- こんにちは。
キシリ徹のタニケンです。
制作秘話第3回は「出来る男は漏らさない 大人用紙おむつギルティセーフ」です!!
【着想】
架空の商品名は難しい
そもそも最初は、「大人用」とかの括りなしで紙おむつのCMソングを作ろうとしていました。
架空の商品名を考えるのは架空の企業名を考えるよりも断然難しいのです。
商品の特性をその語感からイメージすることができて、且つキャッチーな商品名を考えるのは至難の技です。実在の商品の企画会議でも相当頭を悩ませる作業でしょう。
我々の場合、商品がそもそも存在しないので商品を想像することから始まります。
しかし自分自身、表向きは紙おむつユーザーではないため、「こんな紙おむつあったらいいな~」という想像が全然膨らまない。
かといって一般的な紙おむつを想像してみても既存の商品「メリーズ」や「パンパース」を超える商品名が思いつかず、ネーミングの段階でかなり難航していました。
かっこいい大人用紙おむつ「漏らす」=ギルティ?
そんな折に、やなせが「かっこいい大人用紙おむつにしよう」と持ちかけてきました。
やなせ曰く、みうらじゅんさんが「なんで紙おむつはみんな同じ(デザイン)なんだ」「おじいちゃんになってもカルバンクラインのおむつとか履きたいよ」といった旨の発言をしていたとのことで、この言葉に深く感銘を受けたそうです。
そういうわけでやなせから「かっこいい紙おむつの名前、なんかない?」と聞かれたので「ギルティセーフ…」とぼそっとつぶやいたらそれで決定してしまいました。
かっこいいの方向性これでいいの?
出来る男とは?
「キャッチコピーも考えてくれ」といわれたので、そこで、「黄昏時にはまだ早い」を提示しました。このフレーズは曲中の2番の歌詞に使われていますね。
「もっとシンプルでパンチのあるコピーがほしい」といわれたので、そこで「出来る男は漏らさない」というフレーズが誕生しました。
冷静に考えてみると「そもそも出来る男じゃなくても漏らさないのが普通では?」って考えちゃいますよね。
この場合は、「漏らす」は失禁ではなく、失禁して外部に漏出させてしまうことを指すのか?
だとすれば、「出来ない男」とは「紙おむつはダサいから嫌だ!」と駄々をこねて紙おむつを履かずにズボンに染みさせちゃう男を指し、「出来る男」とは、かっこいい紙おむつをキメて、失禁しても涼しげな顔してBarのカウンターでマティーニを嗜む男を指すのだろうか?出来る男認定ガバガバ過ぎない?
その他、この商品名とキャッチコピーに関する考察を以下に記す。
- 「漏らさない」ではなく「濡らさない」が正。
- ギルティは尿あるいは失禁を指す。
- ギルティは発生してはいるが、おむつによって包まれ、外界には顕現していない状態およびこの場合のおむつをギルティセーフと呼ぶ。
【楽曲解説】
この曲については、ソウルやAORを志向して作曲しました。特にやなせはミスターAORことBobby Caldwellが大好きでライブを観に行くほど。
作曲当時も音源をかなり聴いていました。
リズム楽器以外には歌、オルガン、ギター、リズムコーラスといった編成で音数もあまり多くせずシンプルなアレンジです。ギターの音とかオブリガードの感じとかGOODですね〜。
コード進行に関してもBobby Caldwellの「What You Won't Do for Love」を参考にしつつ工夫を重ねました。
この曲のコード進行は、数々の曲で引用されている他、HIPHOPのフィールドでも2pacがサンプリングしたりと、名曲中の名曲です。
そんな曲のコード進行を引用しながら作るのは、ある程度の艶感や流麗さが担保されている分、シンプルかつ良質な仕上がりにするのはある種難しかったようです。
当時やなせが特に聞いていた、70年代のソウル的な洒脱さも加えようと思いましたが、あまり要素が入らず(強いて言うならメロディラインの切なさ・アンニュイさにLeon Wareの影響があります)。
最終的には、AORに60年代以前のソウルやオールディーズを匂わせる仕上がりになったかと思います。
あと、まさか自分たちの曲で「Because I love you.」という歌詞を歌うことになるとは思いませんでしたね…。
【その他 裏話】
デザインについて
このデザインのイラストは、スタッフ酒本が担当しました。出来る男感が滲み出てますね。
やなせから「『酔いどれ天使』の三船敏郎みたいな男性が夜の波止場でおむつはいてカッコつけてる感じ」などといったリクエストに応じ、細部まで拘って描いてくれました。背景の感じも商品のイメージに一致してCOOL!ですね。
ところでこの男性、カッコつけてるけどおむつの中ではギルティしているんだろうか。それともただ趣味で履いて見せつけているのだろうか…。
あとわざわざネクタイ締めて、オムツにシャツインしてますけどこれでフォーマルの装いのつもりなんだろうか?かといってカジュアルなわけでもないし。なんせズボン履いていないからな…。
ラジオにて明かされるギルティセーフ開発秘話
キシリ徹のからくりナイスキャッチ!第11回には、ギルティセーフの販売元、T&Mコーポレーション代表 峰総一朗さんがゲストで参加してくださいました。
日用品のファッション化を理念として事業を展開するT&M(TAICHI&Majority)コーポレーション。
代表である峰さんと、ギルティセーフを始めとする大半の商品のデザインを手掛る世界的デザイナーKIHARA TAICHIさんとの運命的な出会いについて、赤裸々に語っていただきました!
収録中、またやなせが失踪してしまって大変だったけどいろいろ素敵な話が聞けて最高だったな〜。