ようやく前々から行きたいと思っていた書店「往来堂」(千日前千駄木駅から徒歩5分ほど)へ行った。
http://www.ohraido.com/index_n.cgi
外観はどこにでもありそうな町の本屋さん。
だが、中の本棚をみていくとその奥深さがすごい。
棚のレイアウトが絶妙で、棚の本を取りながら少しずつ進んでいくと、いつの間にかぐんぐんとその魅力に飲み込まれていき、イメージの中で本と本との関係が結びつき、連鎖し始める。
気がつくと手にはまた本がすでに何冊か、そして買おうか迷う本が頭の中で山積みになっていく。
花森安治の暮らしの手帖、森茉莉、幸田文、石井好子、全ての本が棚の中で絶妙な関係性を持って、その場所に居る。
出口近くに行くと謙虚な感じで往来堂書店のお勧め本コーナーがあり、これもまたよかった。
百聞(内田百聞)の本や金子光晴、あまから抄などなど。
あまから抄を手に取り、武田泰淳の食のエッセイを発見すると武田百合子の「ことばの食卓」のなんだか甘いような懐かしいような文体を思い出して女性向けのコーナーにまた戻りたくなる。
そうやって何時間か過ごし、ようやくレジに辿り着いて、(距離としては近いのだが)購入。
素敵なお店で買ったものはとても幸せな気持ちにさせてくれる。
そしていい本に出会えてよかった。
外に出るともう雨は止んでいて、しゅっと縛った傘を少し降りながら、わくわくした気持ちいっぱいで帰った。