キシリ徹の!おんぼろファクトリー操業記

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架空CMソングの作詞・作曲・制作の経緯、小さなハプニングやイカしたグッズ
についての裏話を書きます!

〈架空CMソング制作秘話〉 「だるま落とし代行サービス 達磨の達人 達達(だるたつ)」ができるまで (第2回)

2020-04-17 17:00:00 | 架空CMソング制作秘話
 こんにちは!!!!
 キシリ徹の”口からでまかせ”担当のタニケンです。
 第2回は、先週の水曜日に公開されたばかりの「だるま落とし代行サービス 達磨の達人 達達(だるたつ)」について書きます!

 ちょうど公開されたばかりなので、この楽曲の紹介をすることにしましたが、第2回でこんな変わり種の楽曲でいいのか…。





【着想】
 アイデアは2年以上前から
 前述した通り、公開はつい最近なのですが、作曲したのは1年以上前だし、着想を得たのさらに1年前くらいですかね。

 我々の現段階の活動でいえば初期〜中期の楽曲といったところです。着想から2年以上の時を経てやっと公開に至ったのです。


 活動初期(架空CMソング10〜20曲程度)
 初期の10曲の中には、夢を録画するビデオ「タカハシの夢ビデオ」という現実には到底ありえない商品を扱った楽曲があった。

https://youtu.be/QVngeB3FxUs

 「ありそう」な企業や商品を考えることを基本的なルールとしてはいるが、「ありえない」企業や商品を「ある」体で大真面目に作ることは大変バカげていて面白い(そもそもない企業や商品の曲を大真面目に作ることもバカげてはいるが)。
 
 「ありそう」な曲に比べて、勝手なことを謳っても差し支えないので、ボケしろ(素っ頓狂なワードや設定を差し込む余地)が多い。
 
 この頃、また「ありえない」路線の曲を作りたいと考えていました。

 CMソングを制作する上で、目標とする曲の一つとしてクラシアンのCMソングがある。小林亜星さん作曲のこの曲は、曲の中でサービス内容や値段を紹介し、最後に社名が入る。

 短い曲で必要な情報がしっかり伝わるし、一度聴けば忘れられないキャッチーなメロディは流石である。

 当時、改めてこの曲を聴き、その素晴らしさを再認識していた。

 そういった中で「ありえない出張サービス」を作ろうと思いました。

 「わざわざ出張してもらってなにをやってもらおう?」と考えたとき、「だるま落としを人に頼んでやってもらうのめちゃくちゃバカだな…。ていうか人に頼んだら醍醐味なくなるだろ。」と思い、「だるま落とし代行サービス」という言葉を口に出してみました。
 
 その響きのあまりのバカバカしさに、往来で不気味な笑みを浮かべてしまいました。

 そういえばチョコレートプラネットのポテチの袋を開ける業者のネタの影響もありますね。


 作曲は一旦保留に
 アイデアをやなせに伝え、作曲を開始しましたが、曲の方向性がいまいち定まらず頓挫しました。

 思えばこの頃は、現在に比べて二人の中で作曲方法が確立されていなかったように思います。

 企業の具体的なイメージが定まらないなかコードやメロディを考えてみても、既存曲と似たものになってしまったりで納得のいくものはできませんでした。

 他にも候補のアイデアがあったので、この楽曲は一旦保留としました。
 
 なんだかんだでロックオペラ調に
 保留より一年ほど経ったころ、やなせは、僕がテキトーに提案した「洗濯エマージェンシー! クリーニングの花岡」という企業のCMソング制作に着手していました。
 
 やなせが一人で作曲して結果ボツと判断したらしいですが、発案した僕自身、一切覚えていません
 まさしく”口からでまかせ”担当たる所以ですね。

 「洗エマ」は、服が汚れたことに対する嘆きから展開するロックオペラ調の曲として作曲していましたが、歌詞が散文的(といえば聞こえはいいが)でまとまりが無く、曲として成立することができず、僕に聞かせることもなくボツにしたそうです。

 そこで、「だるま落とし代行サービスならロックオペラできるんじゃないか」と考え、「だるま落とし代行サービス 達磨の達人 達達」として再び制作に着手しました。
 わざわざこんな題材をロックオペラにするところが我々らしいですね。

