お山のあしあと

子連れの山登り応援しま~す。
我が家のお山遊びがお役に立てれば嬉しいなぁ。
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雨乞岳 07/12/9 (後半)

2007年12月12日 | 南アルプス周辺

前半はコチラ

 

「ぱぱぁ~」 風に乗って小春の声が届きました。

えっ、頑張って近くまで来てたのね。

 ザザザザザ、おっととと! 違うな、この道。

周りを見て、え~っと、あそこに目印があるけど 

この先はない。 景色も違うような・・・登り返そう!

  10mぐらい登り返して、見~っけ。

右だったのね。 危ねぇ危ねぇ。

 

私、「小春~」??? あれれ

風で流されるのかな。返事がない。

デポしたザックの所に戻っても・・・いない。

ココまで来なかったのに声が聞こえた???

私、「小春ー!!」

 

「ぱぱぁ~、降りるよ~」って先に降りたのかな。

しょうがないね。この登りと雪と、この登山道じゃ。

 

 ササササ~、ガンガン下ります。??? いません。

私、「小春ー!!」

そんなに早いか?  ババちゃんと一緒で? 

それに声も聞こえたのに。

 

風に乗ったとしても、かなり下りました。

私、「小春ー!!」

 反対側から叫んだのが風に乗って聞こえたの?

山頂が見えた場所にはいるでしょう。

・・・風の通り道で寒いのか? いません。

 

私、「小春ー!!」

 更に下って雪の残っているところを繁々と見ます。

登っている跡しかないような気が・・・80%

滑った跡があります。

 降りたような気が・・・20%

 

私、「小春ー!!」

 しばらく踏み固まった雪道がうっすら続きますから

注意して見ながら下ります。

やっぱり登っている跡しかないような気が・・・90%

 

私、「小春ー!!」 

 最後はこれでもか! ってぐらい走って下りました。

いない。・・・おかしい!!

チクショー! ここまで下って誰も登ってこないってことは

今日この山にいるのは、私ら3人ってことや!

 

グループ登山で、はぐれてしまい

片方は「降りたんじゃない?」と思って降りて

片方は「何かあったのでは?」と思って探し続けて

日没で降りれなくなった遭難騒ぎのニュースを思い起こします。

 

今日は ライトなし。 失敗や!

今は? 12時50分

私は走って2時間で降りれるだろう。

真っ暗の中 18時までに降りるとして リミット16時。

山頂まで登り返して探しまくろう。

絶対に見つけてやる!!!

 

 バナナ1本頬張って、救助用にお茶とおにぎり2個持って出発。

 

 腹、空かしているだろう。

寒いだろう。

不安だろう。

冷たいお茶より温かい水筒のほうが良かったかな。

 

私、「小春ー!!!」

 登り始めて、うっ、走るのはこんなに辛いのか。

こんなペースで登っていくと

手持ちのお茶は私が消費してしまいそう。

 

警察、地元の皆さん。

「あなたは人間失格だ!」と記者会見で攻撃され

うな垂れる自分の姿。

助かったとしても、この時期は凍傷も。 ひどいと切断。

最悪、冷たい二人の対面。

親族、知人からの非難。

走りながら頭の中をよからぬ考えがグルングルン回ります。

 

 急な登りは息を整えながら

行けるところはガンガン走り登りました。

開けた山頂が見える場所に来て目を凝らすも

期待する動くものは無し。

風が運んでくれるかと願った私の問いかけにも

風が強くて返事がありません。

こんなに叫んだのはいつ以来だろう、声がかれそう。

 

 かなり登ってきました。

直登りの地点まで来ても会えません。

これじゃ頂上で待ってるな。

もう一度あの峰を登らなくては。

 

でも、私は登山道を一度外しましたけど

戻りましたから間違ってません。

てことは、ババちゃんが間違ったのか?

 ドコで? 一ヶ所気になるところがあります。 あそこか?

 

 何回目でしょうか?

私、「小春ー!!!」

ババちゃん、「ドコー?」

私、「下ー!!! 下ー!!!」

声が届きました!

