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信頼のK&S行政書士受験教室

相続財産からのお別れ…祭祀財産

2006-10-31 04:42:51 | Weblog



 28日・29日の両日。身内に不幸があって、とるものもとりあえずお通夜・告別式に。

 故人の冥福を祈りながらも、系譜(系図)、祭具(位牌・仏壇など)、墳墓(墓石・墓地)というような「祭祀財産」って誰が承継するのかなあと俗っぽいことを考えてしまうのでした。

 家督相続は祭祀相続も含まれていたので、「家督相続の特権に属」する財産として、必ず家督相続人の所有になっていたようです(旧987条)。

 戦後、家督相続は廃止され、昭和22年改正法は相続を財産承継の側面からだけ捉えていて、相続人の平等を原則とした結果、祭祀承継者に特別の相続分を与えることを認めなかったわけです。ということは、祭祀財産を承継した相続人は、その分だけ自分の相続分が減ることになってしまいます。さりとて、祭祀財産の承継者がいなくなることも困るわけです。

 その結果、改正法は、祭祀財産を相続財産から別除し、これを相続からはずし、承継者を別に定めることにしたわけです。「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者」を祭祀財産の承継者と定めています(897条1項)。
 慣習が明らかでないときには、家庭裁判所が決めることになっていますが(同条2項)、被相続人に対して最も深い愛情を持つ人を選ぶべきでしょうね。生活感情の濃淡を重視すべきであるというわけです。

 そして「香典」は。などと不謹慎にもその行方が気になってしまうわけです。香典は、その性質上死者に対する贈与ではないと解されているので、相続財産とはならないわけです。慣習上、喪主あるいは遺族への贈与といわれています。じゃあ、何に使ってもいいかというと、まず、葬儀費用に充当し、次いで祭祀の費用に充てられるべきでしょうね。

 もっとも、喪主といってもまったく形式だけの場合もありますから、実際に葬儀を取り仕切った実質的な主宰者と考える必要がある場合もあるでしょう。意外にこの種の問題はこじれやすいのかも知れません。

 ついでにいうと、「遺骨」については「死者の祭祀供養をつかさどる者に帰属すると解すべきである。」とする判例があるようです(最判平元.7.18)。

     ♪積もり重ねた不孝の数を なんと詫びようか…♪  合掌