【楽曲解説】
 やなせは当時、札幌のすすきの付近に住んでおり、冬のすすきのの路地をうろうろしながら曲を練っていたので、「冬のすすきの」のイメージが曲に反映されてる(らしいです)。

 この曲を作る上にあたり、10ccの3rdアルバム「The Original Soundtrack」をよく聴きました。

 ポップスに実験的な要素が多分に盛り込まれたアルバムです。

 特に、このアルバムを機に脱退するゴドレーとクレームによる実験的な音響の面白さや、感覚には大いに影響を受けています。

 そういった影響を盛り込むべく、アレンジにはかなり時間をかけました。

 あと、もちろんクイーンも聴き直しました。アルバムで言えば「QueenⅡ」「オペラ座の夜」

 楽曲終盤のリードギターの音作りなど、少しブライアン・メイ風味を加えました。

 全体のオペラ的歌唱法は、クラウス・ノミを意識しています。(特に裏声の雰囲気)

 他に言えば、ちょっとだけショパンの風味をいれたり、キング・クリムゾン「Moonchild」の間奏の静けさをイメージしたりしてます(前回は日本のバンドのMOON CHILDの話を書いたな)。

 この曲の歌詞は、だるま落としで窮地に立たされた人に光が差し込んでくる感じです。

 「失敗したら終わりです」っておそらく誰の共感も得られないことを深刻に歌うの頭おかしいですね。










 
【その他 裏話】
 広告デザインについて

 
 広告のデザインについては、スタッフに担当してもらいました。イメージとしてはクラシアンなどの冷蔵庫マグネットの感じですね。

 「お電話一本!とりあえずすぐ行きます!」とか具体的なことを言わない文言は我々の作品では多く登場しますね。「桃園滋法律相談事務所」とかです。


 だるま落とし、遊戯の中で一番つまらない説
 「だるま落としは遊びの中で一番つまらないんじゃない?」とよく言っていた(だるま落としフリークの方がいたらごめんなさい)。

 幼いころ、児童館や親戚の家などで数回やった記憶はあるが、熱中した覚えが一切ない。成功させた記憶もない。

 「だるま落としやろー!」ってなったことあります?
 
 だるま落としを探して
 動画を作成するにあたりだるま落としが必要だったため、だるま落としを探して近所を歩き回った。

 100円ショップやリサイクルショップ、大きめのスーパーなどを探したが見つからない。
 けん玉コマは売っているというのに…。

 隣町の比較的大きい100円ショップに電話で問い合わせてもみたが、最近は入荷してないとのこと。やはり一番つまらない説は有力だ。

 「もしかして駄菓子屋にあるのでは?」と思い、一縷の望みをかけて駄菓子屋に向かった。

 店内にはけん玉や輪投げ(だるま落としの次につまらないと噂される遊戯)は陳列されていた。

 店主に「だるま落としありませんか?」と尋ねたら驚くべき言葉が返ってきた。

 「だるま落とし?昨日全部売れちゃったよ!!」



 …






 ……………







 だるま落としが売れた?そんな馬鹿な。

 私はとんだ思い違いをしていたのか?自分の認識が覆される恐怖と屈辱を感じ、言葉を失った。

 店主は無慈悲にも言葉を続けた。

 「コロナの影響で、みんな家で遊べるものを買っていくんだよ。」

 その説明にはある程度合点がいったため、私は少し気を取り直した。

 ゲームだけではなくそういった昔ながらの玩具の需要も高まっているのか。

 それはこのご時世で少し微笑ましいというか、文化的に好ましいことのように感じた。

 しかし、だるま落としで子どもたちの心は満たされるのか?有り余る余暇元気消化することはできるのか?私はだるま落としで10分以上遊んだことがない

 腑に落ちないという気持ちを排除することは敵わなかったが、それよりも目下の問題を解決しなければならない。

 またしてもだるま落としを入手することができなかった。
 
 このご時世にこれ以上外を出歩くのは好ましくない。
 
 背に腹は代えられない。最早、私にはamazonの力を借りる他に道は残されていなかった。
 
 だるま落としが届いて
 翌日、だるま落としが届きました。とりあえず久しぶりに遊んでみた。けっこう面白かった。小一時間くらい遊びました。





 
 〈終わり〉