「ゲド戦記」。観に行きましたよ。朝8時50分からの。「世界の均衡が崩れつつある。」時代の話。
観にいきましたゲド…。よくわからなかったですね。ハイタカ(ゲド)が主人公であるはずが、アレンという若者が主人公。まるで「アレン戦記」でしたね。
原作は、全6巻(岩波書店)なんですが、そのうちの3巻だけをとりあげて映画化したわけですから、原作を読んでいない人にはわからないのもムリからんことですな。
記述式の世界もバランスが崩れはじめているのでしょうか。あちこちからいろいろなウワサが飛んできますから。無責任なウワサはほっといてやることをやっておけば、こわいものはないでしょう。
昨日は、形式面での注意点を紹介しましたので、今回は内容面に迫ろうと思います。もっとも、土曜日に実施した演習の話なんですが、できるだけ一般化してお話しますので、「演習など受けていないや」という方にもいくらか参考になるかと思います。
1 事実認定をしっかりやる。要するに、事案の分析です。ここを間違えると答えはあらぬ方向に転がってしまいます。この事実認定については、基礎法学の講義でもお話したのですが、すべての事実を問題にする必要などなく、法的に意味のある事実を認定するのでしたね。
たとえば、「詐欺による取消」の問題。第三者がいつ登場するのかで結論が違うのでしたね。取消前の登場なら96条3項の問題。取消後の登場なら177条の登記の有無で決するのが判例でした。問題文のなかに、「第三者の悪意」、「第三者が登記を経由」などと書かれていたら、取消後の第三者の問題だと見当がつけられますね。しかも、問題文に「Aは…契約を取り消した。ところが、Bはその土地を…転売し…」と書いてあるんだから。「取り消す前に」とか「取り消した後に」などと親切(?)に書かれていない場合には、時系列にしたがって問題文を読んでいくべきです。
2 制度の定義・要件は正確におさえる。法律用語には、類似の制度とか要件などけっこうありますから、それらの違いはしっかりおさえるべきです。
たとえば、Aを騙して土地を手に入れたB。そのBから悪意で土地を取得した(単にBがAを騙したという事情を知っているにすぎない)Cが登場すると、Cを「とんでもないヤツだ」と思うのでしょうか。背信的悪意者などという人がいるわけです。
「背信的悪意者=悪意+信義則違反」です。まさにこの判断は事実認定の問題です。信義則という言葉自体が曖昧だから、ケース・バイ・ケースの判断が要求されるのですが。典型的な例として、紹介されるのが不動産登記法4条、5条のケースですね。これはみなさんが条文でどういう場合なのかを確認しておいてください。
その他、①先行者に登記がないのを奇貨として、②先行者に登記がないのに乗じて、③高く売りつけ、不当に利益を得る目的で、などというのが判例で出てきたキーワードです。こういうフレーズがあったら、背信的悪意者と認定してもいいですね。
以上の場合以外に、「背信的悪意者」かどうかを一般的・抽象的に述べることは極めて困難なんです。ケース・バイ・ケースですから。だとすると、行政書士試験で受験生のみなさんに設例の中で背信性があるかどうかを認定させる問題はまず出題されないと考えていいです。
そういうわけで、今まで法令科目の講義の際、「復習問題」を5問配布してきましたが、これから本試験直前まで「K&S記述式ドリル」(仮称)を配布します。毎回、記述式問題を1問ないし2問出題します。提出された方には添削して返却します。通信の方などには、メールでお応えしようと思います。Sクラスはわかりませんが、Kクラスは提出は任意とします。
なぜ提出は任意か。「求められればアドバイスする。しかし、干渉はしない。」という私の研究生時代からの伝統の学風によるものです。これが染み付いちゃってますから。それに、パターナリズムなんて嫌いだし…。