えがありました。こちら側に何か迫ってくるものを感じましたが、その時のその感覚は他の有力チームでも十分に感じられるレベルでした。
「常陸國大子連」6
そしてそれは唐突にやって来ました。
踊りが始まって、1分20秒ぐらい過ぎた時だったと記憶しています。突然、音源が落ちました。見ている方は当然踊りもストップするだろうと思いましたが、踊り子たちの誰一人として踊りがとまりません。踊り子たちはまるでそこで音が止まるのがあらかじめ分かっていたかのようでした。MCも速やかに「アカペラ」でリズムを取りだし、そして歌い始めました。踊り子たちも踊りを続けながら、全員で口ずさみ始めました。
「常陸國大子連」7
自分たちで音を作って、踊り続けました。
見ている観客に何の違和感を与えることなく、すごく自然にスムースに、それはまるで一瞬「演出?」と思わせる「演舞」でした。
「常陸國大子連」8
「なんじゃ、こりゃ!!!」
思わず、背筋がゾクゾクッとしました。
久しぶりに味わいました。この感覚。
「常陸國大子連」9
そして、「何じゃこいつら、相当踊り込んでるな!」
「どのくらい練習積んで来たんだ!」との思いが思わず脳裏を走りました。
「常陸國大子連」10
残りの2分40秒、一糸乱れず、アカペラで踊り切りました。
すごかったです。
すごい踊りでした。
たぶんもう2度と出来ないじゃないかと思うくらいでした。
私の頭の中には、「常陸国YOSAKOI祭り」の伝説の踊りがいくつかあります。
例えば舞神楽雨中の大賞演舞「白狐の舞」(私が勝手につけているだけですが。)など。
そしてここに、新たな伝説の踊りの誕生の瞬間に立ち会うことが出来ました。
「常陸國大子連」流し踊りアカペラ演舞「魂の踊り‐命‐」とでも名付けましょうか。
「常陸國大子連」11
踊りが終わると同時に、嵐のような(少し大げさかな)拍手がありました。正確に言うならば、大子町のシャイで無愛想でぶっきらぼうな観客の心からの大きな拍手がありました。外人さんでもいたのか、「ブラボー!」「エクセレント!」と言う興奮した声が何度も聞こえました。
そして、スタッフから「機材の故障により、大変申し訳ありませんでした。」との謝罪のアナウンスがありました。
「そうだよ、演出じゃなかったんだよ。」と思わずつぶやきました。
「常陸國大子連」12
そして「大子連」がすごかったのはこの後でした。
たくさんの拍手と賛辞の中を少し興奮気味ではありましたが、奢り高ぶることなくいつものとおりの速足で、次のチームのために場所を空けていきました。そのわずかな瞬間にさわやかな一陣の風を感じたのは私だけだったのでしょうか。
「今村組」
次の演舞の招待チーム「関西京都今村組」の今村先生も「まいったな!」といった表情を浮かべていました。息つくまもなく通りでは、衣装を変えた「今村組」の強烈な踊りが始まりましたが、私の脳裏では、「大子連」がずーっと踊り続けていました。
美しい踊り、上手な踊りはたくさん見てきました。
でも、これほどの感動を受けた踊りにはめったに出会えませんでした。私は写真も文章もうまい訳ではありませんので、この4分間の「ドラマ」を正確に伝えられたかどうかは判りません。
たまたまネットでこの4分間の踊りのVTRを見つけましたので、リンクしておきます。
(クリックすると見られます。)
常陸國大子連「魂の踊り‐命‐」
チームの思いが一つになっていたから、誰ひとりとして踊りをやめなかったんじゃないでしょうか。ひょっとしたら勝手に体が動き続けてしまったのかも知れませんが。
ある意味、チームがチームになった瞬間だったように思います。踊りを通して思いを伝えたいという一点でチームが一つになり、それがアクシデントをものともしない大きな力となり、何の計算もせず無意識のうちにこうした表現に繋がっていったのかなと推測します。
それはある意味、上手に踊ってやろうとか、何としても勝ってやろうとかの次元を、「大子連」が超えちゃった瞬間だったのかもしれません。
そしてそれが出来たのは、常陸国YOSAKOI祭りが第10回の記念の大会を迎えるに当たり、地元ホストチームのひとつとして責任を果たすべく、練習に練習に練習を積み重ねた下地があったからこそ出来たのかなと勝手に推測しました。(もちろん、大子連以外の地元チームも頑張っていました。)
そして結果、その思いは観客に伝わりました。
そして、「伝説」が誕生しました。そしてこの時、ファイナル進出は「大子連」かもとの思いが大きく膨らみました。そしてファイナル進出、みごと3位に輝きました。
これから「大子連」大変だと思います。
みんな見ちゃいましたので。
「常陸國大子連」12
伝説の踊り アカペラ演舞「魂の踊り‐命‐」
これを超えないと、次の感動はありません。
まぁ、それはそれとして、ありがとう「大子連」!!!そして、ありがとう、音源を落としてくれたスタッフ君(ナイス、ミス)!!!
あなたがいなければ、「伝説」は誕生しませんでした。
踊っていた大子連の皆さんは、こんなに「重ーーーく」はたぶん考えていないのかもしれません。
見ていた私が勝手に膨らましただけなのかもしれません。
でも、この「アカペラの踊りと歌」、偶然の産物とはいえ「大子連」の宝物になるような気がします。(まぁ、何年か後に自分たちが振り返った時に、………ですね。)
すごい迫力でしたよ。
使いようによってはステージでも使えるかも。来年が楽しみでーす。
(最後に、私は「大子連」の知り合いでもありませんし、ファンでもありません。これからファンになるかもしれませんが。念のため。また、文中はすべて私の推測、憶測でーす。)
次回に、つづく。
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