名物裂は鎌倉時代から江戸時代中期に渡来した特定の染織物
主として中国の宗 元および明 清時代の絹織物や 南蛮渡来の絹又は木綿織物
金襴 銀蘭 モ-ル 緞子 紗 羅 錦 間道 唐桟 更紗などが含まれています
名物裂は染色工芸品としての格も高く 名物茶器に附属してそれを装飾したり
保護する目的で 当時の茶人たちの見識で選ばれた物でありその好みを象徴している
その名称は所持者又は伝来者の名を冠したもの:吉野間道・有栖川文様・道元緞子・角倉金襴
織の名をその呼称とするもの:錦・金襴・緞子・紹紦
裂自体の文様を名称とするもの:花兎金襴・荒磯緞子・笹蔓緞子
我が家にある文様を名称とした「荒磯緞子」・・・勿論 復元した出袱紗
荒磯は岩の多い荒波の打ち寄せる海辺と云う意味だそうです
「アリソ」と呼ばれるこの裂の魚は鯉か鯉に似た魚で
波頭の立つ波の間を泳ぎ廻る魚を表した図
前田家伝来の有名な「菊いちご紹紦」
明るい茶色の錦地に白 藍 緑 黄などの花文様をそれぞれ横一段づつ織り出している
地と文様とで糸の太さや撚りをかえて数段ごとに筋を入れ 紹紦織りのなかでも
複雑に織り込まれた裂で 花文様をいちごに見立てたものだそうです
数十年昔のお稽古を始めたばかりの頃に買い求めた出袱紗なので
ふたつとも本当に可愛い文様の 明るい色を好んでいますね〔笑〕
茶の湯の世界では由緒ある名物裂は掛け物の表具や 茶の道具類を入れたり
茶入れの仕覆 古袱紗 出袱紗などに使われています
一度も使わず箱に入れたまま仕舞ってあったのを久しぶりに出してみました
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