【注意】本記事はネタバレ要素が多分に含まれています
今回はTSUTAYAでDVDを借りて見た映画のレビューです。
韓国映画の「高速道路家族」です。
以前の「パラサイト・半地下の家族」以来の傑作ともいわれているそうで、「パラサイト」は映画館でみたことあるので、こちらも見てみることに。
高速道路のサービスエリアを根城に財布を無くしたと言いながら、利用客から２万ウォンの寸借詐欺を繰り返しホームレス生活する高速道路旦那のギウとその家族の計4人。そこに通りかかり子供が可哀そうさに7万ウォンを渡す中古家具店の女主人のヨンソン。
別のサービスエリアで一家とヨンソンが再び逢ってしまったことで詐欺が発覚して警察に通報されギウは拘留。一方で息子を行政側の過失の火災事故で亡くし、立ち直れていないという傷を抱えるヨンソンは、心の隙間を埋めるかの如く高速道路家族の子供たちと妻の3人を家具店に住まわせる。
3人はヨンソンの元でホームレス生活を脱して希望が見えたかに見えるも、取り残された夫は・・。というストーリー。
一見すると過去に話題になった日本映画の「万引き家族」のような、社会の狭間にはまり福祉から取り残された貧困家族の悲哀談・・と思いきや、ギウが警察に通報された拘留された辺りから、そういう話でもない展開に。
（この辺りからネタバレの核心に）
警察の取り調べを受ける過程以降で、実はギウは過去に再開発事業絡みの投資案件で横領と詐欺で被害者もいて指名手配中。(妻ジスクの談では「ギウも騙された」と言っているが・・)という、社会福祉以前に逃亡犯状態なら定住も職に就くことも出来ない状態でのホームレス生活で、ある意味で妻と子供はそれに付きあわされていたことが明らかになります。
また妻ジスクの談ではギウは大学も中退し長女ウニが生まれたことでのデキちゃった結婚状態だったことも語られています。
一方で妻ジスクは施設育ちで小・中学校の義務教育程度か受けておらず、映画上でも幼い雰囲気(最初母親ではなく姉かと思った)しかも3人目を妊娠中というある意味で夫との限界生活しか知らなかった状態。
そこに家具店の女主人のヨンソンのお陰で、病院にもかかれ家具店の手伝いという仕事を得て、既に小学校2年程度の年齢でも読み書きが全くできない子供(長女のウニ)を学校に通わせる目途も付くなど新生活を始め、夫との逃亡生活に戻る気もなく・・。
警察の留置場を脱走した夫は家族を奪われ狂乱状態となり妻子を取り返しに家具店に乗り込むというホラー展開に。
ラストの火災シーンの解釈は色々と別れるようですが、私としては「家具店の建物が新しくなっているようにみえる」ことから、ギウが妻をかばう形でギウは死亡しジスクは生還。家具店夫婦と妻のギスクと子供達で新生活も軌道に。と一応は光がある形を予想したいですね。
この話、一口に言ってしまえば、家族を巻き込んだ夫ギウの自業自得になってくるのですが、そもそも高速道路夫婦が投資詐欺に手を染めるまでの社会や福祉制度の狭間の問題もあり、せめて警察署から逃走出来ずに刑にふくせば、本当のハッピーエンドになったかもしれないと思うのは複雑なところです。
易々と脱走させてしまったのは田舎警察故か、実際通報を受けてやってきた刑事もどこかのんびりしている風か・・。
警察のシーン、他のドラマでも逮捕時にミランダ警告(アメリカドラマでよくある、「あなたには黙秘権が・・」から始まる定型文)をしたり、取り調べが取調室ではなくオフィスだったり、日本の刑事ドラマに較べて被疑者の人権が確保されているのが分かりますね。
少なくても裁判の判決が確定するまで犯罪者と決まったわけではありません。
別のサービスエリアを目指して廃線のトンネルを歩くところ。韓国にもこういうところあるんですね
機関車と短い客車の混合列車。現代韓国でこんな味がある列車、本当に走っているのでしょうかね？？
これを見る数日前に放送大学で入門韓国語の面接授業に行っていたので、授業でやったセリフ「여보세요 (ヨボセヨ～)」（「もしもし」「ねえちょっと」とか呼びかけの意）とか分かったのが新鮮でした。
ちなみに高速道路旦那のギウ役のチョン・イル、実はイケメン俳優として有名なようで・・。付録のインタビューや舞台挨拶を見ると確かに・・ですね。イケメンを感じさせない演技はなかなかなものです。子役の演技もうまかったですね。特に下の子は演技と思えない怪演ぶりでした。
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2024/5/22 15:58(JST)