 

へなへなへな~  安堵で腰から砕けて

その場にへたり込むとはこのことでしょうか。

小春の顔。遅れてババちゃんの顔。無事で何より。

ババちゃん、「アンタ、なに座ってんの!」

ナンとでも言ってください。

ゴメンナ。 会えてよかった。

 山頂から50分下って、全力で登り返し35分。

 

小春、「ぱぱぁ、ザックは?」

 ババちゃんが間違って反対側に迷い込んだときに

私が通過したようです。

登ったり、下ったり、間違えに気付いて戻ったり、待ったりと

ババちゃん達も不安で大変だったよう。

 

ババちゃん、「小春、パパは絶対戻ってきてくれる!」

と言い聞かせてくれたのは嬉しかったですね。

 聞くところによると、私の声が聞こえたら

小春、「パパのところに行く!」と

励ましてくれたババちゃんを押しのけて降りて行ったそうで

ババちゃん、「小春のことが、よ~く分かったわ!」(笑)

 

 ザックの所まで戻って

ババちゃん、「こんな所までから戻ってくれたの、ありがとうね。」

二人がパンや温かいお茶をむさぼり食べるのを見て

ほんと無事でありがとう。

 

ザックに残っていたオニギリ

山の寒さで凍り始めていたのでしょうか、不味い。

 二度と味わいたくない苦い味がしました。

 ババちゃん、「生還した二人を撮って。」

いつものように明るい我が家に戻ります。

さぁ、降りようか。

 

 暗くなり始めたかな? 時計を見ると、エー! まだ3時前ですよ。

山は日が傾くと予想以上です。

リミット16時ですと ぞぉ~ 私も二重に遭難してましたか。

 

小春は、登りは遅いババちゃんに

下りは早い私に付きますから

ババちゃん、「待ってよぉ~ 置いていかないで~」

舌も乾かぬ とはこのことですね。

 

 落ち葉のラッセルを繰り返すころにババちゃんが

それからしばらくして、私も疲れからか左ヒザ痛再発。

ザックを置いたところから 

仕舞いには ヨタヨタと3時間近くかかり

登山口に着いたのは、暗闇一歩手前の16時41分。

本当にごめんなさい。

 

カシミールで見ると、登山口の数値を標高差と

間違って見ていたようで

 

標高差・・・1238mぐらい

登り・・・5時間

トイレ、水・・・サントリー白州工場の駐車場か

国道のコンビニ

 駐車場・・・登山口に3~5台 無料

 携帯・・・ドコモFOMA 圏外もありますが 

 

 

 何でも たわいのない 些細なきっかけや、慣れ、だろう、はず

から遭難や事故の落とし穴は潜んでいます。

私も山を始めて3年 

オゴリ、慣れ、他人事と、非常に軽率で

安易な行動を取ってしまいました。

 

 私は眺望派で、ピークハンターや

百名山ハンターじゃないと思ってましたけど

欲張りな性格と、ココまで来たら勿体無いの性分で

知らず知らずに実力を無視して、私生活で口にする

止めないこと。 

諦めないこと。 

最後までやること。

段々とピークハンターを強要してきた気がします。

 

 悪天候は引き返しても自分に「また来れば良いや」と

言い訳が出来ますが、それでもなんとも言えない気分になります。

好天、さらにピークが目の前で手が届く時に

「私だけでも」とグループを離れて行動をしたい気持ちは

心の中に隠れていると思います。

 

 どなたかのHPで目にした 

南アで有名な山小屋のご主人の生前の教えが

「行けるトコまで行くんじゃないよ。 帰れるトコまで行くんだよ。」

 帰れなかった人を何人も見てきた 非常に濃い教えです。

 

 皆さんのお考えや体験に少しでもお役に立てばと思いまして

今回の身に詰まる恥ずかしいレポを

自分への戒めと 今年最後のレポに残しました。

 

 

 私のブログを見に来てくださった皆様へ

早いですけど 

良いお年を。

 

小春号


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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お疲れ様でした (ゆうとまま)
2007-12-12 18:52:15
無事生還よかったですね
ライトとチェルト・非常食は、家族連れなら尚更、重荷覚悟で背負わないといけませんよね
非常用の細引き、それに時間は、最低1.5倍見て、なによりも「楽しく安全に」を目指しています。
でも、ありがちな内容ですよね
目印のテープももつと良いかもしれませんね
早速考えます。
小春号さんファミリーにも良い年が訪れますように♪
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Unknown (みっちゃん)
2007-12-12 21:39:39
50分下って30分登る・・長い時間だったことでしょう。
私も以前、残雪の焼岳にて道迷いの経験があるのですが、
それはたかだか10分間ほどのコトだったにもかかわらず、
パニくって精神的に参ってしまった記憶があります。
道迷いは本当に怖いです。
ご無事で戻られて良かったですよ。
小春号さんがテレビでうな垂れてるトコなんか見たくないですものね。
私も自分への戒めとして読ませていただきました。


