映画「利休にたずねよ」

　　　　　　　　　直木賞受賞小説　山本兼一の「利休にたずねよ」を発刊された５年ほど前に読みました

　　　　　　　　　映画化され　昨年１２月７日に封切り　

　　　　　　　　　早くから観に行きたかったのですが・・・・やっと今日行ってきました


　　　　　　　　　「美は私が決めること　私の選んだ品に伝説が生まれます」と自負する千利休

　　　　　　　　　時の権力者　織田信長　豊臣秀吉の茶頭として仕え「美」を追求　それ故に

　　　　　　　　　秀吉に疎まれ不条理な理由で切腹を命じられる

　　　　　　　　　小説でも映画でも天正１９年(１５９１）２月２８日　雷が鳴り雨風の朝の　

　　　　　　　　　京　聚楽第　利休屋敷　一畳半の茶室から始まり　利休の若き日の恋にスポットを当て

　　　　　　　　　切腹を命じられた利休は過去の出来事を回想しながら　

　　　　　　　　　真相を繙（ひもとく）いていく　最後のシ－ンも切腹する一畳半の茶室


　　　　　　　　　配役は千利休に市川海老蔵　妻　宗恩に中谷美紀　豊臣秀吉には大森南明

　　　　　　　　　織田信長には伊勢谷友介　特別出演で武野紹鷗役に市川團十郎さん　

　　　　　　　　　故團十郎さんは撮影終了三ヶ月後に亡くなられたそうです

　　


　　


　　


　　


　　


　　


　　


　　


　　


　　


　　　　　　　　　　切腹の日の朝　宗恩が利休に訊ねた

　　　　　　　　　　「あなた様にはずっと想い人がございましたね」と・・・利休は思い出した

　　　　　　　　　　五十年も昔の話・・・あの時の女だ・・・十九歳の時　利休が殺した女

　　　　　　　　　　口にだしたことはない　だれに話したこともない

　　　　　　　　　　若かりし頃　色街に入り浸っていた利休は高麗からさらわれて来た女と出会い

　　　　　　　　　　高貴な美しさに引かれていく　やがて別れの時がきて叶わぬ恋に二人で死を選ぶ

　　　　　　　　　　点てた抹茶に毒を入れて高麗の娘を死なせ後を追って利休も飲むが死にきれなかった

　　　　　　　　　　その高麗の娘が持っていた緑釉の香合に女の小指の骨と爪を入れ懐に入れていた

　　　　　　　　　　聡い妻　宗恩も感じていたし　ある時その香合を目ざとく見た秀吉が

　　　　　　　　　　その美しい緑釉の香合を欲しがった　しかし利休は手放さなかった

　　　　　　　　　　天下統一を果たした秀吉の命令に無理難題でも逆らうものは居なかったが

　　　　　　　　　　利休は頑なに拒んだ　その香合の伝来も話さない利休に立腹　

　　　　　　　　　　切腹を命じた理由のひとつとも言われています

　　　　　　　　　　秘められた理由のある緑釉の香合は小説では切腹した茶室の床に香合と

　　　　　　　　　　生けられた一枝のムクゲの花とが置かれていた

　　　　　　　　　　その香合を手に取った宗恩は露地の石燈籠に勢いよく投げつける　

　　　　　　　　　　音を立てて粉々に砕けたとなっていますが・・・

　　　　　　　　　　映画では握っていた香合を投げつけようと手を高く上げただけで留めました

　　　　　　　　　　市川海老蔵・主演最新作『利休にたずねよ』 予告編（web初公開！）
　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　茶人　利休を演じた海老蔵は美しい凜とした所作で好感がもてました

　　　　　　　　　　茶道具も利休が末期の茶を点てるシ－ンで使われた長次郎造　黒楽茶碗　銘　万代屋黒　

　　　　　　　　　　井戸茶碗　銘春日は秀吉に初めて茶を振舞うシ－ンに使われ

　　　　　　　　　　弟子山上宗ニが蟄居を命じられた時利休より授かった茶碗熊川茶碗　銘山路など

　　　　　　　　　　大名物の本歌が使われていました　それでお点前も重厚に見えたのでしょうか？　

　　　　　　　　　　久しぶりの映画鑑賞でしたが　

　　　　　　　　　　多少とも茶の湯に関心を持つ者としては　見応えのある映画でした