詩の散歩道


日々思うことや静かになれる詩、本を紹介していきます。

回想 -遠のく意識の中で

2007年12月02日 | 日々の詩


最近よく思い出すこと

目の前にはピアノ
部屋にずらりと並んだ作曲者の額縁の中の顔

音楽の教室

私はそこでよくある軽いめまいを起こしていた

そしてレム睡眠の時によく起こる、現実と夢の合間の
危うい意識の中をさ迷っていた

夜眠るときでも現実と夢が交錯し、
(レム睡眠中、その日に起こった情報の処理をしているそう)
私はよく現実には正しくないであろうことを
正しい、正しいよね、そうそう、と半ば夢の中で確認を念入りに取ってしまう。

そのせいか、よく、現実と夢を混乱して記憶し
あの時こういっていたよね、と知り合いに話をすると
え?ということになる。

それはさておき音楽教室でのこと
(これは現実)
ぐらつく空間を前に
わたしは私の立ち位置と
時間の感覚が思っているよりも危ういものだとなぜか感じて
いつも押入れから引き出されるお気に入りの冬物のセーターの匂いと
母親の手作りの夏のブラウスなどが1年分の回転のみならず、
何年分ものそれが重なり合って同じに思えた

いつも繰り返されるあれはなんだろう

こうわけもわからずセーター、夏服、セーター、夏服
と自分が伺い知れないところで繰り替えされたらたまらない
そう思い
この一瞬を「始め」の一点にしよう、
そこから定規の線のように測っていこう、そう決めていた
それから最初の内は「始め」の一瞬から一週間、三週間、と測っていたが
それはやがて忘れ去られてしまった

今、もうあれから二十数年経っているが
あの一瞬を思い出すと妙な気分になる

ふと思うと、いつでもあの一瞬、ピアノを前に意識が遠くなっている
あの時に戻れそうな気がするのはどうしてだろう。


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