最近とても忙しくて全く行けてないんです。
今年中に行きたい山があるんですけど・・
行けるかなぁ。


今年一年、どうもありがとうございました。
来年も楽しいお話聞かせてくださいね。

塩見岳も・・がんばれ~! 
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ゆうとままさんへ (小春号)
2007-12-13 17:46:13
慣れで使わないものは持って行かなくなりましたね。・・・反省。
食料系と水は多めに持ってますけど、ツエルト持参ですか。頭が下がります。

手ぶらでCTを歩けるようになりましたけど、手ぶらの怖さをほんと自覚しました。
離れちゃいけないですね。

目印テープなんて付いている物と思ってましたから持参なんて考えも付きませんでした。
ありがとうございます。

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みっちゃんさんへ (小春号)
2007-12-13 18:05:10
パニクりは?・・・してたのかなぁ。
「絶対に探してやる!」と信念を持ったのが、お山の神様に通じたのでしょうね。

道迷い、あんなに簡単になるとは。
誰かに付いて行くだけの人は五感が鈍るのでしょうか? グループ登山の落とし穴かもしれませんね。

20000アクセスおめでとうございます。
師走ですから、みっちゃんさんも走り回っているのですね(笑)

本当に迷惑は掛けられませんね。
塩見も肝に命じて行って来ますよ。
お楽しみに。
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いえいえ~ (ゆうとまま)
2007-12-14 05:54:29
ツエルトは、もってないですよ~^^;
欲しいなぁ~程度です。
これからの季節は、あると休憩などの時に風を避けて昼ご飯で身体を温められますしね
そうやって、雪原を楽しんでる方を見ると羨ましいです。
ビニールテープくらいなら、買えるし持てますよね(爆)
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ゆうとままさんへ (小春号)
2007-12-14 17:39:32
チェルトってツエルトと違うのかな?

面倒臭がりの私だと寒くて広げて休憩するより降りちゃいますね。
寒かったらサランラップでも巻きますか?買えますね。(爆)
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ほんと、よかったですね (ゆーすけ)
2007-12-14 22:08:58
弘法も筆の誤り、はたまた猿も木から落ちるではないですが、小春号さんともあろう方がこういうことになろうとは想像もできませんでした。
ご無事だったからよかったですが、あまり茶化してはいけませんね。すみません。

私も6月に武奈ヶ岳に登った時、下りで迷いかけたことを思い出します。
小春号さんのこの出来事を他山の石として遭難、事故を起こさないよう注意したいと思います。
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ゆーすけさんへ (小春号)
2007-12-15 08:52:30
無事に降りたから家で笑い話にしますけど、それでも何かしっくり来ない今の気分です。

お山の神様がくれた薬が「調子にのるな!」と効いているようですね。

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良いお年を! (ヒイママ)
2007-12-30 15:50:46
小春号さん、ご無沙汰です。
いよいよ今年も終わりですね~

子連れ歩きのエキスパートサイトとして
今年もこちらのサイトで笑いをたくあんもらいましたよ。
あれ?とっても失礼なこと言ってる?(^_^;)

雨乞岳も読ませてもらいました。
白州なんですね。いいな~
山梨LOVEの私にはうらやましい限りです。

でも、2000メートル強の良い山だと知ることができました。春休み、行けないかな?なんて。


それでは登場3人衆のボケと突っ込み(またまた失礼!ごめんなさい)を来年も楽しみにしています。

小春号さん、良いお年を!
返信する
ヒイママさmmへ (小春号)
2008-01-03 15:14:10
明けましておめでとうございます。
今、戻ってきましたよ~

ヒイママさんの期待に沿える 雪山! になったかどうだか?
槍ヶ岳の件でまた遠くなったのかなぁ~

今年もよろしくね。
少々、レポお待ち下さい。
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