日田亀山亭泊の思い出

お客様より嬉しい写真入りのお便りそして、旅で撮された
CDまでお送り頂きました。
そういえば、そうそう思い出しました。あの時の仲良しの
ハッピーなお２人あっ！この笑顔思い出しました。
いろいろと温かいお言葉を沢山頂きました。
そうお帰りの時に、日田のブラックに会いに来たと、
おっしゃっていたのでブラックのご紹介がございました。

23年9月21日
日田、亀山亭泊記

日田のブラック
本名　高倉　花（23年で10歳？）

近所に同じラブラの黒で、色そのままに「ブラック」がいた。
共稼ぎで子供は学校だから、暑い日中も水無で留守番をしている。
家庭茶園をしている傍に小屋があり、畑作業をするときは「おいブラック」と声を掛けていた。自分は餌、水など一切やらない主義。それでも構ってやるからだろう、威嚇するような吠え方が、甘えるような吠え方に変って行った。　あるとき飼い主と子供の4人がリードを外して家の前で遊んでいた。そこえ通りかかったところ、飼い主の制止も聞かずに飛びついてきた。　慌て驚いた飼い主は首輪と胴をつかんで、「コラッ」言いつつ持ち上げ道に叩きつけた。　

リードから外れた自由で自分と遊びたかったのだろうと思う。　可哀相であった。それからどのくらい経ったのか、姿を見ないから訊ねたところ急逝したとのこと。10歳くらいだった。

「ほらベロンだよ」
「ネ、ネッ遊んでよ～～」
「行かないでよ～～」
「じゃっなっ、また逢えるかも」「ウン」


沼津のブラック
本名　青木　ブラック

大きくて真っ黒な身体、ごつい顔で、しかも大きな声で吠えるものだから、
家の傍を通る人はとても怖がる。
お父さんは大型ダンプトラックを所有の個人経営で運送業をしていて、
毎朝4時ころには出かけ、夕方5時ころに帰ってくる。　　　
お母さんはパートに出かけ、子供たちは学校だから、これも夕方にしか帰ってこない。
だから、自分が留守を守る役割をしっかり果たさないといけないのだ。

僕が小さいころは、土井さんは知らない。
大人になったころから、屋敷隣接の低地の畑に、土井さんが家庭菜園を作りに来るようになった。
怪しいヤツだと、鎖を引きちぎらんばかりの勢いで吠えると、とても怖がる。

毎日、毎日菜園にやってくる。そのうちに土井さんは、
自分の吠え方の中に甘えを感じたらしく、お母さんから名前を教わり、
「ブラック煩いよ」と言って声を掛けてくれるようになってきた。

屋敷は畑から土留めで２米ほど高くなっている。
ある日、その土留めの下から土井さんが少し登ってきて、
ブラックと言いながら拳を差し出す。　最初は吠えていたが、
「よし良し吠えないの、よしよし」と言いながら差し出す、拳を舐めてみた。
　優しい感じの手であった。
それからはお父さんと仲良しになり、お手、お替りは勿論のこと、
テニスボールでキャッチボールをするなどの遊びをするようなった。
初めはキャッチし易いのを、口の真ん中に投げてくれる。
そのうちに10センチ、20センチ、50センチと段々難しいのを投げてくるようになる。
上手く受け止めると「上手、上手」「上手い、上手い」と、
とても褒めてくれるから一生懸命にキャッチするのだった。
受け止めボールを「頂戴」と言われると、土井さんが差し出した手に口渡しをする。
まだ遊びたいと思っているのに暫くしたら、畑仕事があるからねと、ほど程で遊びは終わる。
餌、水を貰えるかな～～と期待するのだが、土井さんは絶対に呉れなかった。

ある日、お父さん、お兄ちゃん、お姉さんと鎖を放してもらい遊んでいたら、
土井さんが通りかかった。
大好きな土井さんだから、「遊んでっ」と飛び付いて行った。
ところがお父さんは飛び掛って行ったものだと思ったらしく、
コラッと言いながら首輪と胴をもって持ち上げ道に叩きつけられた。
大好きな土井さんと鎖無しで遊べると、大喜びをして飛び付いて行ったのに・・・
お父さんは、土井さんと仲良しだと知らないものだから・・・・・
土井さんは「自分と遊びたかったんですよ」と言ってくれたのだが。

ある夏、九州の熊本にいる土井さんのお孫さんが遊びに来た。
孫が、畑作業をしている土井さんを見にきた。　
自分は知らない子供だから、例のごとく大きな声で吠えて脅かす。

土井さんが遠くから、「お～いブラック、土井さんちの子供だよ、
吠えるんではない」と言う。
自分は「あ～～土井さんちの子供だったのか、御免です」と尻尾を振って歓迎をしてあげた。
自分は土井さんの言葉が分かるんだ。

平成20年、11歳位のある日、体調が急に悪くなり、土井さんが知らないうちに、
別世界へと左様ならをしました。
もっともっと土井さんと遊びたかったのに、心残りです・・・・・